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第三章 新しい家族
6 復活の母さん
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きょう二度目の風呂。由里さんは、ゆっくり三十分くらいって言ったけど、そんなに浸かってたら、さすがにのぼせてしまう。
バスローブを雑に羽織って、ゲストルームの前までくると、扉が少し開いていて、中からあえぎ声が聞こえてくる。
「あ、あ、あ、あ、あっ、あ……」
密やかに綾が鳴いているのだ。
なんだ、もう始まっちゃってるのか。
――「鼻っ柱の強い綾を上手にノセてM女に仕立てておくから、らぎっちは少し引っ込んでなさい。あなたがいると綾だってね」
どうやら由里さんの目論見どおりに、ことは進んでいるようだ。
部屋に入り、ベッドまで進む。
綾がバックから突かれている。突いてるのは、唯さんだ。
「あらあ、カレシきちゃったよ! どうする姫? はしたないとこ、見られちゃってるよっ!」
「ああっ、あなた、見ないでっ! こ、これにはわけがっ、ああっ」
綾がレザーの首枷から伸びる鎖に曳かれ、筋肉質な細身の体をエビ反らせながら取り繕う。
唯さんが女王さまみたく黒レザーのビスチェっていうのか? コルセットみたいなのを着て、ハーネスに装着されたディルドで、そんな綾をうしろから突き上げている。
「うーん『カレシ』だと、どうも罪悪感が薄いわね。未来の亭主だから、ここは『旦那』でいいよな。……これにはわけが、ってなに? さっきまで喜んでケツ振ってたじゃないよ。ほら、旦那に恥ずかしいとこ目撃されてるぞ! おまえ絶体絶命だぞ!」
唯さんのキャラが変わってる。
「びっくりした? 唯ちゃんって元ヤンだから、女攻める時はいつもこんな感じかな。このよく通る冷たい声で攻められたら、たいていみんな、Mっぽくノセられちゃうんだよね」
「いやだな由里先輩、元ヤンって言っても、中学時代の話ですから」と唯さん。
由里さんが僕の手を取って綾のもとへいざなう。
「さ、なんか気の利いたこと言ってあげてよ。楽しいプレイだもの」
めちゃくちゃにしてやろう、なんて意気込んでいた由里さんが、意外に慈悲深い女神顔でそう言って微笑んだ。
プレイとは言え、愛するひとがバックから犯されている姿を間近で見るのは、さすがに複雑な気持ちだ。でも、それを抑えるように湧き上がる、淫猥な興奮に目眩さえ覚える。
僕だってさっきまで由里さん相手にいい思いをしていたのだから、おあいこか。
ふと母さんのことが気になって見回したが、やはり姿はない。あの天蓋のむこうで今も見守ってくれているのだろうか。
「旦那の目の前で。さ、声上げなよ。気持ちいいんだろ! ええっ?」
小刻みな高速ピストンで腰を振りながら、唯さんが鎖を引く。
「あなた、ごめんなさい。……わあっ、あ、あ、あ、あ、ああっ!」
揺れ動く綾の手を握り、僕は話しかけた。
「そうだな。気持ちいいな。綾のよがる顔、素敵だよ。な、キスしよ」
と、僕好みの綾の唇に首を伸ばす。
「こ、こんなわたしにもやさしいのね、あなた。あたしだけの光。うぐぅっ」
僕たちの口づけを邪魔するように、唯さんの腰使いがさらに激しくなる。
激しい動きの中で離れまいと吸い合うふたつの唇。
「うっ、うぐ、ぐ、ぷはぁ、……ああ、光、でも、でも、ほんとうは、あ、あなたの方が、こんなのよりずっといいのよ。はあっ……」
「それは聞き捨てならないわね。シーマちゃん、あなたでは物足りないんだって、わたしのお気に入りなのに。わかったわ。じゃ、長さも太さも最上級! メルちゃんGTSをお見舞いしてやるわっ!」
興奮気味の唯さんがディルドをつけ替えている。さすがは元ヤンと、そのネーミングセンスに笑いつつ、新しいディルドに目を剥く。
で、でかい!
