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第六話
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会話が何かおかしい。私は絵梨と共に炎珠の元へ向かった。
「来たか。主にとっては朗報かもしれぬが、我はどうすればいいのか困惑しておるのだが……」
「あ、たぶんその内容なんだけど、絵梨は昨日星永さんに会ってないって言ってるんだけど……」
「は?」
私の言葉に疑問を持つ炎珠が盛大に眉間に皺を寄せる。それもそうだ。私もびっくりしている。
「どういう事じゃ?昨夜はあの阿呆がここに乗り込んで来たぞ」
「それは私も見てます。けど、絵梨の記憶がそこだけポンっとなくなってるんだけど」
「うむ……何かおかしな事でもあったか?」
「いや……昨日はあの後眠ったし、変わった事は……」
状況がどうにも把握できない。絵梨自身には星永さん以外の事で変わった事はない。まるで魔法かなにかにでもかけられたかのようだ。
「では久美子。主はいかがか?」
「私?私も別に……」
「どうせ星永と会って乳繰り合っておったのじゃろが!この神聖な場所で」
「してないしてない。たしかに会ったけど、その後別れたし……」
「その時の事を詳しく話せ」
何故昨夜の告白タイムについてを話さなくてはいけないのだろうか。だが炎珠自身出歯亀のような感じではなく真剣な感じだったので、とりあえずお互いの気持ちを交わしたところまで伝えた。とても恥ずかしい……
「ふむ。主たちが盛り上がっておった時、変わった事は?」
「特には……絵梨の中から星永さんの記憶がなくなればいいなって思いはしたけど……」
「ん?今なんと申した?」
「絵梨の中から記憶がなくなればって……」
私の言葉を聞いた炎珠はさらに眉間に皺が寄る。女の子なのにそんなに寄せては癖になるのでは?そう思っていると、炎珠の眉間の皺が解かれる。
「のう久美子。主、これまでに思った事がその通りになった事があるか?」
「えっ?何それ?」
「例えばこの世界に来て何を思った?」
「えーっと……着た場所が草原みたいなとこで、狼に襲われそうになって、星永さんが助けてくれて……」
つらつらとここに来てからの事を話す。まるで異世界物の王道みたいだ。などなど、あるあるが本当に続くなと思った事を話した。
「成程……主の正体がなんとなく掴めて来たぞ」
「えっ?どういう事?」
「これまでの事例にあまりないとはいえ、大昔の文献にそんな御使いがいた事が記載されていた事を思い出しだ」
炎珠の中で何かの結論が出たようだ。ようやく私の正体、というよりは私が何の御使いなのかわかるという事だ。
「主はどこの国にも属さぬ御使い。言ノ葉の御使いじゃ」
「来たか。主にとっては朗報かもしれぬが、我はどうすればいいのか困惑しておるのだが……」
「あ、たぶんその内容なんだけど、絵梨は昨日星永さんに会ってないって言ってるんだけど……」
「は?」
私の言葉に疑問を持つ炎珠が盛大に眉間に皺を寄せる。それもそうだ。私もびっくりしている。
「どういう事じゃ?昨夜はあの阿呆がここに乗り込んで来たぞ」
「それは私も見てます。けど、絵梨の記憶がそこだけポンっとなくなってるんだけど」
「うむ……何かおかしな事でもあったか?」
「いや……昨日はあの後眠ったし、変わった事は……」
状況がどうにも把握できない。絵梨自身には星永さん以外の事で変わった事はない。まるで魔法かなにかにでもかけられたかのようだ。
「では久美子。主はいかがか?」
「私?私も別に……」
「どうせ星永と会って乳繰り合っておったのじゃろが!この神聖な場所で」
「してないしてない。たしかに会ったけど、その後別れたし……」
「その時の事を詳しく話せ」
何故昨夜の告白タイムについてを話さなくてはいけないのだろうか。だが炎珠自身出歯亀のような感じではなく真剣な感じだったので、とりあえずお互いの気持ちを交わしたところまで伝えた。とても恥ずかしい……
「ふむ。主たちが盛り上がっておった時、変わった事は?」
「特には……絵梨の中から星永さんの記憶がなくなればいいなって思いはしたけど……」
「ん?今なんと申した?」
「絵梨の中から記憶がなくなればって……」
私の言葉を聞いた炎珠はさらに眉間に皺が寄る。女の子なのにそんなに寄せては癖になるのでは?そう思っていると、炎珠の眉間の皺が解かれる。
「のう久美子。主、これまでに思った事がその通りになった事があるか?」
「えっ?何それ?」
「例えばこの世界に来て何を思った?」
「えーっと……着た場所が草原みたいなとこで、狼に襲われそうになって、星永さんが助けてくれて……」
つらつらとここに来てからの事を話す。まるで異世界物の王道みたいだ。などなど、あるあるが本当に続くなと思った事を話した。
「成程……主の正体がなんとなく掴めて来たぞ」
「えっ?どういう事?」
「これまでの事例にあまりないとはいえ、大昔の文献にそんな御使いがいた事が記載されていた事を思い出しだ」
炎珠の中で何かの結論が出たようだ。ようやく私の正体、というよりは私が何の御使いなのかわかるという事だ。
「主はどこの国にも属さぬ御使い。言ノ葉の御使いじゃ」
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