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おれの妄想その2、『やだよ、耀くん……』

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――…あれ、この感じって……え、もしかして…もしかしなくとも耀くんて、おれのこと……『好き』?



今から1年くらい前のこと。
おれがまだ小学6年生で、耀くんは大学1年生だったとある7月の日曜のお休みの日。


実はその前の日の土曜日。
いつものようにおれは隣のお家の耀くんのもとへと遊びに行き、学年があがってからクラスの何人かの男子たちがえっちな話とかを平気でクラス内で話していることについての何度目かの文句を、その日も耀くんに聞いてもらってたのだけど――…



『――でねでねっ、今日もクラスの違うグループの男子たちがま~たえっちな話で盛り上がってってさ!! ほんっと、話すにしてももうちょっと声のボリューム落としてほしいものだよねまったく!!』
『ははっ、小学6年生ともなるとそういうコトにも興味が出始める時期だし仕方ないって。まぁ確かに声のボリュームは下げた方がいいかもだなぁ…――あ、でもさ』
『ん?』
『この話する度にてつとはよくプリプリと怒ってるけども……てつと自身はその…えっちなコト、とかにはまだまったく興味はもってたりはしていない…のか?』
『へ…おれが、えっちなコトに興味って………っ!!??』
『え、』
『ぬあっ、なっなななっ、耀くっいっいきなり何言って……そ、そんなおれは別に、え…えっちなコトになんて全然…興味とか、これっぽっちぽない…し、っ』
『……っぅ!??』



なんて、耀くんが何でもないことのように明るめな声でしてきた問いに、おれは一瞬にして自分の顔が真っ赤っかになったのを、身体がボッと急に熱くなってなんだかすごく変な感じに……気持ちになったのを今でもしっかり覚えてる。

そのあとすぐに、


『っ、もっもうおれのことはどうだっていいでしょ!! とにかくクラスのアイツらがうるさかったって話なの! はいっこれでもうこの話はおしまいっ!! いいから早くいつものゲームしよっ耀くん…!!!』
『――へっ!? っ、あ、そっそうだなごめんごめんっ…!? げっゲームな、今日はどれしよっか…!』


って、恥ずかしさから誤魔化すみたいにすぐに二人で一緒にゲームを始めて、強制的にえっちなコトについてのアレソレの話をおれはおしまいにしたんだよね。



――でも、その日の夜。



『……えっちな、コト……っ、別におれっ、クラスのアイツらみたいに女の子のお、おっぱいがどうとかとかになんてそこまで興味なんてないんだからねっ…!! ……ないけど…でも、耀くんはどう…なんだろ……』



小さい頃からずっと一緒だったけれど、今まで耀くんに恋人…みたいな人がいるのは見たことなかったし、好きな人とかのお話もまったく聞いたことなかったから全然気にしてなかった、んだけど。


『…おれが知らなかっただけで、もしかして耀くんにもそういう好きな人…とか、え…えっちなコトしたいとか思ってる人がいたりする…のかな……っ、そうだとしたら、なんか…』


なんだか、すっごく嫌だなぁ、


『やだよ、耀くん……』



自分がえっちなコトに興味あるかどうかの気恥ずかしさよりも、幼なじみの耀くんに『そういうえっちなコトをしたい人=好きな人』がいるかもしれないことの方が、おれの頭の中をその時いっぱいにしていたんだ。



そんな、なんでかとってもぐるぐるした気持ちで迎えた次の日、日曜のおれの家にて。



『――はわぁっ!!? …あっ、ごっごめん手ぇぶつかっちゃってさ…あは、あははごめん、いきなり変な声だしちゃって……』

『な…なんか今日いつもよりすっごく暑いなぁ、じゅ、ジュースジュース……ってちょっ!!? ててててつとっそれ俺の使ってたストローっ!!? ……あ、うん…そ、そうだよな、回し飲みなんていつもしてたもんなうん……っ』

『……あ、あのさてつと…その、さっきからソレ……うん、そのティーシャツ、あの…汗でちょっと前の部分湿ってきちゃってるみたいだから、着替えてきた方がいいんじゃないかと、思いましてですね……かっ風邪っ、風邪ひいちゃうかもしれないしっ!? 絶対今すぐ着替えてきた方がいいって、なっ!!?』

『っ……』



……ぐるぐるしたおれの気持ちがどこかに吹き飛んでいっちゃうぐらいに、前の日の土曜日…というか、今まで一緒にいた日々で特に問題なく普通に行っていたアレやソレに、何故だかビックリするほど顔を真っ赤っかにしてあわあわ焦ったり、そのくせチラチラっ…時々ジーっとおれのことをまるで……まるでそう、クラスでえっちなコトを話している時の男子たちと似たようなあの目の形でおれをそっと見つめてくる耀くんに、



――…あれ、この感じって……え、もしかして…もしかしなくとも耀くんて、おれのこと……『好き』?



普通の好きじゃなくて、恋とかそういう意味で耀くんはおれのことが『好き』なのでは……と、この日小学6年生ながらにおれは、耀くんのおれへの今までになかったと思われる新たな気持ちを秘かに感じ取ったのでした。



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