「さ、自分の手で確かめてみ?」
と綾の手を僕からふりほどき、極大ディルドにあてがう。
「はあっ! こんなのムリっ」
「ムリかどうか、やってみなくちゃ、わかんないで、しょっと!」
「はあああっ! あああっ、ダメえっ、こんなの、こんなの、壊れちゃうっ」
唯さんが腰をグラインドさせながら、ディルドを埋めていく。
苦痛に歪む綾の顔。長い首が伸び、魅惑の口元が緩む。苦痛に歪む? 違うぞ! もしかすると快感に悦ぶかもしれない! ああ。
「やああ、太いっ! あんなの、あんなのが、あたしの中に、ああっ、奥っ! 奥に激しく当たるぅ……」
寄り目になった綾のぷっくりとした唇を割るように、澄んだよだれが垂れ下がる。
「あなた! あなたっ! どうしましょ! ああ、気持ちいいっ! ああああああっ」
「光さん、いいこと? 姫の必殺マ×コ、このメルちゃんでしっかり飼い慣らしておくから、あとから余裕を持って、ご自分で突いてさしあげてね」
さすがに殺気だってるに違いない僕の様子に気遣って、モードを変え唯さんが伝えてきた。
なるほど、そういうことか。さすが唯さん。過酷な少女たちの上下関係で慣らした元ヤンらしい男前な気配りだ。
「綾ぁ、みんないいひとだな。気持ちいいか?」
「あたし、必殺なんかじゃないもん。……ひゃあっ」
「わかったから、もっと気持ちよくなれよ。オレのと違う極太チ×ポの味は、どうだ! 最高かっ?」
「ああっ、きついっ! ……うん最高! 最高、なんだけど、これオチン×ンじゃないもん。これって、浮気じゃないよね、だからあなた、許してくれるわよね。ああっ」
ピストン運動に相呼応して規則的にせり出してくる、快楽に溶けるうりざね顔。綾、かわいいオレの女。
「なんかあたしも欲情してきちゃったー」
傍らにハルが現れ、美女に似つかわしくない、ごっついペニスバンドを嵌めて陰嚢をことさらせり出させた逸物を、プリーツミニの下からぬうっと露出させた。
「ハル、やっぱすごいな」
「らぎっちぃ、あたしのペニクリ舐める? それとも愛する綾さんのお口、犯した方がいい?」
「いけないわあなた。舐めてはダメ! ペニクリなんて俗言に惑わされてはダメ! どう見たって男性器じゃない、しかも、わあ、おっきいー」
ほんの一瞬、研究者らしい一面を見せる綾に少し笑える。悲痛な顔をしつつも、綾のとろんとした視線はハルの巨根に釘づけだ。
「そんなに欲しいの? じゃ、あげるっ!」
ハルの巨根が綾の口を塞ぐ。
「なにこれ? わあっ、すごい。綾さんって。舌が八つに割れて絡みついてるみたい。はあっ」
とたんに震え上がるハルの体を、すかさず由里さんが支える。
「強欲な女だこと。旦那の目の前で、なにやってるの姫? 必殺マ×コもこんなに締めちゃって、淫らな女、いけない子」
汗だくな唯さんが、泥の中を進むように重々しく腰を動かす。それほどまでに締め上げてるのか綾?
「……ぶはあっ、こんな、こんなオチン×ン、だあいきらい!」
「だいきらいなんて、初めて言われちゃった。へこんじゃう」
「違うよハル。嫌よ嫌よも好きのうち、ってね」
唾液に濡れたハルの巨根をしごきながら、僕はキスをする。
「やん、なんかいちゃいちゃしてない? もおっ!、や! や!」
ピストンに揺れながら、見上げることができずに、綾がわめく。
「うるさい子だねえ。ハル、口塞いじゃって。こんどは喉奥まで、たっぷりとね」
唯さんが鎖を派手な音を立てて引っ張り、容赦のない冷たい声で指令を出す。
「姫って、潔癖症だこと。散々わたしたちを弄んどいて、自分だけ聖域から高見の見物って、調子よ過ぎよ。でも、こんなに乱れた姫を見るのは初めて。面白いから、とことんヤっちゃってよハルちゃん」
由里さんがハルの巨根をつかんで、綾の口にねじ込む。
「うぐぐぐぐ……」
そのままハルが容赦なく、腰を使い始めた。
「綾さん、喉奥、きつぅーい。固い歯もあたって、気持ちいいんだぁ」
唾液にテカったハルの竿がマッスルな血管を浮かせて、綾の口の端から覗いている。
「うぐぐ、うぐ、うぐ……」
さらにねじ込まれるハルの巨根。
「うわっ、入った。奥、ツルツルしてて気持ちいいよぅ。さ、このタマタマも呑み込んでね」
「うぐっ、ううん、ううん」
とうとう陰嚢までも呑み込んでしまった綾。
汗に濡れた細くてきれいな綾の首が、パンパンに膨らんでいる。
ハルの巨根に支えられる格好で宙に浮いている綾から、つつましく尖り下りたバストの先のかわいい乳首を、僕はつまんだ。
「ああっ、綾さん、こんなに突っ込んでるのに、余裕でタマタマ舐めてるっ。もう溶けちゃいそう……」
「すごい! わたし、沙夜の喉マ×コが天下一って思ってたけど、さらに上をいくわね。旦那のらぎっちが羨ましいわ」
由里さんが目を見張る。
「なんか、ダメっ! この喉、魔物! あ、イクっ。ユイユイ、キスして、ああっ、イク、いっぱい出ちゃう」
綾越しに、唯さんと熱い接吻を交わしながら、ハルが果てる。
「ぐぐぐぐぐっ、ふーん……」
