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第一話
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こうして真樹とカイのパーティに剣士フェイが入る事になったが、まずは目立つ制服をどうにかしないといけない。だが二人はこちらの通貨など持っていないのだ。
「まぁ、金稼ぎするにはギルドが一番手っ取り早いけど、その見た目で戦いには出れないからな。そうなると金を手にする方法は一つ」
もしかして物語序盤でいきなりのカジノ展開かと真樹はハラハラした。だが運なしな男にカジノで儲ける事など出来るのか。だがそれは真樹の杞憂に終わる。
「銀行から借りるしかないな。それを担保に装備揃えて、ギルドとかで賞金稼いで返す」
「成程な。確かにそれが一番効率がいいな」
「オレも金持ってたらいいけど、何せ貧乏剣士だからな」
笑い飛ばすフェイだが、結局そうした方がいいという事で、真樹達はこの世界の銀行とやらに向かう事になった。
「借りるお金はこれでいいかしら?」
銀行に行くと、フェイが銀行員のお姉さんに話を通してくれた。普通こういう貸し借りというのには何かしらの名目、例えば企業を起こすや車を買う、家を買うというのがなければいけないのではと思ったが、装備品を揃えるもこちらでは立派な名目になるのだ。それにどこかしら銀行員のお姉さんはフェイや側にいたカイをキョロキョロと上目使いで見ている。
「早いうちにお金は返します。返す時はここに来たらいいんですよね?」
「はい。簡単な手続きを完了させたら返済終了になりますので」
カイにそう言うお姉さんの頬は少し紅潮している。どうやらこの世界でもカイのモテは健在のようで、それを見ていた真樹はもちろん面白くなかった。
(ちくしょう!なんでカイまで召喚されてるんだよ!これじゃあ元の世界と何も変わらない!)
これは早く帰る方法を見つけて、カイには退場してもらわなくてはいけない。自分の第二の人生はそれまでお預けだ。
銀行から少額の借金をし、次に連れられたのは防具屋っぽい店だ。なんだか重そうなく鎖帷子から鉄で出来た鎧など、ファンタジー世界にあるあるな装備がいっぱいあった。
「うわぁ凄い。でもどれも僕には着れないなぁ……」
ひ弱な真樹ではこんなのは無理だ。着るとしても筋肉隆々のマッチョだけだろう。
「真樹はこっち。お前にそれは似合わないし、着たら潰される」
「わ、わかってる……」
フェイは真樹に服を渡す。皮に似たような素材で、皮よりは通気性はありそうだが、耐久はそんなにもないだろう。カイもまた似たような素材の服を着たが、真樹とはどこか違う。フェイのように胸当てのホルダーをして、グローブまで着けている。
「な、何で僕とカイでこんなにも服装が違うの?」
「だって真樹は前衛で戦うって言うより、後方にいる感じじゃん。それに比べてカイはいい体してるし、即戦力になりそうだしな」
「そんな期待されてもサッカーしかしてこなかったから、足以外に自身ないんだけど」
「いや十分だよ。ちゃんとオレもサポートするし」
つまりカイは剣を持って戦え。真樹は後方にいて邪魔しないようにというのだ。酷い。扱いにこんな差が出されて真樹の中ではフェイも苦手部類へと移動したのだ。
「まぁ、金稼ぎするにはギルドが一番手っ取り早いけど、その見た目で戦いには出れないからな。そうなると金を手にする方法は一つ」
もしかして物語序盤でいきなりのカジノ展開かと真樹はハラハラした。だが運なしな男にカジノで儲ける事など出来るのか。だがそれは真樹の杞憂に終わる。
「銀行から借りるしかないな。それを担保に装備揃えて、ギルドとかで賞金稼いで返す」
「成程な。確かにそれが一番効率がいいな」
「オレも金持ってたらいいけど、何せ貧乏剣士だからな」
笑い飛ばすフェイだが、結局そうした方がいいという事で、真樹達はこの世界の銀行とやらに向かう事になった。
「借りるお金はこれでいいかしら?」
銀行に行くと、フェイが銀行員のお姉さんに話を通してくれた。普通こういう貸し借りというのには何かしらの名目、例えば企業を起こすや車を買う、家を買うというのがなければいけないのではと思ったが、装備品を揃えるもこちらでは立派な名目になるのだ。それにどこかしら銀行員のお姉さんはフェイや側にいたカイをキョロキョロと上目使いで見ている。
「早いうちにお金は返します。返す時はここに来たらいいんですよね?」
「はい。簡単な手続きを完了させたら返済終了になりますので」
カイにそう言うお姉さんの頬は少し紅潮している。どうやらこの世界でもカイのモテは健在のようで、それを見ていた真樹はもちろん面白くなかった。
(ちくしょう!なんでカイまで召喚されてるんだよ!これじゃあ元の世界と何も変わらない!)
これは早く帰る方法を見つけて、カイには退場してもらわなくてはいけない。自分の第二の人生はそれまでお預けだ。
銀行から少額の借金をし、次に連れられたのは防具屋っぽい店だ。なんだか重そうなく鎖帷子から鉄で出来た鎧など、ファンタジー世界にあるあるな装備がいっぱいあった。
「うわぁ凄い。でもどれも僕には着れないなぁ……」
ひ弱な真樹ではこんなのは無理だ。着るとしても筋肉隆々のマッチョだけだろう。
「真樹はこっち。お前にそれは似合わないし、着たら潰される」
「わ、わかってる……」
フェイは真樹に服を渡す。皮に似たような素材で、皮よりは通気性はありそうだが、耐久はそんなにもないだろう。カイもまた似たような素材の服を着たが、真樹とはどこか違う。フェイのように胸当てのホルダーをして、グローブまで着けている。
「な、何で僕とカイでこんなにも服装が違うの?」
「だって真樹は前衛で戦うって言うより、後方にいる感じじゃん。それに比べてカイはいい体してるし、即戦力になりそうだしな」
「そんな期待されてもサッカーしかしてこなかったから、足以外に自身ないんだけど」
「いや十分だよ。ちゃんとオレもサポートするし」
つまりカイは剣を持って戦え。真樹は後方にいて邪魔しないようにというのだ。酷い。扱いにこんな差が出されて真樹の中ではフェイも苦手部類へと移動したのだ。
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