12 / 32
第一話
10
しおりを挟む
「凄い……」
「真樹?」
「レティって本当に凄い人何だね!僕絶対に魔法使えるようになりたい」
「真樹!お前こいつに何されたかわかってるのか?」
つい数分前の事などどこへやら。真樹はレティから魔法を習いたい一心で目を輝かせ、それまでの事など頭の中から消えてしまったようだ。
「君は馬鹿なの?僕にどんな事されたのかも覚えてないの?」
「でもそれはレティにとって何か理由があったんだよね。だったら僕は怒らないよ!」
「はぁ……頭痛い」
これは何を言っても無駄なパターンだと思ったレティは、「わかったよ」と言って真樹に魔法を教える事を承諾した。
「なんかうまい具合に話まとまったみたいだし、そろそろ日も落ちる。町に戻ろう」
こうしてレティを新たな仲間に加え、四人は町へと戻って行く。
町に戻りギルド商会に行って依頼の終了と報酬を手に入れた。銀行はもう閉まっているので次の日に借金の返済をする。報酬から借金を引いたお金がカイや真樹に全財産となったが、とりあえずもう一度真樹の服を新調し、宿と夕飯を食べるくらいには貯蓄はあるが、また依頼を受けないとすぐに底をつくだろう。
「別のとこに行く前にもう少し蓄えておきたいからなぁ」
「それだったらさっき教えてもらった依頼をこなすのはどうだ?今のカイなら大丈夫だろうし」
夕飯は宿と隣接したレストランでとる事にした。カイとフェイは次の依頼やこれからの事を話している。レティは静かにサラダを食べていた。
「ねぇレティは巨大スライムの依頼、ギルドで依頼を受けたんじゃないの?」
「僕の依頼はとある人からの依頼なんだ」
「とある人?」
「そっ。その人が惚れ薬が欲しいって言ってたから、どうしても興奮した巨大スライムの体液が必要だったんだ」
「な、成程……惚れ薬って作れるの?」
「レベル四くらいの調合薬かな」
さすが異世界。なんでもあれなのだろう。だが惚れ薬とはまたベタなものだなと思いつつ、そんなものが作れるならばハーレムも夢ではないのではと思った。
「ねぇ、それ僕にも教えてよ」
「はぁ?魔法のまの字も使えないのに何言っているの?まずは基礎を作ってからだよ」
ツンを見せるレティだが、決して悪い人ではないのだとわかった。カイやフェイのような明るいタイプよりも、レティのように大人しく知的な人物の方が馴染みやすい。けれど問題はある。このパーティ、自分以外はみんな顔が良すぎる。
(何これ?顔面偏差値やばいよね?)
レストランに来ていた女性客達は先ほどからチラチラとこちらを見ている。馴染みやすそうなイケメンフェイに、中性的な美貌を持つ美少年レティ。そして真樹の知る限りのスパダリで爽やかイケメンのカイ。
(この世界って乙女ゲーとかの世界じゃないよね?どうしてこうも顔がいいのばっかり)
もし登場人物がまた増えるなら、今度はイケメン以外でお願いしますと、真樹は心の中で願った。
そして一夜を送り、翌日もギルドの依頼をこなす事になる。
「真樹?」
「レティって本当に凄い人何だね!僕絶対に魔法使えるようになりたい」
「真樹!お前こいつに何されたかわかってるのか?」
つい数分前の事などどこへやら。真樹はレティから魔法を習いたい一心で目を輝かせ、それまでの事など頭の中から消えてしまったようだ。
「君は馬鹿なの?僕にどんな事されたのかも覚えてないの?」
「でもそれはレティにとって何か理由があったんだよね。だったら僕は怒らないよ!」
「はぁ……頭痛い」
これは何を言っても無駄なパターンだと思ったレティは、「わかったよ」と言って真樹に魔法を教える事を承諾した。
「なんかうまい具合に話まとまったみたいだし、そろそろ日も落ちる。町に戻ろう」
こうしてレティを新たな仲間に加え、四人は町へと戻って行く。
町に戻りギルド商会に行って依頼の終了と報酬を手に入れた。銀行はもう閉まっているので次の日に借金の返済をする。報酬から借金を引いたお金がカイや真樹に全財産となったが、とりあえずもう一度真樹の服を新調し、宿と夕飯を食べるくらいには貯蓄はあるが、また依頼を受けないとすぐに底をつくだろう。
「別のとこに行く前にもう少し蓄えておきたいからなぁ」
「それだったらさっき教えてもらった依頼をこなすのはどうだ?今のカイなら大丈夫だろうし」
夕飯は宿と隣接したレストランでとる事にした。カイとフェイは次の依頼やこれからの事を話している。レティは静かにサラダを食べていた。
「ねぇレティは巨大スライムの依頼、ギルドで依頼を受けたんじゃないの?」
「僕の依頼はとある人からの依頼なんだ」
「とある人?」
「そっ。その人が惚れ薬が欲しいって言ってたから、どうしても興奮した巨大スライムの体液が必要だったんだ」
「な、成程……惚れ薬って作れるの?」
「レベル四くらいの調合薬かな」
さすが異世界。なんでもあれなのだろう。だが惚れ薬とはまたベタなものだなと思いつつ、そんなものが作れるならばハーレムも夢ではないのではと思った。
「ねぇ、それ僕にも教えてよ」
「はぁ?魔法のまの字も使えないのに何言っているの?まずは基礎を作ってからだよ」
ツンを見せるレティだが、決して悪い人ではないのだとわかった。カイやフェイのような明るいタイプよりも、レティのように大人しく知的な人物の方が馴染みやすい。けれど問題はある。このパーティ、自分以外はみんな顔が良すぎる。
(何これ?顔面偏差値やばいよね?)
