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はじまり-1
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学校帰り、立ち寄った本屋で欲しかった本の新刊を手にした永瀬真樹は、その新刊を手にニヤニヤしながらレジへと向かう。
十七歳。青春真っ只中の真樹だが、部活は帰宅部。唯一の幼なじみを除けば、友達らしい友達もいない、いわゆる陰キャの引きこもりだ。
楽しみらしい楽しみも、漫画を読んだりアニメを観たり、ゲームをしたりとオタッキーな生活を送る。
(異世界転生なんてもう出し尽くしありきたりなのについ読んじゃうんだよな)
内容なんて決まったワードに決まったテンプレの流れだが、ついつい見てしまうのは、よほどこの世界に嫌気をさしているのか、あちらへの憧れなのか。
(まっ、そんなのあるわけないしけど。でも異世界転生なんかしたらやっぱ可愛い女の子には囲まれたいよなぁ……)
夢語る……否、夢妄想する少年は本を買い家路へと急ぐ。
「あっ、真樹!今から帰りなのか?」
「げっ……」
本屋を出ると同時に声をかけられ、つい心の声が漏れてしまった真樹の前に現れたのは、クラスメイトの中条カイ。出席番号が前後なのに加え、幼稚園からの幼なじみでもあるカイは、真樹とは違い勉強もスポーツも出来る、いわゆるスパダリタイプの男子だ。
「カイ……お願いだから話しかけないでくれよ……」
「何でだ?」
「だって……」
カイに話しかけられ、どう対応していいのかわからない真樹。すると遠くから「カイ-!何してるんだよ」とカイの友人二人が声をかけてた。
「ほ、ほら早く行けよ」
「何だよ連れないな。昔の真樹はいつもオレの後ろについて来てただろ?」
「い、いつの話だよ!」
確かに昔は仲が良かった。いつも一緒で、鈍臭い真樹の面倒をよくみてくれたが、それも昔の話だ。今はスクールカーストの頂点と底辺だ。
気安く話しかけないでほしい。この場から早く去ってしまいたい。
「とりあえず僕はこれで……」
「あっ、真樹!待てよ!」
本屋から少し歩くと横断歩道がある。幸い信号機は青だったので、真樹は急いで横断歩道を渡った時だった。突然右折して来たトラックが目の前にと思った瞬間には、真樹の意識がブラックアウトした。
余命十七年。生まれてこのかたモテとは無縁。女子達からは「キモい」のレッテルを貼られ生きてきた。
幼なじみのカイとは小学校高学年になるくらいまでは仲もよく、いつでも一緒だったが、その頃くらいから互いの格差が露見する。
女子は「中条君カッコいい」「なんであんなキモいのといるの?」という目で見る。男子も同じで、鈍臭い真樹を疎ましそうにしていた。
自分はもうカイとはいてはいけないのだ。そう思った瞬間から、徐々に距離が遠くなった。
チビ、ガリ、オタク、キモい、鈍臭い……非モテ要素どころかいじめ対象にもなりかねないワード持ちの自分の人生は今し方終了したのだ。
来世ではカイのように背も高く、スポーツも勉強も出来、モテモテな人生を歩んでみたい。そう強く願った。
そんな真樹の願いが叶ったかどうかはわからないが、頬に触れる風のような心地よさがした。
「うっ……ん?」
少し肌寒い。瞼をゆっくりと開いた真樹の視界には青空があった。
一瞬天国なのかとも思ったが、手足の感覚もあるし、しっかりと動く。体を起こし周りを見渡すと、一面が草原のような場所だ。
「ここ何処だ?天国……じゃないよな?」
十七歳。青春真っ只中の真樹だが、部活は帰宅部。唯一の幼なじみを除けば、友達らしい友達もいない、いわゆる陰キャの引きこもりだ。
楽しみらしい楽しみも、漫画を読んだりアニメを観たり、ゲームをしたりとオタッキーな生活を送る。
(異世界転生なんてもう出し尽くしありきたりなのについ読んじゃうんだよな)
内容なんて決まったワードに決まったテンプレの流れだが、ついつい見てしまうのは、よほどこの世界に嫌気をさしているのか、あちらへの憧れなのか。
(まっ、そんなのあるわけないしけど。でも異世界転生なんかしたらやっぱ可愛い女の子には囲まれたいよなぁ……)
夢語る……否、夢妄想する少年は本を買い家路へと急ぐ。
「あっ、真樹!今から帰りなのか?」
「げっ……」
本屋を出ると同時に声をかけられ、つい心の声が漏れてしまった真樹の前に現れたのは、クラスメイトの中条カイ。出席番号が前後なのに加え、幼稚園からの幼なじみでもあるカイは、真樹とは違い勉強もスポーツも出来る、いわゆるスパダリタイプの男子だ。
「カイ……お願いだから話しかけないでくれよ……」
「何でだ?」
「だって……」
カイに話しかけられ、どう対応していいのかわからない真樹。すると遠くから「カイ-!何してるんだよ」とカイの友人二人が声をかけてた。
「ほ、ほら早く行けよ」
「何だよ連れないな。昔の真樹はいつもオレの後ろについて来てただろ?」
「い、いつの話だよ!」
確かに昔は仲が良かった。いつも一緒で、鈍臭い真樹の面倒をよくみてくれたが、それも昔の話だ。今はスクールカーストの頂点と底辺だ。
気安く話しかけないでほしい。この場から早く去ってしまいたい。
「とりあえず僕はこれで……」
「あっ、真樹!待てよ!」
本屋から少し歩くと横断歩道がある。幸い信号機は青だったので、真樹は急いで横断歩道を渡った時だった。突然右折して来たトラックが目の前にと思った瞬間には、真樹の意識がブラックアウトした。
余命十七年。生まれてこのかたモテとは無縁。女子達からは「キモい」のレッテルを貼られ生きてきた。
幼なじみのカイとは小学校高学年になるくらいまでは仲もよく、いつでも一緒だったが、その頃くらいから互いの格差が露見する。
女子は「中条君カッコいい」「なんであんなキモいのといるの?」という目で見る。男子も同じで、鈍臭い真樹を疎ましそうにしていた。
自分はもうカイとはいてはいけないのだ。そう思った瞬間から、徐々に距離が遠くなった。
チビ、ガリ、オタク、キモい、鈍臭い……非モテ要素どころかいじめ対象にもなりかねないワード持ちの自分の人生は今し方終了したのだ。
来世ではカイのように背も高く、スポーツも勉強も出来、モテモテな人生を歩んでみたい。そう強く願った。
そんな真樹の願いが叶ったかどうかはわからないが、頬に触れる風のような心地よさがした。
「うっ……ん?」
少し肌寒い。瞼をゆっくりと開いた真樹の視界には青空があった。
一瞬天国なのかとも思ったが、手足の感覚もあるし、しっかりと動く。体を起こし周りを見渡すと、一面が草原のような場所だ。
「ここ何処だ?天国……じゃないよな?」
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