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第十三章
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沙季が施した書簡が完成したのはそれから三日後の事だった。その間、莉春と星永は国の観光ついでに、自国に戻った際の参考となるものがないかを見て回った。
「成程な。内陸にある国だからこそため池を各所に配置するのか。だが口にする水とは別にし……」
この国は少なからず御使いの影響がある国だ。この世界にはない技術を応用したものがここにはある。星永も興味深く調べていた。
そして出立の時、箔徒と沙季が二人を見送る為に泊まっている宿までやって来た。
「数人ではあるが、こちらの兵を護衛にして、森を抜けるまでの手立てはしよう」
「ありがとうございます。大変助かります。それに……とてもいい勉強も出来ましたし、お世話にもなりました。またいつかこちらに顔を出したいものです」
「ああ。その時はそなたの夫……皇帝と一緒に来るがいい」
国の主が不在になるのは難しい。だがこれも縁だ。またいつか会えたらいいなと莉春は思った。
「これから大変かと思います。私の書いたもの全てが正しいわけではありませんが、皆さんの手助けになればと思います」
「沙季様にはいろいろと教えてもらい助かった。これで我が国も落ち着くだろう」
星永の言葉に「ありがとうございます」と返した沙季は優しく微笑んだ。
「それでは日が暮れるまでには次の町へ行きたい故、ここで失礼します」
「それでは二人ともお元気で」
互いの国の発展を願い星永と莉春は国を後にした。
それから数刻馬を走らせ、森を抜け出した二人は、近くの町で一夜を明かす。
帰りは順調そのものだった。だが国に近い町でまたも事件が起こった。
「莉春様。食事の用意が出来ました」
夕刻になって星永が莉春に声をかける。だが莉春の返事がなかった。様子がおかしいと思い部屋に入った時だった。
「莉春様!」
その場に倒れこんでいた莉春を星永は発見する。
「莉春様!莉春様!」
すぐに莉春を起こすが返事はない。誰か賊が入り込んだのかと思ったが、その形跡はない。少し離れていただけの間、何があったのだと星永は思った。すると莉春の手から皇帝の玉佩が床に落ちる。
「これは皇帝のもの……」
そしてもう片方の手に握られていた手拭い。そこには血がついていた。
すぐに医者を呼び莉春を診てもらった。だが医者は莉春の容態を見て首を横に振った。
「不治の病でしょう。今までよく無事でいたとしか私は言えません」
「なんとかならないのか?」
「残念ですが、病はだいぶ進行しているように見えます」
どうして莉春の様子や変化に気が着けなかったのか。医者は咳止めと解熱剤を置いて部屋を後にした。とりあえずこの事は早急に言わなくてはいけない。星永は早文を冠耀に向け放った。
それから数刻して、莉春は目を覚ました。
「莉春様!」
「星永……ごめんなさい。なんだか迷惑をかけたみたいね」
「起きてはいけません!まだ寝ていて下さい」
起き上がろうとした莉春を星永は止める。
「何故、病の事を黙っていたのですか?」
「誰にも迷惑をかけられないからかな」
「そんな!言わない方が皇帝にも迷惑がかかりますし、もしもの事があったら哀しみます」
「成程な。内陸にある国だからこそため池を各所に配置するのか。だが口にする水とは別にし……」
この国は少なからず御使いの影響がある国だ。この世界にはない技術を応用したものがここにはある。星永も興味深く調べていた。
そして出立の時、箔徒と沙季が二人を見送る為に泊まっている宿までやって来た。
「数人ではあるが、こちらの兵を護衛にして、森を抜けるまでの手立てはしよう」
「ありがとうございます。大変助かります。それに……とてもいい勉強も出来ましたし、お世話にもなりました。またいつかこちらに顔を出したいものです」
「ああ。その時はそなたの夫……皇帝と一緒に来るがいい」
国の主が不在になるのは難しい。だがこれも縁だ。またいつか会えたらいいなと莉春は思った。
「これから大変かと思います。私の書いたもの全てが正しいわけではありませんが、皆さんの手助けになればと思います」
「沙季様にはいろいろと教えてもらい助かった。これで我が国も落ち着くだろう」
星永の言葉に「ありがとうございます」と返した沙季は優しく微笑んだ。
「それでは日が暮れるまでには次の町へ行きたい故、ここで失礼します」
「それでは二人ともお元気で」
互いの国の発展を願い星永と莉春は国を後にした。
それから数刻馬を走らせ、森を抜け出した二人は、近くの町で一夜を明かす。
帰りは順調そのものだった。だが国に近い町でまたも事件が起こった。
「莉春様。食事の用意が出来ました」
夕刻になって星永が莉春に声をかける。だが莉春の返事がなかった。様子がおかしいと思い部屋に入った時だった。
「莉春様!」
その場に倒れこんでいた莉春を星永は発見する。
「莉春様!莉春様!」
すぐに莉春を起こすが返事はない。誰か賊が入り込んだのかと思ったが、その形跡はない。少し離れていただけの間、何があったのだと星永は思った。すると莉春の手から皇帝の玉佩が床に落ちる。
「これは皇帝のもの……」
そしてもう片方の手に握られていた手拭い。そこには血がついていた。
すぐに医者を呼び莉春を診てもらった。だが医者は莉春の容態を見て首を横に振った。
「不治の病でしょう。今までよく無事でいたとしか私は言えません」
「なんとかならないのか?」
「残念ですが、病はだいぶ進行しているように見えます」
どうして莉春の様子や変化に気が着けなかったのか。医者は咳止めと解熱剤を置いて部屋を後にした。とりあえずこの事は早急に言わなくてはいけない。星永は早文を冠耀に向け放った。
それから数刻して、莉春は目を覚ました。
「莉春様!」
「星永……ごめんなさい。なんだか迷惑をかけたみたいね」
「起きてはいけません!まだ寝ていて下さい」
起き上がろうとした莉春を星永は止める。
「何故、病の事を黙っていたのですか?」
「誰にも迷惑をかけられないからかな」
「そんな!言わない方が皇帝にも迷惑がかかりますし、もしもの事があったら哀しみます」
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