20 / 32
第二話
8
しおりを挟む
「元の世界に戻せないだと……」
「そうだよ。僕にはそんな力はないからね」
堂々と言ってのける男だが、こういうのは魔法と同じ原理だ。それを考えるとこの男、魔法使いとしてはかなりポンコツなのかもしれない。
(けど魔法……魔法使い?)
真樹の頭にピンッと思い浮かんだのはレティだ。
「ねえカイ。もしかしたらレティなら帰る為の魔法知ってるかもよ」
「レティが?まぁ確かに……レティなら出来そうだな」
早いところこの状況を打破し、レティにいろいろ聞いてみたいところだ。すると男は小さな声で「レティ……?」と呟いた。だがその声は二人には届いていないようだ。
「と、とりあえず君達はもう二度と元の世界には戻れない!」
「それはやってみなければわからないだろ!」
「まぁ、そこのお邪魔虫に関しては元の世界に戻してもらえるように頼んでみなくもないけど」
「つまりお前よりもより強い魔法使いがいるって事だな」
「うぐっ……」
そこに関してはあまり認めたくないのか、口を噤んでいる。だがこの世界に呼び出した本人にしてはあまりにお粗末だ。大した力を持っているわけでもなく、普通にラスボスではなく雑魚キャラではないかと思った。
「と、とにかく帰りたければ僕の条件を飲め!」
「何を偉そうに言ってるんだ?まぁいい。とりあえず条件はなんだ?」
「ぼ、僕の永遠の番になって欲しい……」
男の言葉にカイは目を点にさせている。真樹もやっぱりと言った感じで見守った。当の男は「言ってしまった……」と、恥ずかしそうにモジモジしている。
「残念だけどお断りだ!」
「もちろん……君が男で、僕も男なのはわかってる」
「そうじゃない。オレは真樹と一緒に帰りたいんだ。そんな条件飲めるか」
「でも、それじゃあ帰る方法は見つからないよ」
「それはこちらで探す。もし見つからなくても、オレはこの世界で真樹となら暮らせる」
その言葉の意味はどう捉えればいいのか。捉え方によっては大変な意味合いになる。
「えっとカイ……さっきから何を言って……」
「一緒にいたいって言ったのは真樹だろ?」
「ぼ、僕がいつそんな事を!」
「さっき寝る前に」
おそらく寝ぼけて言ったのかもしれない。だがそんな事をカイに言ったのだとすると、BLフラグは自ら招いている事になる。
(僕のバカ!何を言ったんだよ!)
潜在意識なのだろう。それがふとした瞬間に出た。となるとそれは真樹の本音であり、そう願っている事になるが。
(えっ?僕、カイをそんな意味で見てないよ!)
なんだか恥ずかしくなった真樹。するとそんなやり取りを見ていた男はキーッと地団駄を踏む。
「二度ならず三度も!僕の前でいちゃつくな!ええい!お前なんか消えちゃえ!」
怒りに任せ、男の手から光が放たれる。至近距離からのそれに、二人は逃れる術もない。とっさにカイが真樹を庇う。
「カイ!」
光の発光による衝撃は真樹にはなかった。だが真樹だけでなく、真樹を庇っていたカイも無傷だ。
「やれやれ……間に合ってよかったです」
突然背後からプラチナブロンドの長い髪を持つ長身の男が現れた。
「そうだよ。僕にはそんな力はないからね」
堂々と言ってのける男だが、こういうのは魔法と同じ原理だ。それを考えるとこの男、魔法使いとしてはかなりポンコツなのかもしれない。
(けど魔法……魔法使い?)
真樹の頭にピンッと思い浮かんだのはレティだ。
「ねえカイ。もしかしたらレティなら帰る為の魔法知ってるかもよ」
「レティが?まぁ確かに……レティなら出来そうだな」
早いところこの状況を打破し、レティにいろいろ聞いてみたいところだ。すると男は小さな声で「レティ……?」と呟いた。だがその声は二人には届いていないようだ。
「と、とりあえず君達はもう二度と元の世界には戻れない!」
「それはやってみなければわからないだろ!」
「まぁ、そこのお邪魔虫に関しては元の世界に戻してもらえるように頼んでみなくもないけど」
「つまりお前よりもより強い魔法使いがいるって事だな」
「うぐっ……」
そこに関してはあまり認めたくないのか、口を噤んでいる。だがこの世界に呼び出した本人にしてはあまりにお粗末だ。大した力を持っているわけでもなく、普通にラスボスではなく雑魚キャラではないかと思った。
「と、とにかく帰りたければ僕の条件を飲め!」
「何を偉そうに言ってるんだ?まぁいい。とりあえず条件はなんだ?」
「ぼ、僕の永遠の番になって欲しい……」
男の言葉にカイは目を点にさせている。真樹もやっぱりと言った感じで見守った。当の男は「言ってしまった……」と、恥ずかしそうにモジモジしている。
「残念だけどお断りだ!」
「もちろん……君が男で、僕も男なのはわかってる」
「そうじゃない。オレは真樹と一緒に帰りたいんだ。そんな条件飲めるか」
「でも、それじゃあ帰る方法は見つからないよ」
「それはこちらで探す。もし見つからなくても、オレはこの世界で真樹となら暮らせる」
その言葉の意味はどう捉えればいいのか。捉え方によっては大変な意味合いになる。
「えっとカイ……さっきから何を言って……」
「一緒にいたいって言ったのは真樹だろ?」
「ぼ、僕がいつそんな事を!」
「さっき寝る前に」
おそらく寝ぼけて言ったのかもしれない。だがそんな事をカイに言ったのだとすると、BLフラグは自ら招いている事になる。
(僕のバカ!何を言ったんだよ!)
