9 / 44
第二話
3
しおりを挟む
朝食は鶏がらスープベースお粥だった。そこに麩のようなものが揚げられたものがついており、どちらも美味しかった。
食べ終わりゆっくりしていると、女官に呼ばれ、昨日やって来た王の間に通された。
「ふむ。薬の発達した国からもろうた薬が本当に役立つとは。主は我の言葉が理解出来ておるな?」
入ってくるなり炎珠は私にそう聞いて来た。
「えっと……はい」
「それは良かった。あの国も良き御使いに恵まれたものだ。しかし我が国はどうなるのやら」
「あのー何を言ってるのかさっぱり……」
「主に渡した本に書いておったのではないか?神の御使いは祈祷場に召喚されると。もしも主がこの国の御使いであるならば祈祷場に召喚されたはず。しかし主は全く場違いな場所に現れた。よってこの国が御使いではない。ならば主は誰によって、何の御使いであろうな?」
御使い云々はさておき、自分でも何故召喚されたのかさっぱりわからないのだが。
けれど話からするとここ以外にも別の国があり、そこにも御使いとやらがいる事になる。もしかしたらその人も召喚されたのだろう。
「あのーこの国?世界?についてあんまりわからないんですが……この世界ってなんて名前ですか?」
「世界に名などない。しかし幾つかの国がある。全てを把握出来るほどの知識はこの国にはない。この国は豊穣と子宝を司る国だ。他にも知恵、発展、技術など、国によって特色がある」
「つまり各国に御使いっていう私みたいに召喚された人がいる?」
「そうじゃ。天は代行者として異界より御使いを授ける。御使いは様々な英知を国に齎すとされている」
それが男か女かはわからないが、この国は必ず女が召喚されるそうだ。ただ、必ずいつでもいるのではなく、御使いが現れ、御使いが死ぬまでその国は繁栄するのだとか。
「これは伝承として広くに伝わっておる故、星永殿は主を見て御使いと思ってここへ連れて来たのであろう」
「星永……?」
「昨日主をここの連れてきた男じゃ」
なる程。あのイケメン様は星永さんと言うのか。名前がわかって良かった。
「まぁ、本人も何故祈祷場ではないのか気になってはおったようだが、主の身なりから判断したのであろう。あろう事かこの男子禁制場所に来ようとは」
何やら大きなため息と共に落胆する炎珠。
「もしも主が誠この国が御使いならば、主を抱くは我らが用意していた者ではなく、星永殿になる」
「はい?」
御使い回避。抱かれる回避をしたと思ったら、もし御使いだった場合、私はあのイケメン様、もとい星永さんに抱かれなくてはいけないとはどういう事だ?
食べ終わりゆっくりしていると、女官に呼ばれ、昨日やって来た王の間に通された。
「ふむ。薬の発達した国からもろうた薬が本当に役立つとは。主は我の言葉が理解出来ておるな?」
入ってくるなり炎珠は私にそう聞いて来た。
「えっと……はい」
「それは良かった。あの国も良き御使いに恵まれたものだ。しかし我が国はどうなるのやら」
「あのー何を言ってるのかさっぱり……」
「主に渡した本に書いておったのではないか?神の御使いは祈祷場に召喚されると。もしも主がこの国の御使いであるならば祈祷場に召喚されたはず。しかし主は全く場違いな場所に現れた。よってこの国が御使いではない。ならば主は誰によって、何の御使いであろうな?」
御使い云々はさておき、自分でも何故召喚されたのかさっぱりわからないのだが。
けれど話からするとここ以外にも別の国があり、そこにも御使いとやらがいる事になる。もしかしたらその人も召喚されたのだろう。
「あのーこの国?世界?についてあんまりわからないんですが……この世界ってなんて名前ですか?」
「世界に名などない。しかし幾つかの国がある。全てを把握出来るほどの知識はこの国にはない。この国は豊穣と子宝を司る国だ。他にも知恵、発展、技術など、国によって特色がある」
「つまり各国に御使いっていう私みたいに召喚された人がいる?」
「そうじゃ。天は代行者として異界より御使いを授ける。御使いは様々な英知を国に齎すとされている」
それが男か女かはわからないが、この国は必ず女が召喚されるそうだ。ただ、必ずいつでもいるのではなく、御使いが現れ、御使いが死ぬまでその国は繁栄するのだとか。
「これは伝承として広くに伝わっておる故、星永殿は主を見て御使いと思ってここへ連れて来たのであろう」
「星永……?」
「昨日主をここの連れてきた男じゃ」
なる程。あのイケメン様は星永さんと言うのか。名前がわかって良かった。
「まぁ、本人も何故祈祷場ではないのか気になってはおったようだが、主の身なりから判断したのであろう。あろう事かこの男子禁制場所に来ようとは」
何やら大きなため息と共に落胆する炎珠。
「もしも主が誠この国が御使いならば、主を抱くは我らが用意していた者ではなく、星永殿になる」
「はい?」
御使い回避。抱かれる回避をしたと思ったら、もし御使いだった場合、私はあのイケメン様、もとい星永さんに抱かれなくてはいけないとはどういう事だ?
0
お気に入りに追加
58
あなたにおすすめの小説
森でオッサンに拾って貰いました。
来栖もよもよ&来栖もよりーぬ
恋愛
アパートの火事から逃げ出そうとして気がついたらパジャマで森にいた26歳のOLと、拾ってくれた40近く見える髭面のマッチョなオッサン(実は31歳)がラブラブするお話。ちと長めですが前後編で終わります。
ムーンライト、エブリスタにも掲載しております。

