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第四章
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初夏の風が日除けにと垂らしている御簾をなびかせる季節。女官採用試験に合格した莉春を含む三名の新米女官は、世話役の女官、陵妓にあれこれと指示を仰ぎながら仕事をしている。
莉春が女官に合格した事を知った朱里は「よかったわね。奇跡とはいえ、合格したならしっかりがんばりなさい」と言われた。それまで同室だった部屋を後にし、小さいながらも自分の部屋を与えられた莉春は、朱里がいなく少し寂しさを覚えた。
女官になれば専用の服が用意され、それまでと違う質感もだが、安易に汚してはいけないなと袖を通した時に思った。
そして仕事が変わった事で、莉春が朝早くに起き、井戸に行く事もなくなったので、あの日の夜以降、盈月とは会っていない。元気にしているのかと気にはしているものの、日々の忙しさでそこまで気にもしていられなかった。
莉春の仕事は書庫の整理。どこから降って沸くのかわからないほどの書簡や書物が日々大量にあり、それら全てを整理し元に戻すだけでも一苦労だ。
他国の事が書かれた物から、数年前に崩御した御使いが書き残した書もあったが、こちらはあちらの世界の言葉で書かれているので莉春や他の者にも読むことは出来ない。
整理の傍らで、気になった書物をこっそり見たりしては文献を広げようしていた莉春にとって、国の在り方や政を知るのはとても楽しい。とは言え、官吏になりたいかと言えば別だし、女子は官吏になる事は出来ない。
「田舎にいては知らない事だらけねぇ……」
今日もまた片付けの傍らで書簡を読む。その癖は昼食時間にも及び、皆がわいわい言いながら食べている中、莉春は書庫にこもって昼食をとったりする。何度か陵妓には怒られたが、何度言ってもやめないのでもう言う事をやめたようだ。別段悪い事をしているわけではなく、むしろしっかり職務を全うしているのでお咎めなしだ。
「三公、尚書省、中書省……言葉や役職多すぎて頭がごちゃごちゃになるな。てかこれだけの人材をよく盈月はまとめてるなぁ……」
実際には宰相がいるので、盈月は各自最終決定権を持つわけだが、それでもここまで苦労がないとも言えない。景美曰く、城は後宮から政務におけるまで魔窟なのだそうだ。政務に関しても政務を疎かにし、失望させようものならば謀反も辞さないという輩は少なからずいる。今も兄弟の誰か付きの官吏もいるので、気を抜けばその首が変わるという事だ。
「本当、盈月の言う通りだな。城は怖い場所だ」
莉春が女官に合格した事を知った朱里は「よかったわね。奇跡とはいえ、合格したならしっかりがんばりなさい」と言われた。それまで同室だった部屋を後にし、小さいながらも自分の部屋を与えられた莉春は、朱里がいなく少し寂しさを覚えた。
女官になれば専用の服が用意され、それまでと違う質感もだが、安易に汚してはいけないなと袖を通した時に思った。
そして仕事が変わった事で、莉春が朝早くに起き、井戸に行く事もなくなったので、あの日の夜以降、盈月とは会っていない。元気にしているのかと気にはしているものの、日々の忙しさでそこまで気にもしていられなかった。
莉春の仕事は書庫の整理。どこから降って沸くのかわからないほどの書簡や書物が日々大量にあり、それら全てを整理し元に戻すだけでも一苦労だ。
他国の事が書かれた物から、数年前に崩御した御使いが書き残した書もあったが、こちらはあちらの世界の言葉で書かれているので莉春や他の者にも読むことは出来ない。
整理の傍らで、気になった書物をこっそり見たりしては文献を広げようしていた莉春にとって、国の在り方や政を知るのはとても楽しい。とは言え、官吏になりたいかと言えば別だし、女子は官吏になる事は出来ない。
「田舎にいては知らない事だらけねぇ……」
今日もまた片付けの傍らで書簡を読む。その癖は昼食時間にも及び、皆がわいわい言いながら食べている中、莉春は書庫にこもって昼食をとったりする。何度か陵妓には怒られたが、何度言ってもやめないのでもう言う事をやめたようだ。別段悪い事をしているわけではなく、むしろしっかり職務を全うしているのでお咎めなしだ。
「三公、尚書省、中書省……言葉や役職多すぎて頭がごちゃごちゃになるな。てかこれだけの人材をよく盈月はまとめてるなぁ……」
実際には宰相がいるので、盈月は各自最終決定権を持つわけだが、それでもここまで苦労がないとも言えない。景美曰く、城は後宮から政務におけるまで魔窟なのだそうだ。政務に関しても政務を疎かにし、失望させようものならば謀反も辞さないという輩は少なからずいる。今も兄弟の誰か付きの官吏もいるので、気を抜けばその首が変わるという事だ。
「本当、盈月の言う通りだな。城は怖い場所だ」
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