綾が長い鼻息をつき、淫靡な栗の花の匂いがあたりに立ち込める。
みんな黙って、その空気を感じ合った。
「はああっ、あなたぁ、どうしましょ。……あなた以外の、あなた以外のオチン×ンを咥えて、あなた以外のザーメンだってを飲んじゃった」
放心した顔で綾が詫びる。間違いなく酔ってるな、こいつ。
「でもね、味わってはないの。喉奥震わせてイかせてあげたのよ。だあいきらいなザーメンは、じきにあたしの胃の中で消化されるんのよ。だから、許してあなた。あたしが味わうザーメンは、ただひとり、あなたのだけだもの。はああ……」
それを聞いてみんながいっせいに笑った。
「もう、ふたりしてラブラブね。見てらんない。ハルちゃん、あとからむこうのソファーでわたしと楽しまない、あなたの巨根、わたしのパイズリですぐに復活させてあげるから。いいよね唯」
「由里先輩には逆らえませんね。ははっ。久しぶりに先輩のうしろ、これで犯して差し上げましょうか?」
「やあだ、楽しみっ」
いろいろありつつ、なごやかな空気がこの場を満たしている。でも、まだ全然満たされてない僕。両方の口を塞がれて、犯されてる綾を見て、僕の漲りはマックスだ。
「綾、まだいけそう?」
「あなた、ずっとほったらかしちゃてて、ごめんなさい」
しおらしく、綾が僕の顔の前で大きく股を開く。
散々、突かれて紅く濡れた綾の秘部をひと舐めする。
「ああっ。気持ちいいわ、あなた」
男の射精のように、蜜が吹き出す。
「ああ、綾、美味しい……」と舌先を差し入れる。
唯さんが言ってたとおり、飼い慣らされた綾の中は、いつもより平穏に、僕の舌を受け入れた。
壁に沿って舌を回すと、うきうきとうれしそうに動く。
「あなた、溶けちゃう、ああ、素敵!」
「じゅるっ」
「やあだ、いやらしい音立てないでぇ」
「もう我慢できないや。僕も挿れたいな」
「もちろんよ! さあ、いつものようにきて、それから首も、締めてくださいね。さ、悪いあたしを、いっぱいお仕置きしてください」
「おおっ」
正常位で、綾の首を力いっぱい絞めながら、挿入する。
「うぐぐぐぐぐ……」
散開しつつ、チラッとこっちを見た由里さんが愉快そうな顔をして戻ってきた。
「なによう? いつもこんなことやってるの? ヘンタイだね、あんたたち」
首を絞められ、身をよじらせる綾。浮き出た腹筋がピクピクと痙攣する。
つかんだ首に力を込めて、一気に突き落とす!
「やあだ、男らしい腰使いよね。姫、気持ちいい?」
「うぐう、ぐうぅ……」
「ねえねえみんな。あんまりにもラブラブ過ぎて癪だから、邪魔しちゃおうよー」
もう、いいとこなのに。意地悪だな、由里さん。
僕が腰の動きをさらに強めると、首を絞められ苦しみつつも、綾が長い脚を腰に絡めてきた。
僕は前屈みになって、孕ませ目的のように奥を突く。
このまま、みんなの見てる前で、たっぷり流し込んでやろうか。
いつもはもっと締まってるはずの綾の中が、最奥までの行程をすんなりと許してくれている。
さあさ、もっときて! まだこの奥に、あなたの知らない扉があるのよ。だから、さあ、早くきて、それを開いて!
綾が僕の心の中にそう語りかけた。そんな気がした。
闇をかき分けるように、無心に突いた。
首絞めを解いて、ずっと羽織っぱなしだったバスローブを脱ぐと、綾が勢いよく抱きついてきた。中がぎゅっと締まり始める。
「光、離さない! 一生、あたしのものよ」
綾が大息をつく僕の背中に爪を立てる。
いつものように、ぎりぎりと。
「やん、痛そう。血が出てる。それに、それに、らぎっちの背中、こんなにも傷だらけじゃない。今の今まで全然気づかなかった……」
女神顔の由里さんが、涙目で僕を見る。
「気にしないで、僕は平気ですから」
僕の言葉に体を反らす由里さん。
「平気じゃないわよ! あんたつくづくいいひとよね。沙夜が惚れちゃったのも納得よ。惚れ症のわたしが言うのもなんだけど、わたしだって惚れちゃうわ」
と、立ち上がり、僕の背中にできあがった、無数のかさぶたをやさしく撫でる。
「綾ぁ、あなたには悪いけど、やっぱこの仲、認められないわ。ナイーブなあんたが壊れちゃうのは勝手だけど、らぎっちまで道連れにしないでよね!」
由里さんが、綾と繋がったままの僕の体を、母のように抱きしめる。
「わたしと、駆け落ちしましょ。らぎっちのこと一生食べさせてあげるから。なんなら、気立てのいい女の子をあてがってあげてもいいよ」
「先輩、それってムリアリっていうか、本人の意向ってのも、ありますしぃ」
唯さんがすかさず、なだめに入る。
「なんでよー、さっきらぎっち、綾に内緒で、おっぱい吸ってくれたんだよ。ママーって言ってくれたもんね」
と、バストを持ち上げて、色白ふんわりおっぱいの先を僕の口元に向ける。
それを聞いた綾が、僕の下で絶叫する。
「由里ちゃん嫌い! みんなだあいきらい! やあああああああ……」
それと同時に綾の中が、今までになく強靱な力で締まった。
……?
