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第七話
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「えーっと炎珠様?私はこれからどうしたらいいんです?」
「何もするな。一番はその存在を知られぬ事だな。知られたら主は権力の器として利用されるだろうからな。主がそれを望むならば別だが」
そんなたいそれた事は望まない。出来れば普通の生活、後は星永さんと一緒にいたい。
「ねぇ久美子。私、席外した方がいい?」
「あっ、ごめん。とりあえず炎珠に絵梨の事聞いてみるね」
「うん」
今は私よりは絵梨についてだ。
「星永さんの記憶がない場合、絵梨はそれでも星永さんに抱かれなくてはいけないの?」
「ふむ。これについては今までにない事だ。記憶がないならば無効となるか、ならぬかはわからぬ」
「そ、そう……」
「しかし主や星永の気持ちもわからぬでもない。これは一つの賭けだ。主達の気持ちを無下にする程我も冷たくはない。その娘には他を当てがってみよう」
その言葉にホッとした。だが絵梨自体抱かれなくてはいけないという事実は受け入れてるとは言え、見知らぬ人に抱かれるのはなんとも言えないやるせなさはある。
「絵梨はハゲて太ってる人は嫌だって言ってた」
「主は我を何だと思っておる。当てがう人材はもう決めておる」
「本当に?」
「あぁ。だが主達にはまだ言えぬがな」
とりあえず炎珠から見ても信用たる人物であるらしい。
「絵梨の相手、もう決めてあるらしいよ」
「ホントに?」
「うん。ああ見えても元々皇帝の第三夫人の子供だから安心して大丈夫だと思うよ」
「うん……でもいざってなると怖いね」
その気持ちはわかる。だがこればかりはなるようにしかならないだろう。
「主の事はまた追って説明する。どうする?今日もここにおるなら使いの者に星永に文を出すが?」
「そうだね。とりあえずもう一晩ここにいる」
「そちらの娘も、日取りはいつがよいか聞いてはくれぬか?」
私は絵梨にそのままを言うと、絵梨は今夜でも大丈夫だと言った。絵梨の言葉も炎珠に伝えると、準備をするという事になり、私達は王の間から出される。
夜になるにつれバタバタと慌ただしくなった紫水殿。私は炎珠と共に遠くで様子を見ていた。
「結局、絵梨の相手ってどんな人?」
「ふむ。もうええか。我の兄弟に当たる人物だ」
「えっ?」
「血は半分しか繋がらぬがな。時期皇帝に見合う人物じゃ」
すごい人材を用意したものだ。さすがは皇族。だが何故皇帝候補にしたのだろうか?
「何もするな。一番はその存在を知られぬ事だな。知られたら主は権力の器として利用されるだろうからな。主がそれを望むならば別だが」
そんなたいそれた事は望まない。出来れば普通の生活、後は星永さんと一緒にいたい。
「ねぇ久美子。私、席外した方がいい?」
「あっ、ごめん。とりあえず炎珠に絵梨の事聞いてみるね」
「うん」
今は私よりは絵梨についてだ。
「星永さんの記憶がない場合、絵梨はそれでも星永さんに抱かれなくてはいけないの?」
「ふむ。これについては今までにない事だ。記憶がないならば無効となるか、ならぬかはわからぬ」
「そ、そう……」
「しかし主や星永の気持ちもわからぬでもない。これは一つの賭けだ。主達の気持ちを無下にする程我も冷たくはない。その娘には他を当てがってみよう」
その言葉にホッとした。だが絵梨自体抱かれなくてはいけないという事実は受け入れてるとは言え、見知らぬ人に抱かれるのはなんとも言えないやるせなさはある。
「絵梨はハゲて太ってる人は嫌だって言ってた」
「主は我を何だと思っておる。当てがう人材はもう決めておる」
「本当に?」
「あぁ。だが主達にはまだ言えぬがな」
とりあえず炎珠から見ても信用たる人物であるらしい。
「絵梨の相手、もう決めてあるらしいよ」
「ホントに?」
「うん。ああ見えても元々皇帝の第三夫人の子供だから安心して大丈夫だと思うよ」
「うん……でもいざってなると怖いね」
その気持ちはわかる。だがこればかりはなるようにしかならないだろう。
「主の事はまた追って説明する。どうする?今日もここにおるなら使いの者に星永に文を出すが?」
「そうだね。とりあえずもう一晩ここにいる」
「そちらの娘も、日取りはいつがよいか聞いてはくれぬか?」
私は絵梨にそのままを言うと、絵梨は今夜でも大丈夫だと言った。絵梨の言葉も炎珠に伝えると、準備をするという事になり、私達は王の間から出される。
夜になるにつれバタバタと慌ただしくなった紫水殿。私は炎珠と共に遠くで様子を見ていた。
「結局、絵梨の相手ってどんな人?」
「ふむ。もうええか。我の兄弟に当たる人物だ」
「えっ?」
「血は半分しか繋がらぬがな。時期皇帝に見合う人物じゃ」
すごい人材を用意したものだ。さすがは皇族。だが何故皇帝候補にしたのだろうか?
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