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第二話

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「えっ?どうしてって……」
「だってお前、俺達と一緒に来るの嫌そうじゃん」
 バレたか。と言うより、案外フェイはよく見ているのだ。しかしその問いにどう答えていいのか真樹も困った。
「カイがいるから?それともカイに無理やり?だったらオレがカイに言ってやるけど」
「そ、そんな事ないよ!それにカイに言わなくてもいい……僕の意思でついて行ってるだけだし」
「ホントか?それよりもちゃんとオレの目を見て話せよ」
 クイっと顎を持ち上げられた真樹。なんだか前にもあった光景だ。しかし人見知りな真樹が人の目を見て話すなど、ハードルが高い。
(それに……怖い)
 人と目を合わせる事がこんなにも怖いとは思わなかった。
 だが、じっと見つめていたフェイは突然ギョッとした。
「お、おい!泣かなくてもいいだろ?」
「えっ?」
 頬を伝う何か温かなもの。それが自分の涙とは思わなかった真樹は、フェイから逃れて涙を拭う。その時だった。
「フェイ!何真樹を泣かせてるんだ!」
「カイ?」
 タイミングよく戻ってきたカイは、涙を拭う真樹の元へ向かう。
「いやオレは何もしてない。勝手に真樹が……」
「何もしてなくて泣くわけないだろ?真樹、何されたんだ?」
「べ、別に何もされてないし、ただ目が乾燥しただけ」
「本当か?」
 疑い深く心配するカイだが、コミュ障の真樹でもわかる。ここは穏便に済ませた方がいいと。
「本当だから!心配しないで」
「ならいいけど……お前を泣かせる奴がいたら、それがフェイでも許さないから」
 そんなセリフは他の、女の子にでも言ってやれよと思ったが、そんなカイを見てフェイもやれやれと言う表情を見せていた。
「ホント、カイは真樹の事が大事なんだな」
「真樹は幼なじみだし、オレが守ってあげないと」
「なんか聞いてるこっちが恥ずかしくなる言葉だな」
 確かに真樹はひ弱だが、同じ男として守ってもらうのもいかがなものか。
(僕だってレティに教えてもらって魔法使えるようになってやる!)
 そうすればカイも歯が浮くようなセリフを言わなくなるだろう。
 真樹的異世界の物語は俺最強、女の子に囲まれたドタバタハーレム物語だったはずだが、いつの間にか乙女ゲーの主人公のような立ち位置にいる。
(この世界……何かがおかしい)
 おかしいのは世界ではなく真樹とその周囲だけだ。しかも乙女ゲー寄りではあるが、これではボーイズラブだ。
(いやいや、僕はBL範疇外だし!)
 そんな脳内問答をしていた真樹だが、ちょうどそこへレティが戻ってきた。
「ねぇ、取り込み中悪いんだけど」
「どうかしたのか?レティ」
「どうもこうも。この先進むにしても、ちょうど時期的に嵐の季節らしくてさ。僕達が到着するかしないかの時にぶち当たる予想なの」
「あぁ……それは問題だな」
 深刻そうなフェイやレティ。よくわからないカイや真樹は、台風のようなものなのかと思った。
「そこで、嵐が治るまで別のとこに行きたいんだけど」
「別のとこ?」
「そっ。ここから少し入った森に錬金術に長けたエルフが住む家があるらしいから、そこに行きたいんだけど」
 エルフと聞いて真樹の目が輝く。次こそ可愛い女の子!っと鼻息荒く期待する真樹は「行こうよ!その人の住む家に!」と、泣いていた事など忘れてそう息巻いた。
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