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 何かと豪快な所はアメリカ人気質なのだろうか。陽菜はしどろもどらになりながらも挨拶をした。
「ひ、陽菜です。よろしくお願いします……」
「今回のパートナーは随分と奥ゆかしいね。前のパートナーだったブレンダは何かと派手だったのに」
 ハハハと笑うユージンに対しアレンはユージンを諫めた。
「ユージン。僕のパートナーの前で過去の話はマナー違反じゃないかい?」
「おっとそうだな。悪い悪い。ヒナも気を悪くしないでくれ」
「あっ、はい……」
 アレンの過去の彼女名簿の一部は以前アンリから聞いていたのもあってさほど驚きはしない。さすがにハリウッド女優と争うなど身の程知らずだ。
「でもアレンはパートナーの手を放すなよ。ブレンダのやつ、パートナー連れて来てるとは言ってもまだお前に気があるみたいだし」
「彼女も来てるのか?」
「あぁ。どこの筋から聞いたのかしらないが、今日この場にいる」
 もし鉢合わせしたら修羅場かもしれないとユージンは言うが、おそらくめちゃくちゃ美人なので比較対象にもならないだろう。だが元カノとのバッティングはさすがに嫌だなとは思った。
「まっ、アレンがしっかりしてればいいだけだし、ヒナは楽しんでくれ」
「は、はい……」
 そう言うとユージンは姿を消した。再び二人だけになり、身の置き場がわからない陽菜は呆然としていた。するとアレンに手を引かれた。
「ヒナこっち。料理や飲み物はこっちにあるよ」
 ここでの料理はビュッフェスタイルだが、テーブルそのものはあまりないので、立ったままで食べられるフィンガーサイズのものが多い。飲み物もシャンペンからワイン、ビールにカクテルと様々。陽菜はアレンが取ってきてくれたビールを飲みながらフィンガーフードを食べる。
「生ハム美味しい!このチーズも食べた事ない!」
 クラッカーに乗った生ハムとモッツァレラは塩気が強くなく、程よい塩加減で、アボカドのソースがかけられている。
「こっちも美味しいよ」
「ホントだ!何これ!食べた事ない!」
 雛鳥よろしく、アレンは陽菜の口にいろいろと食べ物を入れていく。さすがはセレブパーティなだけあって食べ物もぬかりない。
 あの料理この料理、どうやったら家庭で再現出来るかなど考えていた。
「良かった。ヒナが楽しんでくれて」
「どうしたの?」
「いや、ユージンが僕の過去をヒナの前で話すからさ」
 アレンなりに気を使ってくれたのだろうが、今更な感じもした。
「別に気にしてないと言ったら嘘になるけど、絶世美女達と争っても意味はないからね。それに過去の事でしょ?なら別にいいよ」
「ヒナ!」
 パァッと明るい表情を見せるアレンは今にも陽菜に飛びつきそうだったので止めた。
 誰もが憧れ、その力に慄くヒースルー一族のアレンなのに、陽菜の前では天然系の男だ。そもそも陽菜の前だけかはわからないが、ちょっと抜けた部分は親近感もわくから嫌いではない。
「早く帰ってヒナとイチャイチャしたい」
「こういうとこでそんな事言わない!」
 やや暴走気味なアレンを諫めていると、その視線の先に見たことある人物がいた。
「あ、あれ!大塚一誠と桐谷あすかじゃん!」
 まさかの芸能人二人に陽菜のテンションが上がる。
「あの二人付き合ってるの?めっちゃスクープじゃん!」
「ヒナ?」
 日本の芸能には疎いアレンは何を言っているのかわからず首を傾げたが、陽菜は見てはいけないものを見た気分で変に気分が上がった。
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