異世界!王道!!

まぁ

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第三話

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「私抱かれる覚悟しました!」
 伝わるわけはないのだが、つい本人を目の前にして言ってしまった。星永さんはきょとんとした表情を浮かべたが、何か私から感じとったのだろう。
 この屋敷のお手伝いさんっぽい女の人が二人やって来て、私の手を引いてどこか連れて行った。


 連れて行かれた場所はお風呂場だったが、紫水殿のお風呂とは何か違う。あちらは源泉掛け流しっぽい雰囲気だったが、こちらは花びらが湯船に散っていたり、何の入浴剤かはわからないが、お湯がほのかにピンクだ。
(これ完全ラブホスタイルだよね)
 なんとなく目的のわかる感じがして恥ずかしくなった。だが女に二言はない。生きるために抱かれるのだ。
 体を清めた後、私は用意されていた服に着替えた。何かエロい服っぽいのを想像していたが、普通の服だった。


 再び女の人に導かれやって来た部屋には星永さんがいた。近くにはベッド。なんだか試合に挑む気分だ。
 女の人は星永さんに何かを言って部屋を後にする。いざ二人きりになり若干心臓がバクバクなる。
「◇○×☆」
 おそらく来いと言われたのだろう。大股よろしく星永さんの近くに行くと、ベッドに座るよう促された。
(い、いよいよか!さぁ来い!)
 気合十分で構えていると、星永が何か入った器を私に渡す。呑めと言うのだろうか?怪しみながらも器の中に入った液体の匂いを嗅いでみた。あの翻訳薬ではないようだが、どこかツンとしたような匂いだ。
 恐る恐る口に含むと、喉が焼けるようなもので、苦いような舌触り。
(こ、これってお酒じゃない?)
 それもかなり度数が高そうな。大人になってからはなんとも思わなかったものも、子供だと苦く感じるのか。と言うより呑んでいいのだろうか?
 しかし出されている以上、呑まなくてはいけないという社会人の気質があるので、ちびちびと呑み干す。
 呑み干した頃だろうか。なんだか体が暑くなってきた。アルコールの発汗作用すごいな。なんて悠長に思っていた時、私の隣に星永さんが腰を下ろした。
 そして私の顎を掴むと口づけをしてきた。
「ん、ふっ……」
 何度か軽い口づけをした後、星永さんの舌が入ってきた。ぎこちない私とは違い、縦横無尽に動き回る舌に絡められては喘ぐしかなかった。
「あっ……まっ、むんっ」
 止めどない舌の動きに息継ぎがうまく出来ない。意識が混濁していると、ようやく星永さんが放れた。
 記憶にある中で、こんなにも激しい口づけをした事などあっただろうか。
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