潜在意識なのだろう。それがふとした瞬間に出た。となるとそれは真樹の本音であり、そう願っている事になるが。
(えっ?僕、カイをそんな意味で見てないよ!)
なんだか恥ずかしくなった真樹。するとそんなやり取りを見ていた男はキーッと地団駄を踏む。
「二度ならず三度も!僕の前でいちゃつくな!ええい!お前なんか消えちゃえ!」
怒りに任せ、男の手から光が放たれる。至近距離からのそれに、二人は逃れる術もない。とっさにカイが真樹を庇う。
「カイ!」
光の発光による衝撃は真樹にはなかった。だが真樹だけでなく、真樹を庇っていたカイも無傷だ。
「やれやれ……間に合ってよかったです」
突然背後からプラチナブロンドの長い髪を持つ長身の男が現れた。
1
お気に入りに追加
53
あなたにおすすめの小説
社畜だけど異世界では推し騎士の伴侶になってます⁈
めがねあざらし
BL
気がつくと、そこはゲーム『クレセント・ナイツ』の世界だった。
しかも俺は、推しキャラ・レイ=エヴァンスの“伴侶”になっていて……⁈
記憶喪失の俺に課されたのは、彼と共に“世界を救う鍵”として戦う使命。
しかし、レイとの誓いに隠された真実や、迫りくる敵の陰謀が俺たちを追い詰める――。
異世界で見つけた愛〜推し騎士との奇跡の絆!
推しとの距離が近すぎる、命懸けの異世界ラブファンタジー、ここに開幕!
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
完結·助けた犬は騎士団長でした
禅
BL
母を亡くしたクレムは王都を見下ろす丘の森に一人で暮らしていた。
ある日、森の中で傷を負った犬を見つけて介抱する。犬との生活は穏やかで温かく、クレムの孤独を癒していった。
しかし、犬は突然いなくなり、ふたたび孤独な日々に寂しさを覚えていると、城から迎えが現れた。
強引に連れて行かれた王城でクレムの出生の秘密が明かされ……
※完結まで毎日投稿します
【第1章完結】悪役令息に転生して絶望していたら王国至宝のエルフ様にヨシヨシしてもらえるので、頑張って生きたいと思います!
梻メギ
BL
「あ…もう、駄目だ」プツリと糸が切れるように限界を迎え死に至ったブラック企業に勤める主人公は、目覚めると悪役令息になっていた。どのルートを辿っても断罪確定な悪役令息に生まれ変わったことに絶望した主人公は、頑張る意欲そして生きる気力を失い床に伏してしまう。そんな、人生の何もかもに絶望した主人公の元へ王国お抱えのエルフ様がやってきて───!?
【王国至宝のエルフ様×元社畜のお疲れ悪役令息】
▼第2章2025年1月18日より投稿予定
▼この作品と出会ってくださり、ありがとうございます!初投稿になります、どうか温かい目で見守っていただけますと幸いです。
▼こちらの作品はムーンライトノベルズ様にも投稿しております。
転生悪役令息、雌落ち回避で溺愛地獄!?義兄がラスボスです!
めがねあざらし
BL
人気BLゲーム『ノエル』の悪役令息リアムに転生した俺。
ゲームの中では「雌落ちエンド」しか用意されていない絶望的な未来が待っている。
兄の過剰な溺愛をかわしながらフラグを回避しようと奮闘する俺だが、いつしか兄の目に奇妙な影が──。
義兄の溺愛が執着へと変わり、ついには「ラスボス化」!?
このままじゃゲームオーバー確定!?俺は義兄を救い、ハッピーエンドを迎えられるのか……。
※タイトル変更(2024/11/27)
傷だらけの僕は空をみる
猫谷 一禾
BL
傷を負った少年は日々をただ淡々と暮らしていく。
生を終えるまで、時を過ぎるのを暗い瞳で過ごす。
諦めた雰囲気の少年に声をかける男は軽い雰囲気の騎士団副団長。
身体と心に傷を負った少年が愛を知り、愛に満たされた幸せを掴むまでの物語。
ハッピーエンドです。
若干の胸くそが出てきます。
ちょっと痛い表現出てくるかもです。
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
獣人の子供が現代社会人の俺の部屋に迷い込んできました。
えっしゃー(エミリオ猫)
BL
突然、ひとり暮らしの俺(会社員)の部屋に、獣人の子供が現れた!
どっから来た?!異世界転移?!仕方ないので面倒を見る、連休中の俺。
そしたら、なぜか俺の事をママだとっ?!
いやいや女じゃないから!え?女って何って、お前、男しか居ない世界の子供なの?!
会社員男性と、異世界獣人のお話。
※6話で完結します。さくっと読めます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる