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三章
おいでませ!アルディオスの森へ!!天国と地獄編3
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それは突如、空から舞い降りた。
黄金に煌めく艶やかな髪をふわりとなびかせ、濁りの無い完璧な青の瞳が俺達を直視する。
枝葉の隙間から刺す光が、見惚れる程の姿形をした幼子をより一層神秘的なものへと昇華させていた。
思わず膝を折り、傅いてしまいそうになる尊き者の威光。
俺達は絶望と地獄の淵で、幼き天使と出会ったーー
「おぢさん達。わたちが来たからには、もう安心でちよ!お助けするでち!!」
マルゴレッタの言葉に、四人の男達は目を見開き呆然と立ち尽くす。
イマイチな反応をする男達に、幼女はコテンと首を傾けた。
少しばかり派手な登場をしたせいで、男達を驚かせてしまったのではないか?そう考えたマルゴレッタは、人好きそうな笑顔を作り男達の元に、トテトテと駆け寄る。
「おぢさん達!わたちは人畜無害の良い子な幼女でち!驚かせてごめんなさいでちよ~」
花の様な笑顔を咲かせた後、ぺこりと頭を下げる幼女。
上目遣いで、男達の様子をちらりと伺い見るとマルゴレッタは、はたと気付いてしまう。
よくよく見れば男達は大小様々な傷を作り、酷い者だと片腕を無くした者もいた。
「あばぁ……。酷いケガなんでちよ……。う~。おぢさん達、痛くないんでちか?」
「い、いや……。俺……私達は……」
マルゴレッタは、瞼を閉じると体内の魔力を高め両腕を翳し集中する。
無数の光の玉が、男達の周りに漂い始め、それが弾けると光の雨を降らす。
「な、なんだこの温かな光の雨は……」
「お、おいっ!傷が……俺達の傷がみるみる内に癒えていくぞ!?」
「う、腕が……。俺の腕が生えていく……」
「し、信じられん」
幼女の起こした奇跡に騒めく男達。
マルゴレッタは、小さな呼吸を一つ吐きゆっくりと瞼を開く。
「えへへ。痛いの飛んでいったでちか?さぁ、おぢさん達!この森は危険で一杯なんでちよ!わたちに付いて来るんでち!」
急かす様に告げる幼女の姿に、男達は腰に携えた剣を一斉に引き抜いた。
軍内で支給されたであろう、統一された量産品の剣の先が微かに震えている。
短く刈り込んだ短髪の男が、周りの仲間達に対して気勢を上げて吠えた。
「震えるなっ!!例え何者であろうと俺達が取るべき行動は一つだけだっ!」
自分に向けらられた剣先に、呆気に取られるマルゴレッタ。
だが、男達の目線は自分にではなく、その背後に存在する者に対してのものだと気付く。
そろりと振り向くマルゴレッタの眼前には、地面から這い出る牛頭の人擬きが口から涎を垂らしながら獰猛な形相で睨め付けていた。
「あびゃあああああああああ!?筋肉モリモリ、マッチョな変態牛さんなんでちよっ!モロ出しなんでちよっ!?」
牛頭の人擬きの下半身から逞しくぶら下がる男根に、マルゴレッタは両手で顔を覆い絶叫を上げる。
異様な出で立ちをする牛頭の人擬きは、幼女の頭部をカチ割らんと、手に持った戦斧を振りかざす。
「うおおおおおぉぉぉぉ!天使様に指一本触れさせんぞ!お前等、俺に続けえぇぇ!!」
「「「おおおおおおっ!!」」」
四人の男達が、マルゴレッタを救わんと一斉に牛頭の人擬きに斬りかかろうとした瞬間だった。
「うおおおおおおおぉぉぉぉぉっ!マルゴレッタァァァァァァ!お前って奴はぁぁぁ!」
怒気混じりの大声で叫びながら、空から急降下するジャレッドが,その勢いのままに牛頭の人擬きの頭頂部を掌で叩きつけた。
勢いの付いた掌で叩き付けられた牛頭の頭部は、あり得ないぐらい凹み両の目玉がどろりと飛び出し、ビクリと痙攣する。
「俺の可愛い姪っ子に、えげつねぇモン見せてんじゃねぇぞ!ゴラァッ!!」
フラつく牛頭の首筋を鷲掴み、大木の様な腕を隆起させてソレを高々と宙へと放り投げた。
二メートル弱あった牛頭の体躯は大きな放物線を描きながら地面へと打ち付けられるーー筈だった。
「爆ぜろッ!」
ジャレッドの言葉通り、牛頭の全身の皮膚が数え切れない無数の泡を作り出し、白い煙を出しながら急速に肥大化する。
先ほど牛頭の人擬きに打たれた掌打は、火の魔力属性が込められていた。インパクト時に火の魔力が注ぎ込まれた掌底によって、体内の血液が沸騰し内側から牛頭の肉体を破壊する。
内側から膨張し限界を迎えた無数の泡は鈍い破裂音は鳴らしながら爆ぜ、牛頭の肉体を微塵に辺りへぶち撒けた。
「ったく。世話のかかる姫様だぜ……。ほれ、マルゴレッタ。お前にとんでもねぇモンを見せる奴はいなくなったぞ?もう怖いものなんてねぇから、目を開けろ」
ジャレッドに促され、マルゴレッタは恐る恐る顔に覆い被せた手を引っ込める。
だが、幼女の眼前にはとんでもないモノを乗せたジャレッドが、憤怒の表情で腕を組み仁王立ちしていた。
「お前はぁ~!あれほど無茶な事はするなと言ったーーん?どうした、マルゴレッタ?」
「ちょ、ちょんまげでち……」
ふるふるとジャレッドの頭上を指差したマルゴレッタは、ぽつりと言葉を遺し白目を剥きながら卒倒した。
「ちょんまげ?って、こいつまた、白目を剥いて卒倒しやがったぞ……。どうなってんだ。お~い!マルゴレッタ!起きろ~~!」
幼女を抱き抱え、ペチペチと頰をはたくジャレッドの頭上には、微塵に吹き飛んだ牛頭の体の一部。
男根が見事に鎮座していたーー。
黄金に煌めく艶やかな髪をふわりとなびかせ、濁りの無い完璧な青の瞳が俺達を直視する。
枝葉の隙間から刺す光が、見惚れる程の姿形をした幼子をより一層神秘的なものへと昇華させていた。
思わず膝を折り、傅いてしまいそうになる尊き者の威光。
俺達は絶望と地獄の淵で、幼き天使と出会ったーー
「おぢさん達。わたちが来たからには、もう安心でちよ!お助けするでち!!」
マルゴレッタの言葉に、四人の男達は目を見開き呆然と立ち尽くす。
イマイチな反応をする男達に、幼女はコテンと首を傾けた。
少しばかり派手な登場をしたせいで、男達を驚かせてしまったのではないか?そう考えたマルゴレッタは、人好きそうな笑顔を作り男達の元に、トテトテと駆け寄る。
「おぢさん達!わたちは人畜無害の良い子な幼女でち!驚かせてごめんなさいでちよ~」
花の様な笑顔を咲かせた後、ぺこりと頭を下げる幼女。
上目遣いで、男達の様子をちらりと伺い見るとマルゴレッタは、はたと気付いてしまう。
よくよく見れば男達は大小様々な傷を作り、酷い者だと片腕を無くした者もいた。
「あばぁ……。酷いケガなんでちよ……。う~。おぢさん達、痛くないんでちか?」
「い、いや……。俺……私達は……」
マルゴレッタは、瞼を閉じると体内の魔力を高め両腕を翳し集中する。
無数の光の玉が、男達の周りに漂い始め、それが弾けると光の雨を降らす。
「な、なんだこの温かな光の雨は……」
「お、おいっ!傷が……俺達の傷がみるみる内に癒えていくぞ!?」
「う、腕が……。俺の腕が生えていく……」
「し、信じられん」
幼女の起こした奇跡に騒めく男達。
マルゴレッタは、小さな呼吸を一つ吐きゆっくりと瞼を開く。
