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第一話
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やたらと瞼が重たい。だが眼球を刺すほどの光を瞼で感じた。
私はゆっくりと目を開く。するとそこに広がったのは青い空。
なんだ。公園で居眠りでもしていたのか。そう思ったが何かおかしい。私はジュースを買いに行ったはず。居眠りなどしていない。ではこの状況はなんと説明すればいいのか。
とりあえず寝ていても仕方ない。重たい体を起こした時、そこは草が生い茂る草原だった。
「はっ?どういう事?私公園にいたんじゃ?こんな牧場みたいな場所来た覚えないけど」
周囲の景色がやたらとおかしい。それまでの状況と何一つ一致しない。草はそれほど長くはないが、足首まであり、見渡す限り草ばかり。距離感はわからないが遠くある山はアルプス山脈を彷彿とさせる山々だ。
「えーっと……もしかして夢?」
まだ寝ぼけているのかとも思ったが、肌に感じる太陽の光や風、草のにおいは本物だ。
「もしかして異世界に転生しちゃったとか?私第二の人生ここで迎えなきゃいけないの?」
そんなファンタジーな妄言を呟く私だが、友人との会話が影響しているのか、ここが私の知らない異世界にしか思えなくなった。
「と、とりあえず人を探すか……」
なんだかありきたりなセリフしか出てこない。まず人を探して、人に尋ねて、ここが知らない世界だったとしたら私はどうしたらいいのだろう。そもそも日本語通じるのかな。はたまた英語しかり……
もしかして還れないパターンだろうか?そもそも異世界転生ならば私を召喚した誰かがいてもいいじゃないかと、歳甲斐にもなくいろいろな妄想をした。
「果たしてどこに向かって歩いていけばいいのやら?」
あてもなく歩くのは危険な気もするが、いつまでもこうしていられない。とりあえずは歩こうと思った。
しばらく歩いてみたが、残念ながら景色は一変もしない。まだまだ草、草、草のオンパレード。
「もお!いつになったら人のいるところにいけるのよ!」
今が何年何月何時何分かは知らないが、地味に日が傾き始めているのを見ると、もう少しで夕方、はたまた夜になろうとしているのだろう。
「こういった時の王道って、モンスターが現れて襲われる。そこをイケメンに助けられるってオチだよね。って、なーに言ってるんだか。あの時そんな話してたからそういう思考になるのよ。イケメン様なんてそう現れないし、大体モンスターなんて現れるわけないし!」
そう高をくくってみるも、ここが異世界でありファンタジーの世界ならばモンスター出現もあり得ないだろう。そう思った矢先だった。
グルグルという犬の威嚇にも似た声が背後から聞こえてきた。
「えぇ?まさかのまさか?」
嫌な予感を覚えながらも、そっと後ろを振り返る。
「嘘でしょ……」
犬、野犬ならばまだよかった。そこにいたのは狼だ。しかもテレビとかで見たコヨーテとかいう狼ではなかろうか。違うかもしれないが、特にかくピンチである。
「こういう時、背中を向けたらいけないんだっけ?死んだふりは意味ないって……これはクマだよね。てかどうしたらいいんだろう」
だんだんと思考がパニックになってきたのがわかる。狼は今にも襲い掛かろうという感じで、自分はどうしたらいいのだろうかと考えた。
「ちょっと……ここでイケメン登場でしょ!いやまぁイケメンでなくてもいいけど、誰か助けて」
現代っ子、シティっ子にサバイバルはハードルが高い。現れるかどうかも不明な救世主に縋るしかない自分。もう王道だろうがなんだろうが、この状況をどうにかしてほしい。
私はゆっくりと目を開く。するとそこに広がったのは青い空。
なんだ。公園で居眠りでもしていたのか。そう思ったが何かおかしい。私はジュースを買いに行ったはず。居眠りなどしていない。ではこの状況はなんと説明すればいいのか。
とりあえず寝ていても仕方ない。重たい体を起こした時、そこは草が生い茂る草原だった。
「はっ?どういう事?私公園にいたんじゃ?こんな牧場みたいな場所来た覚えないけど」
周囲の景色がやたらとおかしい。それまでの状況と何一つ一致しない。草はそれほど長くはないが、足首まであり、見渡す限り草ばかり。距離感はわからないが遠くある山はアルプス山脈を彷彿とさせる山々だ。
「えーっと……もしかして夢?」
まだ寝ぼけているのかとも思ったが、肌に感じる太陽の光や風、草のにおいは本物だ。
「もしかして異世界に転生しちゃったとか?私第二の人生ここで迎えなきゃいけないの?」
そんなファンタジーな妄言を呟く私だが、友人との会話が影響しているのか、ここが私の知らない異世界にしか思えなくなった。
「と、とりあえず人を探すか……」
なんだかありきたりなセリフしか出てこない。まず人を探して、人に尋ねて、ここが知らない世界だったとしたら私はどうしたらいいのだろう。そもそも日本語通じるのかな。はたまた英語しかり……
もしかして還れないパターンだろうか?そもそも異世界転生ならば私を召喚した誰かがいてもいいじゃないかと、歳甲斐にもなくいろいろな妄想をした。
「果たしてどこに向かって歩いていけばいいのやら?」
あてもなく歩くのは危険な気もするが、いつまでもこうしていられない。とりあえずは歩こうと思った。
しばらく歩いてみたが、残念ながら景色は一変もしない。まだまだ草、草、草のオンパレード。
「もお!いつになったら人のいるところにいけるのよ!」
今が何年何月何時何分かは知らないが、地味に日が傾き始めているのを見ると、もう少しで夕方、はたまた夜になろうとしているのだろう。
「こういった時の王道って、モンスターが現れて襲われる。そこをイケメンに助けられるってオチだよね。って、なーに言ってるんだか。あの時そんな話してたからそういう思考になるのよ。イケメン様なんてそう現れないし、大体モンスターなんて現れるわけないし!」
そう高をくくってみるも、ここが異世界でありファンタジーの世界ならばモンスター出現もあり得ないだろう。そう思った矢先だった。
グルグルという犬の威嚇にも似た声が背後から聞こえてきた。
「えぇ?まさかのまさか?」
嫌な予感を覚えながらも、そっと後ろを振り返る。
「嘘でしょ……」
犬、野犬ならばまだよかった。そこにいたのは狼だ。しかもテレビとかで見たコヨーテとかいう狼ではなかろうか。違うかもしれないが、特にかくピンチである。
「こういう時、背中を向けたらいけないんだっけ?死んだふりは意味ないって……これはクマだよね。てかどうしたらいいんだろう」
だんだんと思考がパニックになってきたのがわかる。狼は今にも襲い掛かろうという感じで、自分はどうしたらいいのだろうかと考えた。
「ちょっと……ここでイケメン登場でしょ!いやまぁイケメンでなくてもいいけど、誰か助けて」
現代っ子、シティっ子にサバイバルはハードルが高い。現れるかどうかも不明な救世主に縋るしかない自分。もう王道だろうがなんだろうが、この状況をどうにかしてほしい。
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