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しおりを挟む「……ふ、ふふっ、ほんと…疾風くんかわっ可愛いっ…ふふっ」
「だあぁぁぁぁぁっだからもうその思い出し笑いやめろっつの!!」
「ご、ごめっ…ふぐっ…」
「ああああもうっ!! むしろ俺のほうが今恥ずか死ねる状況だっつーの!! クソがっ…!!!」
――結論から言うと、本当に恥ずか死ねるぐらいに全部が俺の早とちり……つまり『誤解』であった。
まず、いつぐに好意を抱くも何も、伊波コウというオトコには既に『恋人』と呼べる存在がいたのだ。
「確かに、あのケガをさせちゃったすぐ後に伊波くんの方から積極的に声をかけてきて、それで友達になったのは事実なんだけどさ。そもそも、そのオレと友達になりたかったキッカケ? っていうのも、ボールをあてちゃった日にそのことで伊波くんがむしろ家で良い思いかなんかをしたから…それでオレにかなり好印象もったらしくて……で、あと伊波くんが言うには、オレが見てて面白いから…だから友達になりたくなっちゃったって」
「ああ、それはわかるんだが」
「わかるの!? 待ってどこがっ!? 地味なオレのどこがおもしろいって言うのさ…!?」
「いや…さっきあんな濃いキャラの母親からオレみたいな地味男が云々言ってたけどよ、オマエも大概中身濃いめだぞ? Sっ気もあるし」
「そうなの!? っていうか何度も言うけどオレSじゃないからねっ!? ……と、とにかくね、さっきも話したけど、伊波くんには本人曰く『すっごくかっこよくて可愛い、世界一素敵なボクの年下の恋人くん♡』がいるとのことなので…」
「はぁ? 世界一素敵なのは俺のいつぐだっつの」
「ぶほっ!? …っ、あのさぁ疾風くんは何でそう……はぁ、可愛いなほんともうっ♡」
「っ、うるせっつの……んで、じゃあアイツ…伊波の妙な雰囲気や仕草の原因は、アイツに既に恋人がいたからってのもあるのか…?」
「えっ妙な雰囲気って…伊波くんが?」
「なんか遼太郎や望月とかがそれっぽいこと言ってた…あと別のクラスのオトコだかも? ……まぁ俺も、オマエに対する伊波の態度っつか、接し方になんかわかんねぇけどちょっと…だいぶ危機感…覚えてたしよ」
「! っ、そっか…さっきもそう話してたもんね。危機感っていうのは自分ではわかんなかったけど…でも多分そのオレへの接し方が妙な感じに見えたのは、オレの反応が面白い…? っていうのと、あとは伊波くんの幼なじみにいつもしてることをついついオレにもしちゃうことがあったからだと思うよ」
「!? お、幼なじみ…?」
「そう。伊波くんさ、お隣に住んでいる昔からずっと仲が良い年下…確か小学生? だかの幼なじみの男の子がいるらしくて、いつもその子の汚れた口もととか拭いてあげたり勉強教えたり…って色々してるんだって。それで…」
「! じゃ、じゃあ…『ウィズwithバーガー』でアイツがオマエの口もとのソース取ってたのもっ…!?」
「うん、その幼なじみの子にいつもしてるのもあってつい…って伊波くん言ってたよ。……というか、アレだね。ああいう場面もバッチリ見られてたかと思うと…な、なんか今更だけどめちゃくちゃ恥ずかしくなってきたよ…」
「……オマエ、伊波に口もとのソース指ですくってもらって、その指舐めた伊波見て顔真っ赤にしてあわあわしてたもんな」
「あっあれはだって、そりゃ突然あんなことされたら普通驚くでしょっ…!?」
「っでも、顔真っ赤にする必要はねぇし……」
「!!」
「やっぱアイツが遼太郎たちの言うようにキレイだか………おい、何でニヤニヤしてんだよオマエは、」
「っ、だって…疾風くんのヤキモチがめちゃくちゃかわいくてつい…あとその拗ね顔も死ぬほど可愛いなって、へへっ♡♡」
「かわっ…!? っ、ああそうだよ!! こっちはずっとずっといつぐと伊波が仲良くしてることにやきもきして、
嫉妬して、めちゃくちゃヤキモチ妬いてたんだよばぁぁぁっか!!」
「!! は、疾風く…」
「それなのにっ、おまっ…オマエと伊波が今日一緒に出かけたほんとの理由があんなっ――…」
そう。伊波コウに『恋人』がいただけでも驚きだったってのに……そもそもの今日の出来事、今日、俺の誘いを断り前々からの約束でいつぐと伊波の二人が一緒に街に出かけた本当の目的は、
いつぐが伊波に自分に最近恋人ができたことを話し、伊波も自分も最近恋人ができたと教えたことで意気投合し、伊波が甘い物が好きだというその恋人に、最近オープンしたスイーツ店『party sweet colorful,』の看板商品『さわやかはちみつレモンのクリームタルト』をあげたかったからなのに加え、
街中デートをしたことなかった伊波が、先にそのデートを済ませたいつぐが恋人――つまりは、俺――と一緒に訪れた場所を今後のデートの参考も兼ねていつぐに案内してもらいたかった
――という、理由からだったのである。
ああ、やっぱ俺……マジで恥ずか死ねるな、コレ。
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