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不穏な空気
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ニーアの元へ来て一週間程。そこから朝早く仕事先のカフェへ向かうのは少々大変だったが、私は毎日順風満帆な生活を送っていた。
お店に顔を出すニーアは、時間を変え、私の勤務が終わる少し前に来る。そして一緒に買い物をして帰るのが日課のようになった。カイン達からは「羨ましいねぇ」「熱いね」などと言った冷やかしを受けるが、それでも満ち足りた生活だなと思った。
おかげ様でつい乙女ゲームの中である事も、この話のハッピーエンドの区切りがどこなのかもわからなかった。
(もしかしてすでにハッピーエンドなのかな?これはその延長戦?)
いつの間にこの物語のアフターなど登場したのだろうかと考えていた。だがもしそうであってもまだ解決していない事もある。このフラグを回収していないのにアフターに突入していいのだろうかとも考えた。回収していないフラグはもちろん黒いモヤだ。
今の生活に満足していたからか、すっかり忘れていたが、あれ以来国内で黒いモヤを見る事はなかった。ではあれは幻だったのだろうか。このまま現れないならばそれでもいい。この生活を壊される事さえなければ。そう願っていた。
しかし平穏とはそういつまでも続かないものだった。
その日はカフェの営業が少し長引いた為、帰りは日が暮れてからとなった。しかも今日はニーアの迎えはない。と言うのも、仕事なのだと言っていた。ここで疑問になったのが、ニーアの仕事とは一体何か?一緒にいて私はニーアの事をあまり知らない気もした。
帰り際に遅くまでやっているデリのお店で晩御飯を買い、家に戻ろうとした時だった。
「あれ?」
人ごみに紛れ家とは違う方へと歩いて行くニーアの姿を発見したのだ。
「ニーア……?」
なんだか気になった私は、ニーアにバレない様に距離を取りながら後を追った。
しばらく歩くと人ごみから外れ、人の通りが少ない場所へとやって来た。何故こんな所にいるのだろうか?気になってニーアの様子をじっと見ていた。すると……
「あ、あれは……」
ニーアの前に現れたのは黒いモヤ。どうしてニーアが黒いモヤといるのか。ニーアが危ない!そう思った時、ニーアはあろうことか黒いモヤに触れたのだ。
(ど、どういう事?ニーアは最初から黒いモヤの正体を知っていた?というよりは飼いならしてる?)
黒いモヤの取り扱いに慣れているのか、ニーアは動揺する事なかった。この状況を見るに、黒いモヤはニーアによって操られている?でもどうして?わからない。とにかくわからなかった。
このままここにいるのは危険かもしれない。そう思ってその場から去ろうとした時だった。
「んぐっ!」
突然背後から口をふさがれたのだ。慌てた私は暴れるが、すぐに「静かにしろ」と聞きなれた声がした。振り返った先にいたのはノルトだった。どうしてここにいるのだろうか。
「やはりあの黒いモヤの犯人はあいつだったか……」
どういう事だろう。私は聞き返したかったが、口をふさがれているので声が出せない。するとノルトが「声を出すなよ」と言って手を放してくれた。
「とりあえずここでは話せない。こっちに来い!」
ノルトに連れられその場を後にした私。どうしてニーアが黒いモヤの犯人なのか。その真相を聞かなくてはいけない。
お店に顔を出すニーアは、時間を変え、私の勤務が終わる少し前に来る。そして一緒に買い物をして帰るのが日課のようになった。カイン達からは「羨ましいねぇ」「熱いね」などと言った冷やかしを受けるが、それでも満ち足りた生活だなと思った。
おかげ様でつい乙女ゲームの中である事も、この話のハッピーエンドの区切りがどこなのかもわからなかった。
(もしかしてすでにハッピーエンドなのかな?これはその延長戦?)
いつの間にこの物語のアフターなど登場したのだろうかと考えていた。だがもしそうであってもまだ解決していない事もある。このフラグを回収していないのにアフターに突入していいのだろうかとも考えた。回収していないフラグはもちろん黒いモヤだ。
今の生活に満足していたからか、すっかり忘れていたが、あれ以来国内で黒いモヤを見る事はなかった。ではあれは幻だったのだろうか。このまま現れないならばそれでもいい。この生活を壊される事さえなければ。そう願っていた。
しかし平穏とはそういつまでも続かないものだった。
その日はカフェの営業が少し長引いた為、帰りは日が暮れてからとなった。しかも今日はニーアの迎えはない。と言うのも、仕事なのだと言っていた。ここで疑問になったのが、ニーアの仕事とは一体何か?一緒にいて私はニーアの事をあまり知らない気もした。
帰り際に遅くまでやっているデリのお店で晩御飯を買い、家に戻ろうとした時だった。
「あれ?」
人ごみに紛れ家とは違う方へと歩いて行くニーアの姿を発見したのだ。
「ニーア……?」
なんだか気になった私は、ニーアにバレない様に距離を取りながら後を追った。
しばらく歩くと人ごみから外れ、人の通りが少ない場所へとやって来た。何故こんな所にいるのだろうか?気になってニーアの様子をじっと見ていた。すると……
「あ、あれは……」
ニーアの前に現れたのは黒いモヤ。どうしてニーアが黒いモヤといるのか。ニーアが危ない!そう思った時、ニーアはあろうことか黒いモヤに触れたのだ。
(ど、どういう事?ニーアは最初から黒いモヤの正体を知っていた?というよりは飼いならしてる?)
黒いモヤの取り扱いに慣れているのか、ニーアは動揺する事なかった。この状況を見るに、黒いモヤはニーアによって操られている?でもどうして?わからない。とにかくわからなかった。
このままここにいるのは危険かもしれない。そう思ってその場から去ろうとした時だった。
「んぐっ!」
突然背後から口をふさがれたのだ。慌てた私は暴れるが、すぐに「静かにしろ」と聞きなれた声がした。振り返った先にいたのはノルトだった。どうしてここにいるのだろうか。
「やはりあの黒いモヤの犯人はあいつだったか……」
どういう事だろう。私は聞き返したかったが、口をふさがれているので声が出せない。するとノルトが「声を出すなよ」と言って手を放してくれた。
「とりあえずここでは話せない。こっちに来い!」
ノルトに連れられその場を後にした私。どうしてニーアが黒いモヤの犯人なのか。その真相を聞かなくてはいけない。
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