「ああっ、つー、痛いっ! 痛たたたっ!」
経験したことのない頑強な締め上げ。ペニスが潰されそうだ。
痛てえ! しかもいつまで経っても緩まない。ああ、気が遠くなりそうだ。
「えっ、なに? よくわかんない! 光っ、あなた、ああああ、どうしよー」
締めてる綾自身も慌ててる。
「あ、姫、落ち着こ。いったん落ち着こ……」
すぐになにかを悟ったのか、唯さんも慌て始めた。
「え、なに? どうしたの?」
そんな空気に、わけがわからずうろたえる由里さんに、唯さんが耳打ちをする。
「ええっ? なんですって! 膣痙攣?」
「声大きいっすよ、先輩。アメリカにいるときに一度だけ間近で。このまま放置したら、最悪、ペニスが壊死ってことも……」
「やああああ、やだ、やだ、やだ、光、死なないで!」
「死なないわよ姫。落ち着いてよね。昔の花嫁道具に『ながもち』って横長の箪笥みたいなのがあってね。ことが起こると、そこに新郎新婦を収めて、家族みんなで夜中に医者まで運んだんだって。うちのばあさんが言ってた」
この危機的状況に、そんな昭和の豆知識を披露する由里さん。
「先輩、なんすか。こんな時に」と苛立つ唯さんに、
「だからー、昔からよくあることだって、安心させようとしてるんじゃないよー」
ハルがスマホでなにか調べながら近づいてくる。
「ドンマイ、らぎっち。……あ、やっぱり。ユイユイ、アナルよ! アナル刺激すればもしかすると……」
そんな慌ただしい中、部屋の隅から、前みたく、椅子を引きずる音が。
しかも前よりも三倍くらいの速さで近づいてくる。
母さんなのか? 早く、早く助けてっ!
そして天蓋が勢いよく開く。
「みんな、慌てないの! ここはわたしがなんとかしてみるから」
明瞭快活な、あの声!
深紅のランジェリーに身を包んだ母さんが現れた。
ミスなんとかの優勝者みたいな、輝きと、威厳。キレっキレの半透けブラにパンティーに同色のガーターベルトか?
「母さーん」
「もう光くんったら、こんな時でも観察モードなの?」
いつものように母さんが笑う。なんという安心感!
「さあ、みんな、ふたりをひっくり返して、さ、早く!」
母さんの股間にはハーネスに装着された、見慣れた形のディルドが。
「そうよ。あれよ。でも違うの。唯に頼んでカスタマイズしてもらったんだから。スポーツシーンでも活躍してる、高品質エラストマー樹脂でね。しなりも完璧なのよ」
「ごめんなさいね、沙夜ねえ。でも、そんな大きいのムリだわ。ぐずっ」
ひっくり返されて、僕の上になった綾が殊勝に謝りながらも、さりげなくダメ出しをする。
「なにさ姫。ずっと少女返りしてダダ捏ねてたくせに、沙夜には大人顔なんだね」
由里さんがいたく感心する。
綾の中は、未だ締まったままビクとも動かない。
「大丈夫よ、綾。わたしの腕を信じなさい。ずっと昔から、楽しんできたんじゃない。綾のアナルを攻めていいのは、このわたしだけだもの」
と、綾の耳たぶを舐めながら、腋の下に手を差し込んでくすぐる母さん。
「ひゃっ、沙夜ねえ、ダメよ、光だって、見てるのにぃ」
「ふふっ、光くんが、こんなことくらいでびっくりするもんですか。すべてを知った上でも、あなたが思うとおりの理想の旦那さまになれるひとよ。だから、今は素直に、自分をさらけ出して、さ、楽しみましょ」
母さんがそう言ってるあいだも、唯さんがローションをディルドや綾のおしりに塗りつけている。なんという連係プレイ。
母さんが綾のおしりに手を置いて、指を動かし始めた。
「ねえさま、ダメ。やん、エロ過ぎる指が、ああっ」
ねえさま、か。ツボにきた! 竿が強制的に充血する。あっ、痛てえ。
「このまま、指だけで、どう? 緩んできた?」
「や、全然みたいです」
挿入部分を観察しながら、唯さんが答える。
「もう、わざとかしら綾。そんなに欲しい? それとも大っきいの怖いのに、わたしのために頑張っちゃうのかな? かわいい子。安心して、ゆっくり挿れるからね」
鼻息を少し荒くした母さんが。僕たちをまたいで、ハル由来の巨根ディルドを綾のおしりにあてがう。
綾がすうっと、目を細める。
「ああっ、ねえさま、入ってくる。ねえさまがゆっくり入ってくる」
母さんの挿入が薄い肉を隔てて、僕にまでしっかり伝わってくる。ああ、動いてるのが、わかる。
「久しぶりよね。綾、ちゃんと入ってるわ。お利口さんだわ。さ、ここから一気にいくわよ!」
母さんが綾の体軸に沿って、体全体を前にスライドさせ始める。
体の重みを効果的に突く力に変えているのだ。
「……はああっ、ねえさま。深いっ!」
衝撃が僕のペニスにまで、しっかりと伝わってきた。痛っ!
