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「仕方ないから適当に掃除するぞ。シャツとかはクリーニングでいいよな?」
「あぁ、すまない……」
すまないと言う言葉に小峰はゾッとした。この男は何があっても謝らない。たとえ十中八九自分が悪いとしても、正当化させて相手に謝らせるような男だ。明日は雪でも降るのではないかと思ってしまった。
「そんじゃこれは洗濯して、食器もお前、これはないだろ」
骨が折れそうだった。山のように積まれた食器を見ながらげっそりとしたが、明人が自炊するなど聞いた事もなかったので、これは一体……
「なぁ、お前って料理出来たっけ?」
「出来るわけないだろ。加奈がやってたのを見よう見まねでやってみたが……上手くいかなかった」
「だろうな……」
手に取った鍋は見事焦げ付いており、何かの残骸ざんがいが黒く塊になっている。しかも鍋は圧力鍋だ。どうやったらここまで焦がせる事が出来るのか想像すると恐ろし。
「じゃ、俺この大量のシャツクリーニング出して来るから」
皿を洗い終え、カッターシャツを紙袋に入れた小峰は、リビングのソファにいる明人にそう言ったが、明人はぐったりしたまま寝ているようだ。
明人のマンションを出てクリーニング店へと向かった小峰は、途中で加奈と出くわした。
「あっ、加奈ちゃん?」
「えっ?小峰さん?」
びっくりしたように小峰を見てきた加奈。もちろん小峰もびっくりだ。
「どうしたの?こんなとこで」
「えっと、ちょっと外回りに出てて……小峰さんは?」
「あぁ、俺は明人の家にちょっと」
「そ、そうなんですか……」
少し戸惑ったような表情を見せた加奈に、小峰は明人の名を出したのはまずかったかなっと思ったが、すぐさま加奈が小峰の持った紙袋に気が付いた。
「それどうしたんです?」
「これ?あいつのシャツだね。あの男が家事全般ダメなの知ってるでしょ?」
「はい。たしか前は週に何回か代行呼んでたって聞いてます」
二人の間に気ごちない空気が流れるのがわかる。そして小峰は詩織からの話を思い出した。
「加奈ちゃんって時間まだ大丈夫?」
「はい。この後は戻って帰宅するだけなので」
「ならこれ店に出すから、ちょっとお茶しない?」
「私はいいですけど……小峰さんはいいんですか?」
「俺はあいつの使いで昼早退したからいいんだ。それに詩織ちゃんの事も大丈夫だよ」
何せ発端は詩織の言葉なのもあるのだからと、小峰は頭の中で納得した。
小峰は明人のシャツをクリーニングに出した後、加奈と一緒に近くのカフェに向かった。
「あぁ、すまない……」
すまないと言う言葉に小峰はゾッとした。この男は何があっても謝らない。たとえ十中八九自分が悪いとしても、正当化させて相手に謝らせるような男だ。明日は雪でも降るのではないかと思ってしまった。
「そんじゃこれは洗濯して、食器もお前、これはないだろ」
骨が折れそうだった。山のように積まれた食器を見ながらげっそりとしたが、明人が自炊するなど聞いた事もなかったので、これは一体……
「なぁ、お前って料理出来たっけ?」
「出来るわけないだろ。加奈がやってたのを見よう見まねでやってみたが……上手くいかなかった」
「だろうな……」
手に取った鍋は見事焦げ付いており、何かの残骸ざんがいが黒く塊になっている。しかも鍋は圧力鍋だ。どうやったらここまで焦がせる事が出来るのか想像すると恐ろし。
「じゃ、俺この大量のシャツクリーニング出して来るから」
皿を洗い終え、カッターシャツを紙袋に入れた小峰は、リビングのソファにいる明人にそう言ったが、明人はぐったりしたまま寝ているようだ。
明人のマンションを出てクリーニング店へと向かった小峰は、途中で加奈と出くわした。
「あっ、加奈ちゃん?」
「えっ?小峰さん?」
びっくりしたように小峰を見てきた加奈。もちろん小峰もびっくりだ。
「どうしたの?こんなとこで」
「えっと、ちょっと外回りに出てて……小峰さんは?」
「あぁ、俺は明人の家にちょっと」
「そ、そうなんですか……」
少し戸惑ったような表情を見せた加奈に、小峰は明人の名を出したのはまずかったかなっと思ったが、すぐさま加奈が小峰の持った紙袋に気が付いた。
「それどうしたんです?」
「これ?あいつのシャツだね。あの男が家事全般ダメなの知ってるでしょ?」
「はい。たしか前は週に何回か代行呼んでたって聞いてます」
二人の間に気ごちない空気が流れるのがわかる。そして小峰は詩織からの話を思い出した。
「加奈ちゃんって時間まだ大丈夫?」
「はい。この後は戻って帰宅するだけなので」
「ならこれ店に出すから、ちょっとお茶しない?」
「私はいいですけど……小峰さんはいいんですか?」
「俺はあいつの使いで昼早退したからいいんだ。それに詩織ちゃんの事も大丈夫だよ」
何せ発端は詩織の言葉なのもあるのだからと、小峰は頭の中で納得した。
小峰は明人のシャツをクリーニングに出した後、加奈と一緒に近くのカフェに向かった。
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