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第二話

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 突然の登場に恐怖した真樹は、カイに抱き着き見ないように顔を埋めた。
「お前は誰だ……」
 剣を手にしたカイが現れた人物に聞く。だがその人物は何も答えない。すると……
「どうしてこうもお前は僕の邪魔をする」
「何だって?」
「君じゃない!そこでへばりついてる男だ!」
 ビッと真樹を指差したその人物に、顔を埋めていた真樹が「えっ?」となって顔を上げる。
「ぼ、僕……?」
「そうだ!この世界に呼んだのは彼だけだった。なのに余計なおまけまでついて……ここにだって……」
 ぬぬぬ……とその場で地団駄を踏み始めた人物。子供っぽいというかなんと言うか。それに声も低すぎず高すぎずで、中性的な感じがする男性のものだ。だがそれよりもこの男はこの世界に呼んだと言った。つまりこの人物が真樹とカイを異世界召喚したという事になるが。
「えっ?じゃあ君が僕達を召喚して……?」
「君なんて呼んでないって言ってるだろ!呼んだのはそっちの男の子の方!」
「えっ?オレ?」
 どういう事だ。異世界召喚というありきたりな展開に歓喜していた真樹だったが、そもそも真樹に至っては間違いで、本来はカイだけが呼ばれるはずだった。確かに異世界で世界を救うにしてもハーレムを作るにしても、カイの方が絵にはなるが。
「じゃ、じゃあ僕はたまたま?」
「そうだよ!なのに邪魔ばっかりして……」
 またも地団駄を踏む男。若干のショックを受ける真樹とは違い、カイは冷静だった。
「真樹の事はこの際置いておくとして、どうしてオレをこの世界に呼んだんだ?」
「そ、それは……」
 何やら言葉を濁した男に、カイは首を傾げた。だがこの意味深な会話を真樹は瞬時に解読する。
「わかった!君、カイの事が好きなの?」
「べ、別に好きとか気に入ったとかそういう事じゃなく……」
 ツンデレかな。わかりやすい反応に真樹は大きなため息を漏らした。だがどこで見ていたのかはわからないが、この世界に呼び寄せるほどカイの事が気に入っているようだ。その事に真樹はズキリと胸が痛んだ。
(ん?どうして?)
 何に対してのズキリなのか。先ほどまで抱き合って寝ていたからだろうか。どちらにしてもこの世界のコンセプトそのものが何かおかしい。かわいい女の子どころか自分はおまけで、自分を召喚した男にカイは惚れられているときた。
(まるまるBLの世界じゃん!)
 なんてこったと思った真樹。まさかのまさか巻き込み事故とはいえ、自分がBL系の異世界に召喚されてしまうとは思いもしなかった。
 そんな事を考えている真樹とは違い、真剣なカイは男に言い放つ。
「悪いがお前の事なんて知らないし興味ない。それよりもオレと真樹を元の世界に戻せ」
「興味は……これから持って欲しい。それに君達を元の世界に戻す事は出来ない」
「何だって……」
「僕いはそんな方法知らないから!」
 堂々と言い放つ男。まさかの一方通行。これからこのBLの世界で生きて行かなくてはいかないのか。異世界に歓喜したあの日は何処へ……今はもう帰りたい。もしくは今度こそ女の子ハーレムの世界へ行きたいと願う真樹だった。
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