「当たってる。すごい! 子宮に響いてる。これ、これよ! ずっとこれがっ、欲しかったのよ!」
綾の体がさっと汗ばむ。美しい首筋に鎖骨の出っ張り、つやつやとした肩、すべてが磨き上げられたブロンズ像のように輝き始めた。
「光くんと初めて会ったあたりから、綾って全然相手してくれなくなったじゃない? 寂しかったんだよ、わたし」
「だってねえさま、光のことばっかりお話するんだもの。あたしとしてる時だってお構いなしに。失礼じゃない。それに、妬けちゃって……」
「それで光くんといい仲になれたんじゃないの? わたしだって妬けちゃったわよ」
「ああっ、また響くぅ! ねえさま素敵っ」
鳴り物入りで登場しておきながら、みんなの期待の斜め上をいって、犬も食わない仲直り夫婦のセックスみたいなのを見せつけてくれる母さんは、やっぱりかわいいし、その母さんを『ねえさま』と慕う綾も、最高にかわいいな。
「ああ、いい! ねえさまもっと突いて! もっと、もっと、もっと、ああっ!」
異形の者のように、執拗に腰をくねくねと動かす母さんを不思議に眺めていたら、はっと気がついた。
綾の扉は、そこだったか!
アナル越しに子宮に響く、甘美な衝撃、ってやつか。
この状況から無事に生還できたら、こんどはオレが、綾のアナルを思い切り突いてやるからな。楽しみにしてろよ。
だからそろそろ解放しておくれ。
挿入部分を凝視していた唯さんが、声を上げた。
「動いた! 動きましたっ、先輩」
山じゃないんだから、と心の中で突っ込みつつ、僕も少し動いてみる。
あ、ほんとだ! 綾がほぐれてきた。そうか。綾かわいい、なんて余裕で僕が思ってた時点で、すでにほぐれ始めていたのかもしれないな。
そしてそのあとは、あっという間だった。
綾の中で、統率のとれた蛇たちが、幾何学的でいてシャープかつクールな蠕動運動を繰り広げ始めた。一糸乱れず前を進む蛇たちが、号令のもとにさっと寄り集まって絡み合う、みたいな。
感情に忠実に小悪魔的な動きをする母さんの中とも、母親のような抱擁感あふれる由里さんの中とも違う、すがすがしく、まっすぐな情熱を感じる綾の中。
とは言え、飼い慣らされたというわけではないようにも思う。
あなた、浮気なんてしようものなら、わかってるわね。その時は、子飼いの蛇たちに食わせてやるんだから、あなたのオチン×ンが壊死するまで……。
でもまあ、どんな男も、多かれ少なかれ危険な香りってやつが、好きなのだ。
「あなたってば、なに、ニヤニヤしてるの? さあ、ねえさまと一緒に、動いてちょうだい。それとも、まだきつい? まさかユルユルになってるとか?」
「いや、ちょうどいいっす!」
僕が復活して力強く動き始めると、綾も母さんも、きゃっきゃと喜び重なり合って、僕はふたり分の女性の重みを一心に受け止めることになった。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
ハルと唯さんが由里さんを交えて、ゲストルームで大声出してばかみたいなことをやっている。
母さんと綾は、夜食代わりにローカロリーでヘルシーなスイーツを作るのだと、仲よくキッチンに消えた。
晩餐まで焚いていた暖炉の熱がまだほんの少し残る、だだっ広いリビングに座って、僕はスマホの待ち受け画面設定をしている。長年表示してきたハルのペニスを囲んだ、これまたばかみたいな写真を、きょう撮った新しいものに差し替えるのだ。
みんなの集合写真。僕が写っているハル撮影のものじゃなく、僕が撮ったものを採用した。
ほんとうなら、ここに飾られてある灰原家の面々と一緒に、額装して飾ってやりたいところだが、なにしろ世を忍ぶ秘密の集まりだから、そうもいかない。
左から、由里さん、そして母さん、真ん中に綾、それから唯さんとハル。
みんなあけすけな格好のまま、笑ってる。
愛しの、妖女たち。
たぶんこの写真は、このあとずっと、全く新しい端末の規格が現れるまでは、こうやってここに表示されるのだろう。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
「らぎっちさあ、もうちょっとしっかりしようよ。昼間だって、ビルボードのこと忘れちゃってたでしょ」
由里さんが思い出してお小言を言う。
「そうそう、わたしがバラエティーにあなたの会社のお洋服をわざわざ着て出演してあげたのに、全然気づかなかったものね」と、母さん。
