29 / 69
29
しおりを挟む
翌朝になりアラームで目を覚ました加奈は、いつものように朝の準備をする。朝食も作り終わり食べようと思ったが、この時間になっても明人はまだ起きてこない。眠いのでまだ寝ているのかと思ったが、加奈が出るまで明人は姿を見せない。
とりあえず朝食の準備はしてあると伝える為、明人の寝室の扉を叩いたが返事はない。大きなため息を漏らしながら、加奈は明人の部屋の扉をそっと開けた。
「あのぉ、朝食出来てるから……適当に食べてね」
シーンとした室内。さすがに気になった加奈は、失礼だと思いながらも部屋に足を踏み入れた。
ベッドの方に目を向けると、明人は規則正しい寝息をたて眠っている。こうして見ると顔の良さだけは褒めたくなった。
「あのぉ、私もう行きますので」
「う……ん……」
ようやく目を覚ました明人は、焦点の合わぬ目で茫然としていた。あまり見ない光景なので、加奈はクスッと笑ってしまった。寝顔と寝起きは子供のようだ。すると明人は加奈を見てスッと手を頬に当てた。
「んっ!」
ちゅっと音を立てキスをされた加奈は不意をつかれたと目を見開く。すぐさま反論しようとしたが、明人の様子がおかしい。詳細に言えば昨日の晩からおかしいのだが……
「あ、あんたね。朝っぱらから……」
「加奈。さっさと俺の女になれ……」
「は、はいぃぃ?」
寝ぼけているのだろうか?朝からセクハラされた挙句におかしな事を言って来る。加奈はどうしたものかと頭を捻る。
「どうしたんですか?二日酔いですか?」
「俺は至って正常だ。お前が鈍感でアホで物分りがないだけだろ」
どうやら寝ぼけていないらしい。口調もはっきりとしているし、いつも通りの嫌味も健在だ。では女になれとは一体……
「あのぉ、女になれって、つまりは彼女ですよね?」
「それ以外何がある」
「何で?」
「そんなの普通に考えればわかるだろうが」
いや、はっきり言ってくれなきゃわからない。
加奈の鈍感具合は今に始まった事ではないが、ここまでくると明人も呆れた表情を浮かべる。
「お前は俺の事好きじゃないのか?」
「好きじゃないです。むしろ恐怖の大王としか思ってません」
「チッ!人の好意を拒否するとは。お前ってやっぱり馬鹿だな」
「あのねぇ!はっきり言いなさいよ!」
「言ってるだろう?お前の理解力がないだけだ!」
さっきまでの言葉はどこへやら……二人はいつものように言い争いを初めてしまった。だがそんな事をしていると、加奈の出勤時間が刻一刻となくなっていく。
「あぁもう!とにかく私、あなたの彼女には絶対なりません!そして行って来ます!」
バタンと部屋の扉を閉め会社へ行ってしまった加奈。
「あの女ぁ、今に見てろ!」
とりあえず朝食の準備はしてあると伝える為、明人の寝室の扉を叩いたが返事はない。大きなため息を漏らしながら、加奈は明人の部屋の扉をそっと開けた。
「あのぉ、朝食出来てるから……適当に食べてね」
シーンとした室内。さすがに気になった加奈は、失礼だと思いながらも部屋に足を踏み入れた。
ベッドの方に目を向けると、明人は規則正しい寝息をたて眠っている。こうして見ると顔の良さだけは褒めたくなった。
「あのぉ、私もう行きますので」
「う……ん……」
ようやく目を覚ました明人は、焦点の合わぬ目で茫然としていた。あまり見ない光景なので、加奈はクスッと笑ってしまった。寝顔と寝起きは子供のようだ。すると明人は加奈を見てスッと手を頬に当てた。
「んっ!」
ちゅっと音を立てキスをされた加奈は不意をつかれたと目を見開く。すぐさま反論しようとしたが、明人の様子がおかしい。詳細に言えば昨日の晩からおかしいのだが……
「あ、あんたね。朝っぱらから……」
「加奈。さっさと俺の女になれ……」
「は、はいぃぃ?」
寝ぼけているのだろうか?朝からセクハラされた挙句におかしな事を言って来る。加奈はどうしたものかと頭を捻る。
「どうしたんですか?二日酔いですか?」
「俺は至って正常だ。お前が鈍感でアホで物分りがないだけだろ」
どうやら寝ぼけていないらしい。口調もはっきりとしているし、いつも通りの嫌味も健在だ。では女になれとは一体……
「あのぉ、女になれって、つまりは彼女ですよね?」
「それ以外何がある」
「何で?」
「そんなの普通に考えればわかるだろうが」
いや、はっきり言ってくれなきゃわからない。
