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第二話

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「元の世界に戻せないだと……」
「そうだよ。僕にはそんな力はないからね」
 堂々と言ってのける男だが、こういうのは魔法と同じ原理だ。それを考えるとこの男、魔法使いとしてはかなりポンコツなのかもしれない。
(けど魔法……魔法使い?) 
 真樹の頭にピンッと思い浮かんだのはレティだ。
「ねえカイ。もしかしたらレティなら帰る為の魔法知ってるかもよ」
「レティが?まぁ確かに……レティなら出来そうだな」
 早いところこの状況を打破し、レティにいろいろ聞いてみたいところだ。すると男は小さな声で「レティ……?」と呟いた。だがその声は二人には届いていないようだ。
「と、とりあえず君達はもう二度と元の世界には戻れない!」
「それはやってみなければわからないだろ!」
「まぁ、そこのお邪魔虫に関しては元の世界に戻してもらえるように頼んでみなくもないけど」
「つまりお前よりもより強い魔法使いがいるって事だな」
「うぐっ……」
 そこに関してはあまり認めたくないのか、口を噤んでいる。だがこの世界に呼び出した本人にしてはあまりにお粗末だ。大した力を持っているわけでもなく、普通にラスボスではなく雑魚キャラではないかと思った。
「と、とにかく帰りたければ僕の条件を飲め!」
「何を偉そうに言ってるんだ?まぁいい。とりあえず条件はなんだ?」
「ぼ、僕の永遠の番になって欲しい……」
 男の言葉にカイは目を点にさせている。真樹もやっぱりと言った感じで見守った。当の男は「言ってしまった……」と、恥ずかしそうにモジモジしている。
「残念だけどお断りだ!」
「もちろん……君が男で、僕も男なのはわかってる」
「そうじゃない。オレは真樹と一緒に帰りたいんだ。そんな条件飲めるか」
「でも、それじゃあ帰る方法は見つからないよ」
「それはこちらで探す。もし見つからなくても、オレはこの世界で真樹となら暮らせる」
 その言葉の意味はどう捉えればいいのか。捉え方によっては大変な意味合いになる。
「えっとカイ……さっきから何を言って……」
「一緒にいたいって言ったのは真樹だろ?」
「ぼ、僕がいつそんな事を!」
「さっき寝る前に」
 おそらく寝ぼけて言ったのかもしれない。だがそんな事をカイに言ったのだとすると、BLフラグは自ら招いている事になる。
(僕のバカ!何を言ったんだよ!)
 潜在意識なのだろう。それがふとした瞬間に出た。となるとそれは真樹の本音であり、そう願っている事になるが。
(えっ?僕、カイをそんな意味で見てないよ!)
 なんだか恥ずかしくなった真樹。するとそんなやり取りを見ていた男はキーッと地団駄を踏む。
「二度ならず三度も!僕の前でいちゃつくな!ええい!お前なんか消えちゃえ!」
 怒りに任せ、男の手から光が放たれる。至近距離からのそれに、二人は逃れる術もない。とっさにカイが真樹を庇う。
「カイ!」
 光の発光による衝撃は真樹にはなかった。だが真樹だけでなく、真樹を庇っていたカイも無傷だ。
「やれやれ……間に合ってよかったです」
 突然背後からプラチナブロンドの長い髪を持つ長身の男が現れた。
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