束縛婚
水無瀬雨音
恋愛
幼なじみの優しい伯爵子息、ウィルフレッドと婚約している男爵令嬢ベルティーユは、結婚を控え幸せだった。ところが社交界デビューの日、ウィルフレッドをライバル視している辺境伯のオースティンに出会う。翌日ベルティーユの屋敷を訪れたオースティンは、彼女を手に入れようと画策し……。
清白妙様、砂月美乃様の「最愛アンソロ」に参加しています。
片想いの相手と二人、深夜、狭い部屋。何も起きないはずはなく
おりの まるる
恋愛
ユディットは片想いしている室長が、再婚すると言う噂を聞いて、情緒不安定な日々を過ごしていた。
そんなある日、怖い噂話が尽きない古い教会を改装して使っている書庫で、仕事を終えるとすっかり夜になっていた。
夕方からの大雨で研究棟へ帰れなくなり、途方に暮れていた。
そんな彼女を室長が迎えに来てくれたのだが、トラブルに見舞われ、二人っきりで夜を過ごすことになる。
全4話です。

死にたがりの悪役令嬢
わたちょ
恋愛
ある日、突然前世の記憶を思い出したトレーフルブランはここが前世で彼女が好きだったゲームの中の世界であることを思い出した。それと同時に彼女がゲームの悪役キャラであることにも気付き、この先の未来も知った彼女は
ただ死を望んだ

私は5歳で4人の許嫁になりました【完結】
Lynx🐈⬛
恋愛
ナターシャは公爵家の令嬢として産まれ、5歳の誕生日に、顔も名前も知らない、爵位も不明な男の許嫁にさせられた。
それからというものの、公爵令嬢として恥ずかしくないように育てられる。
14歳になった頃、お行儀見習いと称し、王宮に上がる事になったナターシャは、そこで4人の皇子と出会う。
皇太子リュカリオン【リュカ】、第二皇子トーマス、第三皇子タイタス、第四皇子コリン。
この4人の誰かと結婚をする事になったナターシャは誰と結婚するのか………。
※Hシーンは終盤しかありません。
※この話は4部作で予定しています。
【私が欲しいのはこの皇子】
【誰が叔父様の側室になんてなるもんか!】
【放浪の花嫁】
本編は99話迄です。
番外編1話アリ。
※全ての話を公開後、【私を奪いに来るんじゃない!】を一気公開する予定です。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
黒の神官と夜のお世話役
苺野 あん
恋愛
辺境の神殿で雑用係として慎ましく暮らしていたアンジェリアは、王都からやって来る上級神官の夜のお世話役に任命されてしまう。それも黒の神官という異名を持ち、様々な悪い噂に包まれた恐ろしい相手だ。ところが実際に現れたのは、アンジェリアの想像とは違っていて……。※完結しました
明智さんちの旦那さんたちR
明智 颯茄
恋愛
あの小高い丘の上に建つ大きなお屋敷には、一風変わった夫婦が住んでいる。それは、妻一人に夫十人のいわゆる逆ハーレム婚だ。
奥さんは何かと大変かと思いきやそうではないらしい。旦那さんたちは全員神がかりな美しさを持つイケメンで、奥さんはニヤケ放題らしい。
ほのぼのとしながらも、複数婚が巻き起こすおかしな日常が満載。
*BL描写あり
毎週月曜日と隔週の日曜日お休みします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる