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第三話
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その生き物ははっきりと自分がルルだと言った。状況が追いつけない真樹やカイは目を丸くしている。
「ルルって……でも子猫で……」
「だからホントにルルなんだよ。生後一ヶ月の子猫だよ」
確かに生後一ヶ月なら人間換算すれば四、五歳くらいだろう。しかし問題はそこではなく、ルルが人になるという事だ。
「キメラになったんだ。人型に化けても問題ないだろ?それに俺のご主人は真樹なんだぞ」
ここまで滑舌良く話す五歳児などいるものだろうか。聞けばそこはレティが惚れ薬作成最中に混ぜたアレコレの影響で、多少なりと知恵はあるらしい。
「でも体は子供だからな。まだまだミルクが必要な年頃だ。だから真樹から母乳が出るかと思ったが……」
「で、出るわけないよ!僕は男だよ!」
「なんだ?人間の世界では男は母乳も子供も出来ないのか?」
逆に問いたい。そちらの世界では男性妊娠が当たり前なのかと。だが元猫とはいえルルも哺乳類のはずだ。オスとメスの機能は分けられているはず。雌雄混合の生き物ではない。
(って、僕も真剣に何考えてるんだ?)
そう言えば召喚前、一部腐女子達がそういうジャンルがあると騒いでいたのを思い出した。まさか自分がその対象になるとは思いもしなかった。
(腐女子さんからそこのところ聞いておけば良かった……って、僕は人間の男だから無理だし!)
目の前の事に頭をこんがらがっていく真樹とは違い、カイは徐々に冷静さを取り戻していく。
「つまりお前は元猫だが人に化ける事も可能で成長もすると」
「そうだよ」
「他には?他には何か出来るのか?」
「さあな。今ところガキだからな。化ける以外の能力は未知数」
ルルがカイ達に危害を加えるかどうかはわからないが、今しがた、子供のうちはないというわけだが。
「だが元猫の部分が強いなら、成長するスピードも速いはずだよな?」
「まぁ、そうだな。けど、成長スピードまでは知らないぞ。猫同様の成長なのかどうかは。まっ、それでもまだミルクが必要だけどな。って事で真樹。ミルクをよこせ」
「えっ?何言って!」
にかっと笑ったルルが真樹の元に行き服を捲し上げる。戸惑う真樹などお構いなしに、露出した胸に口をつけ乳を吸う。
「だ、だから僕は男!母乳なんか出ないから!」
引き離そうにもルルはしっかりと食いついている。困っているとカイが「いい加減にしろ!」と言って真樹からルルを力づくで引き離した。
「何するんだよ!子供に乳やるなんて母親が普通にやるだろ?」
「真樹は男だ。それに子供であってもお前は知恵もあるんだ。出ない事くらいわかるだろ」
「まだまだ乳を吸いたいお年頃なんだよ。口に咥えておくだけでも落ち着くんだ」
「ならレティかリスティアムに頼んでお前専用のおしゃぶりでも作ってもらうから、それまで我慢しろ」
「あんな模造品嫌に決まってるだろ」
「ならオレの乳でも吸うか?」
その一言にルルはとっても嫌そうな顔を見せた。もちろんカイだって乳を吸われるなど御免被りたい。
「お前の硬そうな乳なんか嫌だよ!」
「とりあえず真樹の乳を吸うのはダメだ。次やったら叩き斬るからな」
真剣な目で、何か圧を感じるカイの表情に、ルルはようやく「わかったよ……」と言って引き下がった。
「ルルって……でも子猫で……」
「だからホントにルルなんだよ。生後一ヶ月の子猫だよ」
確かに生後一ヶ月なら人間換算すれば四、五歳くらいだろう。しかし問題はそこではなく、ルルが人になるという事だ。
「キメラになったんだ。人型に化けても問題ないだろ?それに俺のご主人は真樹なんだぞ」
ここまで滑舌良く話す五歳児などいるものだろうか。聞けばそこはレティが惚れ薬作成最中に混ぜたアレコレの影響で、多少なりと知恵はあるらしい。
「でも体は子供だからな。まだまだミルクが必要な年頃だ。だから真樹から母乳が出るかと思ったが……」
「で、出るわけないよ!僕は男だよ!」
「なんだ?人間の世界では男は母乳も子供も出来ないのか?」
逆に問いたい。そちらの世界では男性妊娠が当たり前なのかと。だが元猫とはいえルルも哺乳類のはずだ。オスとメスの機能は分けられているはず。雌雄混合の生き物ではない。
(って、僕も真剣に何考えてるんだ?)
そう言えば召喚前、一部腐女子達がそういうジャンルがあると騒いでいたのを思い出した。まさか自分がその対象になるとは思いもしなかった。
(腐女子さんからそこのところ聞いておけば良かった……って、僕は人間の男だから無理だし!)
目の前の事に頭をこんがらがっていく真樹とは違い、カイは徐々に冷静さを取り戻していく。
「つまりお前は元猫だが人に化ける事も可能で成長もすると」
「そうだよ」
「他には?他には何か出来るのか?」
「さあな。今ところガキだからな。化ける以外の能力は未知数」
ルルがカイ達に危害を加えるかどうかはわからないが、今しがた、子供のうちはないというわけだが。
「だが元猫の部分が強いなら、成長するスピードも速いはずだよな?」
「まぁ、そうだな。けど、成長スピードまでは知らないぞ。猫同様の成長なのかどうかは。まっ、それでもまだミルクが必要だけどな。って事で真樹。ミルクをよこせ」
「えっ?何言って!」
にかっと笑ったルルが真樹の元に行き服を捲し上げる。戸惑う真樹などお構いなしに、露出した胸に口をつけ乳を吸う。
「だ、だから僕は男!母乳なんか出ないから!」
引き離そうにもルルはしっかりと食いついている。困っているとカイが「いい加減にしろ!」と言って真樹からルルを力づくで引き離した。
「何するんだよ!子供に乳やるなんて母親が普通にやるだろ?」
「真樹は男だ。それに子供であってもお前は知恵もあるんだ。出ない事くらいわかるだろ」
「まだまだ乳を吸いたいお年頃なんだよ。口に咥えておくだけでも落ち着くんだ」
「ならレティかリスティアムに頼んでお前専用のおしゃぶりでも作ってもらうから、それまで我慢しろ」
「あんな模造品嫌に決まってるだろ」
「ならオレの乳でも吸うか?」
その一言にルルはとっても嫌そうな顔を見せた。もちろんカイだって乳を吸われるなど御免被りたい。
「お前の硬そうな乳なんか嫌だよ!」
「とりあえず真樹の乳を吸うのはダメだ。次やったら叩き斬るからな」
真剣な目で、何か圧を感じるカイの表情に、ルルはようやく「わかったよ……」と言って引き下がった。
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