「なあんか抜けてるとこ、あるよね。女性相手のお仕事なのに、ロマンチックがわかってないし……」と、出ていき際に、乗っかってくる綾。
「でもね、けっこう冷静に物事を考えて動けるとこ、ありますよ光さんって。きょうだって、全然焦らなかったから、助かりましたもの」
と、唯さんがいいことを言ってくれる。
「うん、みんなして盛り上げていけばいいんじゃない?」とハル。
「ここのみんなして、あげまんになってあげるわよ。あなたのおばあさまみたいにね。そうよね、由里ちゃん。惚れちゃったんだものね」
と、母さんが屈託なく笑う。
そこに綾が、カットフルーツを満載した大皿を持って颯爽と戻ってきた。
「さあさ、お待たせ! ハルちゃん、外のテラス脇の雪の中に豆乳プリンができてるはずだから、取ってきて。楽しいスイーツタイムの始まりよ」
「わああっ!」
僕の愛しの妖女たちが、いっせいに子供みたいな歓声を上げた。
バスローブを雑に羽織って、ゲストルームの前までくると、扉が少し開いていて、中からあえぎ声が聞こえてくる。
「あ、あ、あ、あ、あっ、あ……」
密やかに綾が鳴いているのだ。
なんだ、もう始まっちゃってるのか。
――「鼻っ柱の強い綾を上手にノセてM女に仕立てておくから、らぎっちは少し引っ込んでなさい。あなたがいると綾だってね」
どうやら由里さんの目論見どおりに、ことは進んでいるようだ。
部屋に入り、ベッドまで進む。
綾がバックから突かれている。突いてるのは、唯さんだ。
「あらあ、カレシきちゃったよ! どうする姫? はしたないとこ、見られちゃってるよっ!」
「ああっ、あなた、見ないでっ! こ、これにはわけがっ、ああっ」
綾がレザーの首枷から伸びる鎖に曳かれ、筋肉質な細身の体をエビ反らせながら取り繕う。
唯さんが女王さまみたく黒レザーのビスチェっていうのか? コルセットみたいなのを着て、ハーネスに装着されたディルドで、そんな綾をうしろから突き上げている。
「うーん『カレシ』だと、どうも罪悪感が薄いわね。未来の亭主だから、ここは『旦那』でいいよな。……これにはわけが、ってなに? さっきまで喜んでケツ振ってたじゃないよ。ほら、旦那に恥ずかしいとこ目撃されてるぞ! おまえ絶体絶命だぞ!」
唯さんのキャラが変わってる。
「びっくりした? 唯ちゃんって元ヤンだから、女攻める時はいつもこんな感じかな。このよく通る冷たい声で攻められたら、たいていみんな、Mっぽくノセられちゃうんだよね」
「いやだな由里先輩、元ヤンって言っても、中学時代の話ですから」と唯さん。
由里さんが僕の手を取って綾のもとへいざなう。
「さ、なんか気の利いたこと言ってあげてよ。楽しいプレイだもの」
めちゃくちゃにしてやろう、なんて意気込んでいた由里さんが、意外に慈悲深い女神顔でそう言って微笑んだ。
プレイとは言え、愛するひとがバックから犯されている姿を間近で見るのは、さすがに複雑な気持ちだ。でも、それを抑えるように湧き上がる、淫猥な興奮に目眩さえ覚える。
僕だってさっきまで由里さん相手にいい思いをしていたのだから、おあいこか。
ふと母さんのことが気になって見回したが、やはり姿はない。あの天蓋のむこうで今も見守ってくれているのだろうか。
「旦那の目の前で。さ、声上げなよ。気持ちいいんだろ! ええっ?」
小刻みな高速ピストンで腰を振りながら、唯さんが鎖を引く。
「あなた、ごめんなさい。……わあっ、あ、あ、あ、あ、ああっ!」
揺れ動く綾の手を握り、僕は話しかけた。
「そうだな。気持ちいいな。綾のよがる顔、素敵だよ。な、キスしよ」
と、僕好みの綾の唇に首を伸ばす。
「こ、こんなわたしにもやさしいのね、あなた。あたしだけの光。うぐぅっ」
僕たちの口づけを邪魔するように、唯さんの腰使いがさらに激しくなる。
激しい動きの中で離れまいと吸い合うふたつの唇。
「うっ、うぐ、ぐ、ぷはぁ、……ああ、光、でも、でも、ほんとうは、あ、あなたの方が、こんなのよりずっといいのよ。はあっ……」
「それは聞き捨てならないわね。シーマちゃん、あなたでは物足りないんだって、わたしのお気に入りなのに。わかったわ。じゃ、長さも太さも最上級! メルちゃんGTSをお見舞いしてやるわっ!」
興奮気味の唯さんがディルドをつけ替えている。さすがは元ヤンと、そのネーミングセンスに笑いつつ、新しいディルドに目を剥く。
で、でかい!