レストランに来ていた女性客達は先ほどからチラチラとこちらを見ている。馴染みやすそうなイケメンフェイに、中性的な美貌を持つ美少年レティ。そして真樹の知る限りのスパダリで爽やかイケメンのカイ。
(この世界って乙女ゲーとかの世界じゃないよね?どうしてこうも顔がいいのばっかり)
もし登場人物がまた増えるなら、今度はイケメン以外でお願いしますと、真樹は心の中で願った。
そして一夜を送り、翌日もギルドの依頼をこなす事になる。
1
お気に入りに追加
52
あなたにおすすめの小説
出戻り聖女はもう泣かない
たかせまこと
BL
西の森のとば口に住むジュタは、元聖女。
男だけど元聖女。
一人で静かに暮らしているジュタに、王宮からの使いが告げた。
「王が正室を迎えるので、言祝ぎをお願いしたい」
出戻りアンソロジー参加作品に加筆修正したものです。
ムーンライト・エブリスタにも掲載しています。
表紙絵:CK2さま
春を拒む【完結】
璃々丸
BL
日本有数の財閥三男でΩの北條院環(ほうじょういん たまき)の目の前には見るからに可憐で儚げなΩの女子大生、桜雛子(さくら ひなこ)が座っていた。
「ケイト君を解放してあげてください!」
大きなおめめをうるうるさせながらそう訴えかけてきた。
ケイト君────諏訪恵都(すわ けいと)は環の婚約者であるαだった。
環とはひとまわり歳の差がある。この女はそんな環の負い目を突いてきたつもりだろうが、『こちとらお前等より人生経験それなりに積んどんねん────!』
そう簡単に譲って堪るか、と大人げない反撃を開始するのであった。
オメガバな設定ですが設定は緩めで独自設定があります、ご注意。
不定期更新になります。
侯爵令息セドリックの憂鬱な日
めちゅう
BL
第二王子の婚約者候補侯爵令息セドリック・グランツはある日王子の婚約者が決定した事を聞いてしまう。しかし先に王子からお呼びがかかったのはもう一人の候補だった。候補落ちを確信し泣き腫らした次の日は憂鬱な気分で幕を開ける———
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
初投稿で拙い文章ですが楽しんでいただけますと幸いです。
子悪党令息の息子として生まれました
菟圃(うさぎはたけ)
BL
悪役に好かれていますがどうやって逃げられますか!?
ネヴィレントとラグザンドの間に生まれたホロとイディのお話。
「お父様とお母様本当に仲がいいね」
「良すぎて目の毒だ」
ーーーーーーーーーーー
「僕達の子ども達本当に可愛い!!」
「ゆっくりと見守って上げよう」
偶にネヴィレントとラグザンドも出てきます。
賢者となって逆行したら「稀代のたらし」だと言われるようになりました。
かるぼん
BL
********************
ヴィンセント・ウィンバークの最悪の人生はやはり最悪の形で終わりを迎えた。
監禁され、牢獄の中で誰にも看取られず、ひとり悲しくこの生を終える。
もう一度、やり直せたなら…
そう思いながら遠のく意識に身をゆだね……
気が付くと「最悪」の始まりだった子ども時代に逆行していた。
逆行したヴィンセントは今回こそ、後悔のない人生を送ることを固く決意し二度目となる新たな人生を歩み始めた。
自分の最悪だった人生を回収していく過程で、逆行前には得られなかった多くの大事な人と出会う。
孤独だったヴィンセントにとって、とても貴重でありがたい存在。
しかし彼らは口をそろえてこう言うのだ
「君は稀代のたらしだね。」
ほのかにBLが漂う、逆行やり直し系ファンタジー!
よろしくお願い致します!!
********************
姫を拐ったはずが勇者を拐ってしまった魔王
ミクリ21
BL
姫が拐われた!
……と思って慌てた皆は、姫が無事なのをみて安心する。
しかし、魔王は確かに誰かを拐っていった。
誰が拐われたのかを調べる皆。
一方魔王は?
「姫じゃなくて勇者なんだが」
「え?」
姫を拐ったはずが、勇者を拐ったのだった!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる