ようこそあやかし屋敷

まぁ

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「夏菜さん!」
 風代神社に戻ると、千庄や仁、双子がわらわらと家から姿を見せた。
「うわーん!なっちゃんが帰って来たよ!」
「なっちゃんいなくなったかと思った!」
 こまともえが夏菜に抱き着いてきたので「ごめんね。おそくなって」と言って双子の頭を優しくなでた。
「心配したんだぞ!なかなかお前が帰ってこないから何かあったのかと思って……」
「す、すみません……」
「まぁ、確かに何かあったのは間違いではないんだけどね」
「ん?誰だこいつ?」
 一緒に来たみけを見て仁は眉をしかめるが、その耳や尻尾などを見てあやかしである事には気が付いてたのだろう。
「アタシは猫のあやかしでみけ。よろしくね狐さん」
「あ、あぁ……」
「あの、夏菜さん。みけさんの言っていた何かとは一体……何があったのですか?」
「その説明はアタシがしてあげる。それより中に入れてくれないの?」
「図々しい奴だな」
「まぁまぁ仁。夏菜さんもお疲れでしょうし、とりあえず中に入りましょう。夕方前に中井さんが持って来た煮物があるんです。お腹もすているでしょうから」
 いろいろありすぎて忘れていたが、千庄が晩御飯の話をした途端に夏菜の腹の虫が鳴いた。千庄には聞こえていないが、耳のいいあやかし四人には聞こえていたようで、「あっ!なっちゃんのお腹が鳴った」などとこまにばらされたのだ。
「さぁ中に入って下さい」


 晩御飯はごはんにみそ汁、卵と魚を煮たものと、中井さんからもらったカボチャの煮つけだった。カボチャの煮つけはほどよく甘く、魚と卵を煮たものも、卵も味がしっかりと入り込んでいた。
 ゆっくりと夕飯を食べ、お風呂から上がった所で、夏菜は仁やみけ、千庄がいる客間に足を運んだ。
「あぁ、なっちゃん!この二人にはさっきの事を話したから」
 昼間の余りものだろう西瓜を食べながらみけは言う。
「不覚ながら俺達が気が付かなかった事は謝る。すまなかった……」
「き、気にしないで下さい!こればかりはどうしようもないっていうか……誰にも予想出来なかっただろうし……」
「だがあの周囲の磁場の歪みには気が付いていた事は確かだ」
 深く頭を下げ謝る仁に夏菜は戸惑った。だが自体はこの事だけでない事も事実だ。夏菜が聞いたこの周囲の磁場が緩んでいるという事だ。
「丁度お盆時期に重なっていますからね。その影響も少なからずあるにしても、大掛かりな磁場の緩みを調べるとなると、お盆後になるのではないでしょうか?」
「けど千庄ちゃん。それじゃ遅いとアタシは思うわよ。あの河童小僧はむしろその緩みを狙って何か仕掛けるかもしれないし」
「みけの言う事も一理あるな。けどこの時期にそれを調べるとなると大掛かりだな……」
 事の詳細を調べるにしてもすぐにというわけにもいかないらしい。だが夏菜は三人の話を聞いて一つ違う視点からの答えを導いた。
「もしかしたら、その緩みっていうのはこの時代ではなく、私のいた時代じゃないのかな?ぼら、私のいる時代はすでに清のいた川もなく、この神社には神主もいなければ信仰心も強い方じゃないし……」
 どちらかと言うと清はこの時代にあるあの川を気に入っていた。わざわざそれを壊そうとするのか。
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