異世界!王道!!

まぁ

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第三話

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 身売りされる娘の気持ちとはこんな感じなのだろうか?
 結局タイムアップで薬が切れた後、二人だけで話が進んだが、何を言っているのかわからずとも、なんとなく意味はわかる。
 炎珠は私を連れてけと星永さんに言って、星永さんは渋々それを受け入れた形なのだろう。その証明かどうかわからないが、馬に揺られ星永さんの家に(おそらく)向かう中、会話は一つもなく、二人の間になんとも言えない空気が流れている。
 まぁ、話しかけられても今はまったく通じないのだが。
 この解消の一か八かかが抱かれろとは。無茶を言う。というより気になっていたが、あの炎珠という幼女はあの紫水殿のトップとはわかるが何者なのだろうか?古風な口調で上から目線だが、星永はあまり炎珠に遠慮する風でもない。
 まだまだ知らぬ世界があるが、今はそれどころではない。
 私はこのまま星永さんに抱かれるのか?むしろ私でいいのか?いやいや、出会って二日目でなんて、私そんな尻軽ではないし。
 まぁ、この姿ではわからないが、心では処女ではないし、腹を括れとなれば我慢できるような気もするが、相手が乗り気でないし、ましてや今までの人生で付き合った事のないタイプだ。
(正直心臓がもたない……)
 ぐるぐるもやもやと考えていると、紫水殿とは違い、一般的なお屋敷っぽい場所へとやって来た。
 昨日同様馬から降ろされ、星永さんの後ろに着いて中へと入る。
 紫水殿のような派手さはないが、手入れの行き届いた庭には池があり、近くに東屋、池の中には蓮に鯉と、いかにも金持ち宅のような造り。
 中に入ってみると、中華風の梁や扉、外からざっと見ただけでよくわからないが蔵っぽいものがいくつかあった。それからするとここは本邸で、それらは母屋なのかもしれない。
「☆×○○○☆」
 星永さんが私に何か言ってきたがもちろんわかるはずもない。
 なんだろ?ここまで来たら引くに引けない気もした。それにこのまま還れない事を踏まえ、言語習得が難しい。言葉は生きていくうえで大切だ。
 一回。たった一回抱かれたら後は無罪放免だ。それに生きてきた人生でイケメンに抱かれる事などあろうか?むしろワンチャンでもラッキーと思った方がいいのでは。
 そう考えると腹を括る事が出来た。
(よし!女は度胸!やるぞ!)
 別に心の処女ではない。夢見る少女ではないのだ。中身は大人だ。柔軟に対応しよう。
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