「さ、自分の手で確かめてみ?」
と綾の手を僕からふりほどき、極大ディルドにあてがう。
「はあっ! こんなのムリっ」
「ムリかどうか、やってみなくちゃ、わかんないで、しょっと!」
「はあああっ! あああっ、ダメえっ、こんなの、こんなの、壊れちゃうっ」
唯さんが腰をグラインドさせながら、ディルドを埋めていく。
苦痛に歪む綾の顔。長い首が伸び、魅惑の口元が緩む。苦痛に歪む? 違うぞ! もしかすると快感に悦ぶかもしれない! ああ。
「やああ、太いっ! あんなの、あんなのが、あたしの中に、ああっ、奥っ! 奥に激しく当たるぅ……」
寄り目になった綾のぷっくりとした唇を割るように、澄んだよだれが垂れ下がる。
「あなた! あなたっ! どうしましょ! ああ、気持ちいいっ! ああああああっ」
「光さん、いいこと? 姫の必殺マ×コ、このメルちゃんでしっかり飼い慣らしておくから、あとから余裕を持って、ご自分で突いてさしあげてね」
さすがに殺気だってるに違いない僕の様子に気遣って、モードを変え唯さんが伝えてきた。
なるほど、そういうことか。さすが唯さん。過酷な少女たちの上下関係で慣らした元ヤンらしい男前な気配りだ。
「綾ぁ、みんないいひとだな。気持ちいいか?」
「あたし、必殺なんかじゃないもん。……ひゃあっ」
「わかったから、もっと気持ちよくなれよ。オレのと違う極太チ×ポの味は、どうだ! 最高かっ?」
「ああっ、きついっ! ……うん最高! 最高、なんだけど、これオチン×ンじゃないもん。これって、浮気じゃないよね、だからあなた、許してくれるわよね。ああっ」
ピストン運動に相呼応して規則的にせり出してくる、快楽に溶けるうりざね顔。綾、かわいいオレの女。
「なんかあたしも欲情してきちゃったー」
傍らにハルが現れ、美女に似つかわしくない、ごっついペニスバンドを嵌めて陰嚢をことさらせり出させた逸物を、プリーツミニの下からぬうっと露出させた。
「ハル、やっぱすごいな」
「らぎっちぃ、あたしのペニクリ舐める? それとも愛する綾さんのお口、犯した方がいい?」
「いけないわあなた。舐めてはダメ! ペニクリなんて俗言に惑わされてはダメ! どう見たって男性器じゃない、しかも、わあ、おっきいー」
ほんの一瞬、研究者らしい一面を見せる綾に少し笑える。悲痛な顔をしつつも、綾のとろんとした視線はハルの巨根に釘づけだ。
「そんなに欲しいの? じゃ、あげるっ!」
ハルの巨根が綾の口を塞ぐ。
「なにこれ? わあっ、すごい。綾さんって。舌が八つに割れて絡みついてるみたい。はあっ」
とたんに震え上がるハルの体を、すかさず由里さんが支える。
「強欲な女だこと。旦那の目の前で、なにやってるの姫? 必殺マ×コもこんなに締めちゃって、淫らな女、いけない子」
汗だくな唯さんが、泥の中を進むように重々しく腰を動かす。それほどまでに締め上げてるのか綾?
「……ぶはあっ、こんな、こんなオチン×ン、だあいきらい!」
「だいきらいなんて、初めて言われちゃった。へこんじゃう」
「違うよハル。嫌よ嫌よも好きのうち、ってね」
唾液に濡れたハルの巨根をしごきながら、僕はキスをする。
「やん、なんかいちゃいちゃしてない? もおっ!、や! や!」
ピストンに揺れながら、見上げることができずに、綾がわめく。
「うるさい子だねえ。ハル、口塞いじゃって。こんどは喉奥まで、たっぷりとね」
唯さんが鎖を派手な音を立てて引っ張り、容赦のない冷たい声で指令を出す。
「姫って、潔癖症だこと。散々わたしたちを弄んどいて、自分だけ聖域から高見の見物って、調子よ過ぎよ。でも、こんなに乱れた姫を見るのは初めて。面白いから、とことんヤっちゃってよハルちゃん」
由里さんがハルの巨根をつかんで、綾の口にねじ込む。
「うぐぐぐぐ……」
そのままハルが容赦なく、腰を使い始めた。
「綾さん、喉奥、きつぅーい。固い歯もあたって、気持ちいいんだぁ」
唾液にテカったハルの竿がマッスルな血管を浮かせて、綾の口の端から覗いている。
「うぐぐ、うぐ、うぐ……」
さらにねじ込まれるハルの巨根。
「うわっ、入った。奥、ツルツルしてて気持ちいいよぅ。さ、このタマタマも呑み込んでね」
「うぐっ、ううん、ううん」
とうとう陰嚢までも呑み込んでしまった綾。
汗に濡れた細くてきれいな綾の首が、パンパンに膨らんでいる。
ハルの巨根に支えられる格好で宙に浮いている綾から、つつましく尖り下りたバストの先のかわいい乳首を、僕はつまんだ。
「ああっ、綾さん、こんなに突っ込んでるのに、余裕でタマタマ舐めてるっ。もう溶けちゃいそう……」
「すごい! わたし、沙夜の喉マ×コが天下一って思ってたけど、さらに上をいくわね。旦那のらぎっちが羨ましいわ」
由里さんが目を見張る。
「なんか、ダメっ! この喉、魔物! あ、イクっ。ユイユイ、キスして、ああっ、イク、いっぱい出ちゃう」
