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第一話
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ゲーム序盤にある、極々初級の討伐依頼を受ける為、町の外へと出た真樹達。ちなみにカイには剣。真樹には護身用ナイフ一本の装備を与えられた。
基本的に真樹は隠れていろという意味だ。
(くそぉ……何で僕だけこんな目に!)
これをいじめと言わず何と言う!と言いたいところだが、冷静になって考えてみても、ひ弱な自分がモンスターと戦えるとは到底思えない。
(このままだとレベル1のままか、何もしないで勝手にレベルアップかどっちかじゃないのか?)
馬が合うのか、カイとフェイは仲良さそうに話をしながら先を行く。真樹はその後ろをとぼとぼと歩いているのだ。
「けど討伐って言っても……動物みたいなモンスターだよな?オレに斬る事なんて出来るのか?」
「初めは躊躇するだろうなぁ……けど慣れだよ」
「慣れねぇ……なんか恐ろしい顔とかしてたらまだ頑張れそうだけど、動物に似ているのはちょっとなぁ」
現代を平和に生きてきた真樹とカイだ。モンスターとは言え、何かを殺すという行為には抵抗がある。原型を留めないようなクリーチャーやゾンビならわからなくもないが、狼に似たモンスターなどは無理に近い。
「まぁ、今回はオレが手本見せる形にはなるだろうけど、ちょっとずつ慣れていこう」
「そうだな……ここではそれが当たり前なんだよな」
三人はしばらく歩き、討伐するモンスターが出ると言われる場所までやって来た。レベル1でも頑張れるモンスター。正直あまり内容を聞いていなかった真樹は、二人から少し離れ、後はお任せ状態だ。
そしてしばらく待つと、草陰からぬっと背の小さく猫背で、ハゲ上がった長い額と長い耳が特徴のモンスターが現れた。
「あれがこの周辺の貴重な薬草を荒らしてるゴブリンだな」
まさかゲームでしか見た事がないゴブリンが実在するとは思いもしなかった。いくらあちらも生き物ではあるとしても、人間目線では厄介者だ。剣を構えたフェイが立ち上がる。
「とりあえず見ててくれ」
そう言うとフェイはゴブリン目掛け走りはじめた。フェイに気がついたゴブリンも威嚇しながら向かって来た。だがそこはレベルの差かどうかわからないが、ゴブリンは肩から腰にかけ大きく斬られ、煤のような黒いモヤを出してその場から消えた。
「モンスター退治はこんな感じだ。だいたい血とか出ないのが多いから討伐しやすいはず」
「な、成る程な……」
「後数匹いるはずだから、カイも手伝ってくれ」
「わかった!」
初のチャレンジにカイは息を飲んだ。そして離れた場所にいた真樹を見た。
「真樹。そこから動くなよ」
「わ、わかってるよ……どうせ僕は役に立たないし……」
「そうじゃないよ。真樹に何かあったらオレが困るんだよ」
なんだそれは?と言いたくなったがカイはフェイと共に残りのゴブリンを探す。
一人になった真樹は草陰に座り込んで大きなため息を漏らした。
「なんだよなんだよ!ここは異世界なのにオレ最強でもハーレムでも何でもないじゃないか!」
むしろ美味しいところは全てカイに取られている。ブスッと膨れっ面の真樹。すると目の前にぷるぷるとした弾力の何かが近づいてきた。
基本的に真樹は隠れていろという意味だ。
(くそぉ……何で僕だけこんな目に!)
これをいじめと言わず何と言う!と言いたいところだが、冷静になって考えてみても、ひ弱な自分がモンスターと戦えるとは到底思えない。
(このままだとレベル1のままか、何もしないで勝手にレベルアップかどっちかじゃないのか?)
馬が合うのか、カイとフェイは仲良さそうに話をしながら先を行く。真樹はその後ろをとぼとぼと歩いているのだ。
「けど討伐って言っても……動物みたいなモンスターだよな?オレに斬る事なんて出来るのか?」
「初めは躊躇するだろうなぁ……けど慣れだよ」
「慣れねぇ……なんか恐ろしい顔とかしてたらまだ頑張れそうだけど、動物に似ているのはちょっとなぁ」
現代を平和に生きてきた真樹とカイだ。モンスターとは言え、何かを殺すという行為には抵抗がある。原型を留めないようなクリーチャーやゾンビならわからなくもないが、狼に似たモンスターなどは無理に近い。
「まぁ、今回はオレが手本見せる形にはなるだろうけど、ちょっとずつ慣れていこう」
「そうだな……ここではそれが当たり前なんだよな」
三人はしばらく歩き、討伐するモンスターが出ると言われる場所までやって来た。レベル1でも頑張れるモンスター。正直あまり内容を聞いていなかった真樹は、二人から少し離れ、後はお任せ状態だ。
そしてしばらく待つと、草陰からぬっと背の小さく猫背で、ハゲ上がった長い額と長い耳が特徴のモンスターが現れた。
「あれがこの周辺の貴重な薬草を荒らしてるゴブリンだな」
まさかゲームでしか見た事がないゴブリンが実在するとは思いもしなかった。いくらあちらも生き物ではあるとしても、人間目線では厄介者だ。剣を構えたフェイが立ち上がる。
「とりあえず見ててくれ」
そう言うとフェイはゴブリン目掛け走りはじめた。フェイに気がついたゴブリンも威嚇しながら向かって来た。だがそこはレベルの差かどうかわからないが、ゴブリンは肩から腰にかけ大きく斬られ、煤のような黒いモヤを出してその場から消えた。
「モンスター退治はこんな感じだ。だいたい血とか出ないのが多いから討伐しやすいはず」
「な、成る程な……」
「後数匹いるはずだから、カイも手伝ってくれ」
「わかった!」
初のチャレンジにカイは息を飲んだ。そして離れた場所にいた真樹を見た。
「真樹。そこから動くなよ」
「わ、わかってるよ……どうせ僕は役に立たないし……」
「そうじゃないよ。真樹に何かあったらオレが困るんだよ」
なんだそれは?と言いたくなったがカイはフェイと共に残りのゴブリンを探す。
一人になった真樹は草陰に座り込んで大きなため息を漏らした。
「なんだよなんだよ!ここは異世界なのにオレ最強でもハーレムでも何でもないじゃないか!」
むしろ美味しいところは全てカイに取られている。ブスッと膨れっ面の真樹。すると目の前にぷるぷるとした弾力の何かが近づいてきた。
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