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第二話
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荒しによって退路がしばし途絶える事、レティや真樹の強い要望もあり、満場一致で四人はエルフの住むと言われる家に向かう事になった。
宿舎から少し歩くと森への入り口があり、そこから舗装された道をしばらく道なりに歩く。すると道の終わりに小さな湖があった。
「あれ?ここから先はどうやって行くの?」
その先に繋がる道はない。あるのは生い茂る木々や草ばかりだ。きょろきょろと周りを見渡す真樹にフェイは大きなため息を漏らした。
「何でお前はそんなに前のめりになってるんだ?」
「えっ?だってエルフだよ!」
「そりゃ確かにエルフは魔法使い並みに希少な人物だけど……もしかしなくてもお前、かわいい女の子期待してるか?」
ニヤリと笑って訪ねるフェイに「えっ?」と声を漏らし、目を泳がせる真樹に「やっぱりな」とフェイは呆れかえっていた。
「まぁ、かわいい女の子に越したことはないが、もしおばあさんだったらどうするよ」
「そ、そんな事ないよ。きっと清楚で可憐な女の子……のはず」
「だといいが、エルフってのは警戒心が強い種とも聞くからな。あんまし期待しない方がいいんじゃないか?」
いろいろと言って来るフェイだが、確かに女の子は女の子でも、おばあさんだったりしたら期待半減だ。けれど異世界でしか見る事の叶わないエルフだ。どんな人物であれ気持ちは高ぶっている。そんな話をしている真樹達を余所に、レティは「あぁ、成程ね」と言う。
「ここには結界が張ってあるんだ。だから道が見えない形になってる」
「そうなのか?」
「うん。ほら、そこの木。それからあの木にも、鈴が括りつけてあるでしょ?あれは結界の道具に使う一つだよ」
つまりどういう事なのか。三人が首を傾げていると、フェイが「要はそのまま前に進めって事」と簡単に説明した。
「この先が行けるのか?」
「そうだよ。今僕達が見ているこれらは全て幻影だよ。流石警戒心の強いエルフだね。見事な結界だよ」
そう言うとレティが結界がある場所より先に足を踏み入れた。すると森の奥である場所の空間が歪み、その空間にレティが飲み込まれて行った。
「ほ、本当にその先に道があるんだ」
「そうみたいだな。それじゃ次はオレだな」
フェイも何事もなく結界の中へと入って行く。残った真樹とカイ。真樹は見た事のないあれこれに若干興奮気味だ。
「ほら、真樹。一緒に行こう」
「えっ?うん!凄いなぁ……なんかゲームの世界みたい」
「言われてみればそうだな。けど今オレ達がいるこの世界はゲームよりもリアルだ」
「そのセリフなんだかゲームっぽくてかっこいい!」
興奮状態の真樹にかっこいいなど言われ、カイも「そうか?」と少し照れ笑いを浮かべる。
「よし、それじゃあ入ろうか」
そう言って一歩を踏み入れるカイに対して、真樹は「ん?」と違和感を覚える。カイの手はしっかりと真樹を掴んでいるのだ。
「ね、ねぇ……カイ。この手は?」
「真樹が迷子にならないように」
「な、ならないし!」
とは言いつつも、手を繋いだまま二人は空間の歪みの中へと身を投じた。
宿舎から少し歩くと森への入り口があり、そこから舗装された道をしばらく道なりに歩く。すると道の終わりに小さな湖があった。
「あれ?ここから先はどうやって行くの?」
その先に繋がる道はない。あるのは生い茂る木々や草ばかりだ。きょろきょろと周りを見渡す真樹にフェイは大きなため息を漏らした。
「何でお前はそんなに前のめりになってるんだ?」
「えっ?だってエルフだよ!」
「そりゃ確かにエルフは魔法使い並みに希少な人物だけど……もしかしなくてもお前、かわいい女の子期待してるか?」
ニヤリと笑って訪ねるフェイに「えっ?」と声を漏らし、目を泳がせる真樹に「やっぱりな」とフェイは呆れかえっていた。
「まぁ、かわいい女の子に越したことはないが、もしおばあさんだったらどうするよ」
「そ、そんな事ないよ。きっと清楚で可憐な女の子……のはず」
「だといいが、エルフってのは警戒心が強い種とも聞くからな。あんまし期待しない方がいいんじゃないか?」
いろいろと言って来るフェイだが、確かに女の子は女の子でも、おばあさんだったりしたら期待半減だ。けれど異世界でしか見る事の叶わないエルフだ。どんな人物であれ気持ちは高ぶっている。そんな話をしている真樹達を余所に、レティは「あぁ、成程ね」と言う。
「ここには結界が張ってあるんだ。だから道が見えない形になってる」
「そうなのか?」
「うん。ほら、そこの木。それからあの木にも、鈴が括りつけてあるでしょ?あれは結界の道具に使う一つだよ」
つまりどういう事なのか。三人が首を傾げていると、フェイが「要はそのまま前に進めって事」と簡単に説明した。
「この先が行けるのか?」
「そうだよ。今僕達が見ているこれらは全て幻影だよ。流石警戒心の強いエルフだね。見事な結界だよ」
そう言うとレティが結界がある場所より先に足を踏み入れた。すると森の奥である場所の空間が歪み、その空間にレティが飲み込まれて行った。
「ほ、本当にその先に道があるんだ」
「そうみたいだな。それじゃ次はオレだな」
フェイも何事もなく結界の中へと入って行く。残った真樹とカイ。真樹は見た事のないあれこれに若干興奮気味だ。
「ほら、真樹。一緒に行こう」
「えっ?うん!凄いなぁ……なんかゲームの世界みたい」
「言われてみればそうだな。けど今オレ達がいるこの世界はゲームよりもリアルだ」
「そのセリフなんだかゲームっぽくてかっこいい!」
興奮状態の真樹にかっこいいなど言われ、カイも「そうか?」と少し照れ笑いを浮かべる。
「よし、それじゃあ入ろうか」
そう言って一歩を踏み入れるカイに対して、真樹は「ん?」と違和感を覚える。カイの手はしっかりと真樹を掴んでいるのだ。
「ね、ねぇ……カイ。この手は?」
「真樹が迷子にならないように」
「な、ならないし!」
とは言いつつも、手を繋いだまま二人は空間の歪みの中へと身を投じた。
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