王様のいいなり！

69

「ちょ、明人！」
「何だよ……」
　ソファに座っていた加奈の太腿に明人の舌が這う。
「んっ……！」
「我慢するなよ。もっと声出せ」
　ちゅっちゅと太腿にキスをした明人の手は加奈の秘部を覆う下着に伸びた。その瞬間加奈は目をカッと開き明人の侵入を阻止した。
「駄目―！」
「チッ、相変わらず色気ねぇな」
「だってここじゃ明るいし……それに恥ずかしいじゃない」
　時刻はまだ夜の八時前だ。寝るには早い時間なので、リビングでテレビを見ていたら、明人が加奈に触れてきた事が事の発端だった。
　あれから加奈は元々住んでいたアパートを引き払って明人と一緒に暮らす事になった。初めは１ＬＤＫでは狭いからと明人は大きい部屋に移ろうと言ったのだが、今はこの部屋で十分だと言って明人を説得した。
　川田とも今まで通り先輩後輩としてやっているが、たまに気まずくなったりはするものの、いつかはそんな雰囲気がなくなって元に戻ればいいと思っている。
「そうか、ならベッドに行くか」
「えっ？ちょっと！」
　スイッチの入った明人は加奈を抱き上げ寝室へと向かった。
「待って待って！そういうんじゃなくて……！」
「じゃあどういうのだ？言ってみろよ」
「ううっ、こう連日だと私の身体がもたないというか……」
　顔を赤らめもじもじしながら言う加奈に明人は「何を言ってる」と言って加奈をベッドに寝かせた。
「これまで散々待たされたんだ。一回二回で俺が満足すると思うなよ。これからたっぷり調教してやる」
「うぅ……」
　断れない加奈は押し黙った。そして優しいキスが落ちてきた。
「加奈……愛してる」
　優しい主人の言葉に加奈は頷き、その腕を明人の首に回した。
加奈と明人の主従関係はまだまだ続くのだと思った。今度は恋人として。