「えへへ。痛いの飛んでいったでちか?さぁ、おぢさん達!この森は危険で一杯なんでちよ!わたちに付いて来るんでち!」
急かす様に告げる幼女の姿に、男達は腰に携えた剣を一斉に引き抜いた。
軍内で支給されたであろう、統一された量産品の剣の先が微かに震えている。
短く刈り込んだ短髪の男が、周りの仲間達に対して気勢を上げて吠えた。
「震えるなっ!!例え何者であろうと俺達が取るべき行動は一つだけだっ!」
自分に向けらられた剣先に、呆気に取られるマルゴレッタ。
だが、男達の目線は自分にではなく、その背後に存在する者に対してのものだと気付く。
そろりと振り向くマルゴレッタの眼前には、地面から這い出る牛頭の人擬きが口から涎を垂らしながら獰猛な形相で睨め付けていた。
「あびゃあああああああああ!?筋肉モリモリ、マッチョな変態牛さんなんでちよっ!モロ出しなんでちよっ!?」
牛頭の人擬きの下半身から逞しくぶら下がる男根に、マルゴレッタは両手で顔を覆い絶叫を上げる。
異様な出で立ちをする牛頭の人擬きは、幼女の頭部をカチ割らんと、手に持った戦斧を振りかざす。
「うおおおおおぉぉぉぉ!天使様に指一本触れさせんぞ!お前等、俺に続けえぇぇ!!」
「「「おおおおおおっ!!」」」
四人の男達が、マルゴレッタを救わんと一斉に牛頭の人擬きに斬りかかろうとした瞬間だった。
「うおおおおおおおぉぉぉぉぉっ!マルゴレッタァァァァァァ!お前って奴はぁぁぁ!」
怒気混じりの大声で叫びながら、空から急降下するジャレッドが,その勢いのままに牛頭の人擬きの頭頂部を掌で叩きつけた。
勢いの付いた掌で叩き付けられた牛頭の頭部は、あり得ないぐらい凹み両の目玉がどろりと飛び出し、ビクリと痙攣する。
「俺の可愛い姪っ子に、えげつねぇモン見せてんじゃねぇぞ!ゴラァッ!!」
フラつく牛頭の首筋を鷲掴み、大木の様な腕を隆起させてソレを高々と宙へと放り投げた。
二メートル弱あった牛頭の体躯は大きな放物線を描きながら地面へと打ち付けられるーー筈だった。
「爆ぜろッ!」
ジャレッドの言葉通り、牛頭の全身の皮膚が数え切れない無数の泡を作り出し、白い煙を出しながら急速に肥大化する。
先ほど牛頭の人擬きに打たれた掌打は、火の魔力属性が込められていた。インパクト時に火の魔力が注ぎ込まれた掌底によって、体内の血液が沸騰し内側から牛頭の肉体を破壊する。
内側から膨張し限界を迎えた無数の泡は鈍い破裂音は鳴らしながら爆ぜ、牛頭の肉体を微塵に辺りへぶち撒けた。
「ったく。世話のかかる姫様だぜ……。ほれ、マルゴレッタ。お前にとんでもねぇモンを見せる奴はいなくなったぞ?もう怖いものなんてねぇから、目を開けろ」
ジャレッドに促され、マルゴレッタは恐る恐る顔に覆い被せた手を引っ込める。
だが、幼女の眼前にはとんでもないモノを乗せたジャレッドが、憤怒の表情で腕を組み仁王立ちしていた。
「お前はぁ~!あれほど無茶な事はするなと言ったーーん?どうした、マルゴレッタ?」
「ちょ、ちょんまげでち……」
ふるふるとジャレッドの頭上を指差したマルゴレッタは、ぽつりと言葉を遺し白目を剥きながら卒倒した。
「ちょんまげ?って、こいつまた、白目を剥いて卒倒しやがったぞ……。どうなってんだ。お~い!マルゴレッタ!起きろ~~!」
幼女を抱き抱え、ペチペチと頰をはたくジャレッドの頭上には、微塵に吹き飛んだ牛頭の体の一部。
男根が見事に鎮座していたーー。
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