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第一話
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薄暗く周囲がよくわからない。だが何かが自分を掴んでいるのはわかる。それが何かぬるぬるした何かだ。
「何?なんか気持ち悪いんだけど……」
逆さまでいるだけでも気分が良くないのに、それに輪をかけてぬるぬるした何かが真樹の体を這っている。
「これもしかして触手の類?」
そうとしか思えない。触手と言われて完全にエロゲーしか思い浮かばなかった。異世界召喚されてまさか自分がエロゲーのような対象になるとは。普通ここはかわいい女の子じゃないのか。女の子が触手に襲われあられもない姿になるのでは。そんな事を考えていたが、どうやらあられもない姿になるのは自分ではないのか。
それまで服の上から這っていた触手だが、何故か肌にその感覚があるのだ。
「これってもしかして服が溶かされている?」
溶かすと言えば先ほどのかわいい顔をしたスライムだ。まさかここはスライムのいる洞窟なのか。しかも真樹はレティにまんまと騙されたのでは。
「い、いやだ!誰か……誰か助けて!」
真樹を探していたカイとフェイは、ある洞窟の前で佇む一人の少年を見つけた。
「君、ここで君くらいの身長の男の子見なかった?」
フェイが訪ねてみると、少年は「あー……もしかして」と何か知っている風の様子だ。
「あの子、もしかして君たちの仲間?」
「知っているのか?」
「知ってるも何も、僕に着いて来たからお使いを頼んだだけ」
「お使い?」
「そう、そろそろかな」
そう言うと少年が洞窟に入ろうとした時だった。
「誰かーーー!助けて!」
「真樹!」
その声は紛れもない真樹の声だ。カイは急ぎ洞窟の中へと入って行く。その後をフェイも「待てよ!」と言って着いて行く。
中へと進んで行ったカイ。辺りは薄暗くよく見えない。すると後からやって来た少年が明かりを灯した。杖の先端が輝き、周囲が見渡せたが、明かりの届くその先にいたのは巨大なぷにぷにしたモンスターで、そのモンスターから出た触手のようなものに体中を拘束された真樹がいた。
「真樹!」
「カ、カイ……助けてよぉ……」
恐怖からかぽたぽたと涙を流す真樹に、「すぐ助ける!」と言ったカイだが、背後から少年の「待って」と言う声が聞こえた。
「僕はこの巨大スライムが欲情して出した体液が欲しいんだ。それを採取したら倒していいから、それまで待って頂戴」
「何言ってるんだ……」
「いいから。下手に手を出すと君もあの子のようになるよ」
平然とする少年はスタスタと巨大スライムと言われるモンスターの元に近づいて行った。
「カイ。あのモンスターは依頼のあったモンスターだ」
「えっ?まさか真樹は一人でこいつの討伐を?」
「いや、違うだろ。でも早く助けないと!」
「まぁ待て。あの子の言う通り、下手に手を出さない方がいい」
「どういう事だ?」
どうして真樹が助けを呼んでいるのに誰も手を出さないのか。聞けばこのモンスターから出る体液は基本的に消火液なのだが、特殊な条件でその体液の成分が変わるらしい。それは薬の調合にも使われる貴重なものだが、その条件というのがスライムの性的興奮らしい。
「待て!なんでそんな事に?」
「いやそこまでは知らないけど、あの巨大スライムは真樹に欲情中なのだとみた」
そんな悠長な事を言っていていいのか。カイはすぐにでも真樹を助け出したかった。
「何?なんか気持ち悪いんだけど……」
逆さまでいるだけでも気分が良くないのに、それに輪をかけてぬるぬるした何かが真樹の体を這っている。
「これもしかして触手の類?」
そうとしか思えない。触手と言われて完全にエロゲーしか思い浮かばなかった。異世界召喚されてまさか自分がエロゲーのような対象になるとは。普通ここはかわいい女の子じゃないのか。女の子が触手に襲われあられもない姿になるのでは。そんな事を考えていたが、どうやらあられもない姿になるのは自分ではないのか。
それまで服の上から這っていた触手だが、何故か肌にその感覚があるのだ。
「これってもしかして服が溶かされている?」
溶かすと言えば先ほどのかわいい顔をしたスライムだ。まさかここはスライムのいる洞窟なのか。しかも真樹はレティにまんまと騙されたのでは。
「い、いやだ!誰か……誰か助けて!」
真樹を探していたカイとフェイは、ある洞窟の前で佇む一人の少年を見つけた。
「君、ここで君くらいの身長の男の子見なかった?」
フェイが訪ねてみると、少年は「あー……もしかして」と何か知っている風の様子だ。
「あの子、もしかして君たちの仲間?」
「知っているのか?」
「知ってるも何も、僕に着いて来たからお使いを頼んだだけ」
「お使い?」
「そう、そろそろかな」
そう言うと少年が洞窟に入ろうとした時だった。
「誰かーーー!助けて!」
「真樹!」
その声は紛れもない真樹の声だ。カイは急ぎ洞窟の中へと入って行く。その後をフェイも「待てよ!」と言って着いて行く。
中へと進んで行ったカイ。辺りは薄暗くよく見えない。すると後からやって来た少年が明かりを灯した。杖の先端が輝き、周囲が見渡せたが、明かりの届くその先にいたのは巨大なぷにぷにしたモンスターで、そのモンスターから出た触手のようなものに体中を拘束された真樹がいた。
「真樹!」
「カ、カイ……助けてよぉ……」
恐怖からかぽたぽたと涙を流す真樹に、「すぐ助ける!」と言ったカイだが、背後から少年の「待って」と言う声が聞こえた。
「僕はこの巨大スライムが欲情して出した体液が欲しいんだ。それを採取したら倒していいから、それまで待って頂戴」
「何言ってるんだ……」
「いいから。下手に手を出すと君もあの子のようになるよ」
平然とする少年はスタスタと巨大スライムと言われるモンスターの元に近づいて行った。
「カイ。あのモンスターは依頼のあったモンスターだ」
「えっ?まさか真樹は一人でこいつの討伐を?」
「いや、違うだろ。でも早く助けないと!」
「まぁ待て。あの子の言う通り、下手に手を出さない方がいい」
「どういう事だ?」
どうして真樹が助けを呼んでいるのに誰も手を出さないのか。聞けばこのモンスターから出る体液は基本的に消火液なのだが、特殊な条件でその体液の成分が変わるらしい。それは薬の調合にも使われる貴重なものだが、その条件というのがスライムの性的興奮らしい。
「待て!なんでそんな事に?」
「いやそこまでは知らないけど、あの巨大スライムは真樹に欲情中なのだとみた」
そんな悠長な事を言っていていいのか。カイはすぐにでも真樹を助け出したかった。
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