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4話 おれって、変なのかなぁ?

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それなのに、最初のゆまちゃん……あっ違う違うゆかちゃんだ。
初カノのゆかちゃんに続いてこれで。


「……んと、これで彼女にフラれるの何人目だっけ、恵ちゃん?」
「うぐぅっ!? ……お、お前はそんな傷を抉るような直球な質問を…」
「え、あっごっごめん恵ちゃん…!! おれってば無神経なこと…」
「いや…そのストレートな部分もりょうのイイトコロでもあるしな、気にすんな……え~っと、小五? 小六の時のゆかちゃんから…中一に一人、中二に三人、中三で一人…だっけ? んで高一に二人で、この間のりょうかを入れると……全部で九人、か?」
「おおっ九人も…!! わ~じゃあ次があったらとうとう二桁になっちゃうんだ…やっぱり恵ちゃんはすごいなぁ」
「……おい、二桁って…これ以上増やしちゃダメだろ。それにその人数分だけ、俺がフラれたってことでもあるんだぞ」
「へ……ってそうだよっ、おれってば恵ちゃんにまた変なこと言っちゃっって……うう、ほんとごめんなさい…おれのバカっ…」
「りょう…」

……また余計なこと言ってしまった、ほんとおれってやつはもう……っ。

そうしょげるおれに、「…りょ~う、」恵ちゃんが覗き込むように声をかけ。


「ほらっ、口開けてみ? あ~ん」
「へっ…あ、あ~ん? …んむ……あっ、これっ…!」
「そっ、お前の好きないちごみるくのキャンディーな! ……そんなしょげた顔すんなって。りょうが元気なくなると、俺まで元気なくなっちゃうんだからさ」
「っ、恵ちゃん…」
「どうだ? いちごみるく舐めて、少しは元気でたか?」
「へへっ、うん! すっごく元気でたよっありがとう恵ちゃん!」
「よし、ならオッケー! ふはっ」


って、制服のポッケから取り出したおれの一番大好きなアメを、おれの口に優しく入れてくれたんだ。
もちろん、いちごみるくのキャンディーでも元気がいっぱいでたけどさ――…

それ以上に、目の前の恵ちゃんのくれた言葉と優しい笑顔で、おれの元気はそれはもう見る見る復活していったんだから、やっぱり恵ちゃんはすごいやっ。


「それにしても…いっつも気づいたら恵ちゃんのポッケから出てくるよね、いちごみるくのキャンディー」
「ん? …ああこれか。 おうっいつもここに入ってるぞ、りょう専用のいちごみるくがな」
「ええっそうなの!?」
「そ、りょう専用だから、今まで彼女にもあげたことねーしな」
「…おれ、専用……っ、えぇどうしよ…おれめちゃくちゃ嬉しいんですけどぉ…わぁなんか顔熱くなってきちゃったよ…!」
「っ、……もしかして、りょう照れてんのか?」
「そ、そうなのかな…ひゃ~恥ずかしいっ…」
「~~っ、お前はほんと可愛いなぁもうっ!」
「わぷっ!! …ぷはっ、恵ちゃ、苦し…」
「はぁ……ほんと可愛いなぁ、りょうマジ可愛い♡♡」
「! ……へへ…♡♡♡」


ぎゅううっていきなり恵ちゃんに強く抱きしめられて苦しいよって言おうと思ったけど、
恵ちゃんが何だか嬉しそうだから、おれもぎゅって抱きしめ返しちゃった。

おれ男なのに、恵ちゃんに『可愛い』って言われると、すっごく嬉しくなっちゃうんだよね、昔から。
それに、おれの大好きないちごみるくをいつもポッケに持ってただなんて。
しかも今まで彼女にはあげたことがないなんてさ……めちゃくちゃ嬉しすぎる。


――こんなに嬉しいって思っちゃうおれって、変なのかなぁ?


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