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18話  ――楽しみに、待ってるね。

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そうして、


「ああっコウ兄っ…おれっ、おれコウにぃとセックスしたいよぉっ♡♡ うあっ、もうちんちんせーえき出るっ…せーしびゅって出ちゃううぅっ、あああっ♡♡♡」


びゅっびゅびゅぅ、どぴゅうぅっ、

「っ――、」

一際大きな声を出し、思いっきり自身のペニスからたくさんの精液を弧を描くように射精した彼の
――『ボクとセックスをしたい』と叫んだ、拓馬くんのその姿を目の当たりにして。


『ボクも今すぐ、キミにめちゃくちゃに犯されたい』


ただそれだけが、ボクの身体の中すべてを一瞬にして、駆け巡っていったのである。


「……は、ふっ…はぁ、はぁ……っ、コウ兄ぃ…」

……けれども。
今すぐにでもこの扉を勢いよく開けて、部屋の中に突入したいのは確かだけど、
きっと……ううん、絶対に拓馬くんは『ボクの名を呼びながらオナニーをしていた』場面をボク自身に見られてたなんて知ったら、ショックを受けることは確実だろう。

もしかしたら、恥ずかしい姿を見せてしまったと……
この先、ボクのことを避けるようになる…なんてことが起こりえるかもしれない。
そんなことをされてしまったら、ボクはこの先絶対に生きていけない。
拓馬くんとしゃべれない、触れ合えない日々が続くなんて、考えただけで――死にたくなる。

だったら……恥ずかしい姿を見せるのは、ボクでいい。
拓馬くんの『したいコト』のキッカケを作るのも、ボクからしてあげなくちゃ。
そこから彼がどう動いてくれるかは、まだわからない。
でも、ボクはそこに賭けてみたい。

「……っ、」

決意すると同時に、
スッとボクは気配を消すようにし、その場を離れ――




『ピンポーン♪』『ピンポーン…♪』

ガタッ!! ガタンっ!! ガタタッ!! ……バタンっ!!! ダダダダダダっ……!!! 

…ガチャっ!!

「はっはい、いま開けまっ――なっ!!?」
「――あ、拓馬くんこんにちは…ふふ、昨日ぶりだね。あのね、前にキミが見たいって言ってたアニメ映画のDVD借りてきたから、一緒に見ようかなぁって思って……って、どうしたの? そんな固まったような顔して…」
「っ!! あっ、やっ……こっコウ兄、こっこんにちはっ…! …えと、ちょっとその…おれ、さ、さっきまでずっと寝てたからっ…だからっ…」
「えっ、ああそれで……ごめんね、起こしちゃったかな? どうしよう、拓馬くんまだ眠いならこれはまた今度…」
「だっ大丈夫っ!! ディ、DVDおれ見るからっ…!!」
「……そう? ほんとに大丈夫そう?」
「ぜ、全然平気っ…!」
「そっか、なら良かった。…じゃあ、お家にお邪魔しちゃっても大丈夫かな?」
「っ……どうぞ、です」
「ふふ、ありがとう。では、お邪魔します」
「…う、うん」


……そう。
再び家の外に出て、鍵をかけて……まるであたかもいま訪れましたとばかりに、
拓馬くんちのチャイムを軽快に鳴らしたのだった。
突然の来客に外からでもわかるほどのものすごい音を立てながら拓馬くんは階段を下りてきて、
焦るようにして玄関のドアを開けてくれた。

開けてからの、目の前にボクの姿が見えた瞬間の拓馬くんの顔……ごめんね、
かなり驚かせちゃったみたいで申し訳ないな。

――なんて、これからボクはもっと酷いコトをしてしまうんだけど。

何でもないような笑顔をゆるく浮かべて、
ボクは彼の家の中へと、ゆっくりもう一度足を踏み入れた。

「!」
履いていた靴を脱ぎ顔をあげた瞬間。
ふいに、拓馬くんが左腕にズボンらしき物をのせているのに気づき。
……何故それを彼が持っていたのかも、同時に理解する。
いつもより裾の長めのTシャツで隠れている今現在履いているそのズボンには、
一体どんな汚れが付いているのかな。

「…あれ? 拓馬くん、その腕にのせている服…どうしたの?」
「え……っ!? あっ、こ、これはそのっ……そっそう! 
おれちょっと寝すぎてかなり汗かいちゃったから新しいのに着替えようと思って、それでっ…」
「ああ、なるほど。ふふ、確かにいっぱい寝ちゃうと汗かくことってあるものね」
「あ、あはははっ…ほんと汗すごくて、ビックリしちゃったぜっ…」

それなら下のズボンではなく、どちらかというとより汗をかきやすい上のTシャツを着替えた方がいいのでは?
という無粋な返しはせず、ボクも一緒に楽しそうに笑い、同意の言葉を述べた。
そして、


「っ、じゃ、じゃあおれちょっとお風呂場で着替えてくるなっ…!」
「うん、わかった。先に拓馬くんのお部屋にあがって、DVDのセットしておくね」
「ありがとっ兄ちゃん! 待ってて、おれすぐ行くからっ!!」
「うん」


――楽しみに、待ってるね。


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