加奈の鈍感具合は今に始まった事ではないが、ここまでくると明人も呆れた表情を浮かべる。
「お前は俺の事好きじゃないのか?」
「好きじゃないです。むしろ恐怖の大王としか思ってません」
「チッ!人の好意を拒否するとは。お前ってやっぱり馬鹿だな」
「あのねぇ!はっきり言いなさいよ!」
「言ってるだろう?お前の理解力がないだけだ!」
さっきまでの言葉はどこへやら……二人はいつものように言い争いを初めてしまった。だがそんな事をしていると、加奈の出勤時間が刻一刻となくなっていく。
「あぁもう!とにかく私、あなたの彼女には絶対なりません!そして行って来ます!」
バタンと部屋の扉を閉め会社へ行ってしまった加奈。
「あの女ぁ、今に見てろ!」
0
お気に入りに追加
316
あなたにおすすめの小説
先生!放課後の隣の教室から女子の喘ぎ声が聴こえました…
ヘロディア
恋愛
居残りを余儀なくされた高校生の主人公。
しかし、隣の部屋からかすかに女子の喘ぎ声が聴こえてくるのであった。
気になって覗いてみた主人公は、衝撃的な光景を目の当たりにする…
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
イケメン彼氏は警察官!甘い夜に私の体は溶けていく。
すずなり。
恋愛
人数合わせで参加した合コン。
そこで私は一人の男の人と出会う。
「俺には分かる。キミはきっと俺を好きになる。」
そんな言葉をかけてきた彼。
でも私には秘密があった。
「キミ・・・目が・・?」
「気持ち悪いでしょ?ごめんなさい・・・。」
ちゃんと私のことを伝えたのに、彼は食い下がる。
「お願いだから俺を好きになって・・・。」
その言葉を聞いてお付き合いが始まる。
「やぁぁっ・・!」
「どこが『や』なんだよ・・・こんなに蜜を溢れさせて・・・。」
激しくなっていく夜の生活。
私の身はもつの!?
※お話の内容は全て想像のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※表現不足は重々承知しております。まだまだ勉強してまいりますので温かい目で見ていただけたら幸いです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
では、お楽しみください。
エリート課長の脳内は想像の斜め上でした!? ~一夜の過ちにはしてもらえなかった話~
えっちゃん
恋愛
飲み会に参加した夜、酔い潰れていた私を押し倒していたのは社内の女子社員が憧れるエリート課長でした。
普段は冷静沈着な課長の性癖をくすぐり、執着されたらしい私には彼の思考は斜め上過ぎて理解不能です。
性描写がある話には*がついています。
シリアスにみせかけた変態課長との純愛?話。
前半はヒロイン視点、後半は課長視点。
課長は特殊な変態です。
課長視点は下品で変態描写が多いため、苦手な方はごめんなさい。
他サイトにも投稿しています。
お見合い相手はお医者さん!ゆっくり触れる指先は私を狂わせる。
すずなり。
恋愛
母に仕組まれた『お見合い』。非の打ち所がない相手には言えない秘密が私にはあった。「俺なら・・・守れる。」終わらせてくれる気のない相手に・・私は折れるしかない!?
「こんな溢れさせて・・・期待した・・?」
(こんなの・・・初めてっ・・!)
ぐずぐずに溶かされる夜。
焦らされ・・焦らされ・・・早く欲しくてたまらない気持ちにさせられる。
「うぁ・・・気持ちイイっ・・!」
「いぁぁっ!・・あぁっ・・!」
何度登りつめても終わらない。
終わるのは・・・私が気を失う時だった。
ーーーーーーーーーー
「・・・赤ちゃん・・?」
「堕ろすよな?」
「私は産みたい。」
「医者として許可はできない・・!」
食い違う想い。
「でも・・・」
※お話はすべて想像の世界です。出てくる病名、治療法、薬など、現実世界とはなんら関係ありません。
※ただただ楽しんでいただけたら幸いです。
※コメントや感想は受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
それでは、お楽しみください。
【初回完結日2020.05.25】
【修正開始2023.05.08】
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる