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第三話

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「真樹。ルルのご飯用意出来ましたよ」
「ありがとう!」
 リスティアムはミルクの入った器を持ってやって来る。どうやら半モンスターとなった猫はまだ子猫のようで、離乳食とミルクを交互に与えている。
 モンスターとはなったと言えど、半分は動物なので、普通に動物が食べるような食事をしてくれる。
 ちなみに名前はルル。ただオスかメスかわからないのにルルでいいのかとも思ったが、案外ルルも名前を気に入ってるようなのでルルで決まりだ。
「いやぁ、なんていうか……ペットをめちゃくちゃ愛玩する飼い主だね。ありゃ……」
「そうだな……」
 真樹とリスティアムの微笑ましい光景にフェイやカイは半分呆れつつも、平和だなと思った。だが一人、「冗談じゃないよ!」と目くじらを立てている人物もいる。
「希少な巨大スライムの体液また取りに行かなきゃならない!」
「まぁまぁレティ。それ以外の方法はないのか?」
「うーん……ないとも言えないけど、いろんなリスクがありすぎる」
「えっ?」
 依頼されていた惚れ薬とやらが出来なくなり、ご立腹なレティだが、カイに言われたそれ以外にかなり渋った様子を見せた。
「別の方法は効果絶大なんだ。むしろそっちで作る惚れ薬の方が確実だ」
「そ、そうなのか?ちなみにその方法とは?」
「意中の相手の体液、及び体毛なんかを使う惚れ薬。相手が特定されるから、依頼者はそちらを望んでいるけど、僕はこの方法はリスクでしかないと思う」
「まぁ……相手から何かしら取らないといけないとなったらね」
「それだけじゃないよ。初めの方法は一定期間の効果だけど、もう一つは半永久だ。相手の心を殺してまで縛り付けるのは危険だし、僕はおすすめしない」
 レティ曰く、一定期間の効果で相手を落とせばいい。心を奪う事はダメだという。言わんとする事はわかるし、もし自分が半永久的に好きでもない相手を好きと言い続けるのはごめんだとカイは思った。
「もう一つ……あの半モンスターは見た目にはペットでいるけど、どういう生き物なのか想像がつかない」
 飼うと言ったペットのルルだが、不確定要素も多い。元々が不慮の事故によって生まれたキメラだ。キメラはその能力の予想がつかない。まだ子猫の状態だが、成長するにつれてどのような力を見せるのか。要注意だとレティは言った。
「でもまぁ、今の真樹からルルを取り上げるには心が痛むがな」
「そこは君達二人の出番だよ。もし何かあれば首を落とす。それが飼う条件だと真樹にも言ったからね」
 何もない事を願うしかない。真樹のあんな嬉しそうな顔を見たら、カイだって真樹からルルを取り上げたくはない。
「とりあえず僕は惚れ薬の別方法を考えるよ」
 そう言って席を立ったレティに続き、「オレも一休みしてくる」と言ってフェイも席を後にした。
 残ったカイは真樹をじっと見つめた。
(そう言えば真樹はリスティアムの館に残るのかな?) 
 話の途中で大爆発が起こったので中断したが、真樹はこれからどうするつもりなのだろうか。
 カイとしては一緒にいたいし、戻るなら戻るで一緒だ。もし戻らないにしても、これからは真樹と一緒にいる。
 どちらにしても真樹といたいのだが、もしここに残ると言うならば……その時はどうすればいいのか、カイは考えた。
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