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「えっと……あなた達はあやかしよね?誰?」
あった事のないあやかしに夏菜は首を傾げた。すると二人はくすくすと笑う。
「なっちゃん忘れちゃったの?僕はこまだよ」
「私はもえだよ」
「えっ?こまにもえ!」
どうしてこの時代にいるのかという疑問が浮かんだが、この時代はの時代よりも未来の世界だ。いておかしくないのだが、急に成長されると頭が混乱してしまった。
「あれから百年近く経っちゃったけど、僕達も無事稲荷になって風代神社の主になったんだよ」
「もえも一緒だよ。だからこの時代でなっちゃんに会えるの楽しみしてた!」
「そ、そうだったのね……なんか驚きすぎてどうしよう……だって実際に私が見たこまともえはついさっきで、小さかったし……」
タイムスリップのまた不可思議な所で、いきなり成長した二人に会えて何故か笑いが出てしまった。だがこの時代の風代神社の主がこまともえなら、仁達はどうなったのだろうか?
「仁さんはあれから白様に半分脅されて稲荷になるよう言われたから、ここにはいないんだ」
「本宮の方で白様と一緒にいるよ。みけさんはまた旅に出るって言って今はここにいないよ。京はさんはあちらのせかいにいるから呼んだら来てくれるかも」
「せつさんも住まいを転々としているけど、今はどこにいるんだろ?」
「寒くも暑くもない場所を移動してるって言ってたけど」
どうやらあやかしのみんなは今も元気でやっているらしい。そう簡単に会う事が出来ない人もいるが、なんだかまた会えるとなると嬉しくなった。だが唯一の人間でもある千庄とはもう会う事もない。それだけは悲しかった。
「千庄さんはね。なっちゃんが還った後に、社をいくつか作ってくれたんだよ」
「えっ?じゃあこれも全部千庄さんが?」
「そう、なっちゃんが困らないようにって。私達の小さな社も作ってくれたんだよ」
きっと戻って来た時にみた小さな社なのだろう。会えなくなった分、千庄は夏菜の為に、未来の為にといろいろ残してくれていたのだ。
「あ、なっちゃん!清だよ」
「えっ?」
こまが指さす先は池だ。よく見ると池が小さな輝きを見せ、人の姿を作りだした。
「清!」
そこにいたのはあの時と変わらない清。だがその表情はどこか穏やかだ。
「君にお礼が言いたかったんだ。ありがとう。形は変わっちゃったけど、ここを残してくれて」
「い、いや私というよりは白さんのおかげかもしれないし……」
「でも君が何も提案しなければこの場所は失われていたんだ。だからありがとう」
すっかりと憑き物がおちた清はとても清々しい笑顔を見せていた。すると清は夏菜に手のひらサイズの水晶を差し出した。
「こ、これは?」
いきなり何を渡されるのかと思ったが、それを見て双子が「あー!」と叫び声をあげた。
「こ、これ!」
「この土地の守り石!」
「えぇ!」
あった事のないあやかしに夏菜は首を傾げた。すると二人はくすくすと笑う。
「なっちゃん忘れちゃったの?僕はこまだよ」
「私はもえだよ」
「えっ?こまにもえ!」
どうしてこの時代にいるのかという疑問が浮かんだが、この時代はの時代よりも未来の世界だ。いておかしくないのだが、急に成長されると頭が混乱してしまった。
「あれから百年近く経っちゃったけど、僕達も無事稲荷になって風代神社の主になったんだよ」
「もえも一緒だよ。だからこの時代でなっちゃんに会えるの楽しみしてた!」
「そ、そうだったのね……なんか驚きすぎてどうしよう……だって実際に私が見たこまともえはついさっきで、小さかったし……」
タイムスリップのまた不可思議な所で、いきなり成長した二人に会えて何故か笑いが出てしまった。だがこの時代の風代神社の主がこまともえなら、仁達はどうなったのだろうか?
「仁さんはあれから白様に半分脅されて稲荷になるよう言われたから、ここにはいないんだ」
「本宮の方で白様と一緒にいるよ。みけさんはまた旅に出るって言って今はここにいないよ。京はさんはあちらのせかいにいるから呼んだら来てくれるかも」
「せつさんも住まいを転々としているけど、今はどこにいるんだろ?」
「寒くも暑くもない場所を移動してるって言ってたけど」
どうやらあやかしのみんなは今も元気でやっているらしい。そう簡単に会う事が出来ない人もいるが、なんだかまた会えるとなると嬉しくなった。だが唯一の人間でもある千庄とはもう会う事もない。それだけは悲しかった。
「千庄さんはね。なっちゃんが還った後に、社をいくつか作ってくれたんだよ」
「えっ?じゃあこれも全部千庄さんが?」
「そう、なっちゃんが困らないようにって。私達の小さな社も作ってくれたんだよ」
きっと戻って来た時にみた小さな社なのだろう。会えなくなった分、千庄は夏菜の為に、未来の為にといろいろ残してくれていたのだ。
「あ、なっちゃん!清だよ」
「えっ?」
こまが指さす先は池だ。よく見ると池が小さな輝きを見せ、人の姿を作りだした。
「清!」
そこにいたのはあの時と変わらない清。だがその表情はどこか穏やかだ。
「君にお礼が言いたかったんだ。ありがとう。形は変わっちゃったけど、ここを残してくれて」
「い、いや私というよりは白さんのおかげかもしれないし……」
「でも君が何も提案しなければこの場所は失われていたんだ。だからありがとう」
すっかりと憑き物がおちた清はとても清々しい笑顔を見せていた。すると清は夏菜に手のひらサイズの水晶を差し出した。
「こ、これは?」
いきなり何を渡されるのかと思ったが、それを見て双子が「あー!」と叫び声をあげた。
「こ、これ!」
「この土地の守り石!」
「えぇ!」
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