綾越しに、唯さんと熱い接吻を交わしながら、ハルが果てる。
「ぐぐぐぐぐっ、ふーん……」
綾が長い鼻息をつき、淫靡な栗の花の匂いがあたりに立ち込める。
みんな黙って、その空気を感じ合った。
「はああっ、あなたぁ、どうしましょ。……あなた以外の、あなた以外のオチン×ンを咥えて、あなた以外のザーメンだってを飲んじゃった」
放心した顔で綾が詫びる。間違いなく酔ってるな、こいつ。
「でもね、味わってはないの。喉奥震わせてイかせてあげたのよ。だあいきらいなザーメンは、じきにあたしの胃の中で消化されるんのよ。だから、許してあなた。あたしが味わうザーメンは、ただひとり、あなたのだけだもの。はああ……」
それを聞いてみんながいっせいに笑った。
「もう、ふたりしてラブラブね。見てらんない。ハルちゃん、あとからむこうのソファーでわたしと楽しまない、あなたの巨根、わたしのパイズリですぐに復活させてあげるから。いいよね唯」
「由里先輩には逆らえませんね。ははっ。久しぶりに先輩のうしろ、これで犯して差し上げましょうか?」
「やあだ、楽しみっ」
いろいろありつつ、なごやかな空気がこの場を満たしている。でも、まだ全然満たされてない僕。両方の口を塞がれて、犯されてる綾を見て、僕の漲りはマックスだ。
「綾、まだいけそう?」
「あなた、ずっとほったらかしちゃてて、ごめんなさい」
しおらしく、綾が僕の顔の前で大きく股を開く。
散々、突かれて紅く濡れた綾の秘部をひと舐めする。
「ああっ。気持ちいいわ、あなた」
男の射精のように、蜜が吹き出す。
「ああ、綾、美味しい……」と舌先を差し入れる。
唯さんが言ってたとおり、飼い慣らされた綾の中は、いつもより平穏に、僕の舌を受け入れた。
壁に沿って舌を回すと、うきうきとうれしそうに動く。
「あなた、溶けちゃう、ああ、素敵!」
「じゅるっ」
「やあだ、いやらしい音立てないでぇ」
「もう我慢できないや。僕も挿れたいな」
「もちろんよ! さあ、いつものようにきて、それから首も、締めてくださいね。さ、悪いあたしを、いっぱいお仕置きしてください」
「おおっ」
正常位で、綾の首を力いっぱい絞めながら、挿入する。
「うぐぐぐぐぐ……」
散開しつつ、チラッとこっちを見た由里さんが愉快そうな顔をして戻ってきた。
「なによう? いつもこんなことやってるの? ヘンタイだね、あんたたち」
首を絞められ、身をよじらせる綾。浮き出た腹筋がピクピクと痙攣する。
つかんだ首に力を込めて、一気に突き落とす!
「やあだ、男らしい腰使いよね。姫、気持ちいい?」
「うぐう、ぐうぅ……」
「ねえねえみんな。あんまりにもラブラブ過ぎて癪だから、邪魔しちゃおうよー」
もう、いいとこなのに。意地悪だな、由里さん。
僕が腰の動きをさらに強めると、首を絞められ苦しみつつも、綾が長い脚を腰に絡めてきた。
僕は前屈みになって、孕ませ目的のように奥を突く。
このまま、みんなの見てる前で、たっぷり流し込んでやろうか。
いつもはもっと締まってるはずの綾の中が、最奥までの行程をすんなりと許してくれている。
さあさ、もっときて! まだこの奥に、あなたの知らない扉があるのよ。だから、さあ、早くきて、それを開いて!
綾が僕の心の中にそう語りかけた。そんな気がした。
闇をかき分けるように、無心に突いた。
首絞めを解いて、ずっと羽織っぱなしだったバスローブを脱ぐと、綾が勢いよく抱きついてきた。中がぎゅっと締まり始める。
「光、離さない! 一生、あたしのものよ」
綾が大息をつく僕の背中に爪を立てる。
いつものように、ぎりぎりと。
「やん、痛そう。血が出てる。それに、それに、らぎっちの背中、こんなにも傷だらけじゃない。今の今まで全然気づかなかった……」
女神顔の由里さんが、涙目で僕を見る。
「気にしないで、僕は平気ですから」
僕の言葉に体を反らす由里さん。
「平気じゃないわよ! あんたつくづくいいひとよね。沙夜が惚れちゃったのも納得よ。惚れ症のわたしが言うのもなんだけど、わたしだって惚れちゃうわ」
と、立ち上がり、僕の背中にできあがった、無数のかさぶたをやさしく撫でる。
「綾ぁ、あなたには悪いけど、やっぱこの仲、認められないわ。ナイーブなあんたが壊れちゃうのは勝手だけど、らぎっちまで道連れにしないでよね!」
由里さんが、綾と繋がったままの僕の体を、母のように抱きしめる。
「わたしと、駆け落ちしましょ。らぎっちのこと一生食べさせてあげるから。なんなら、気立てのいい女の子をあてがってあげてもいいよ」
「先輩、それってムリアリっていうか、本人の意向ってのも、ありますしぃ」
唯さんがすかさず、なだめに入る。
「なんでよー、さっきらぎっち、綾に内緒で、おっぱい吸ってくれたんだよ。ママーって言ってくれたもんね」
と、バストを持ち上げて、色白ふんわりおっぱいの先を僕の口元に向ける。
それを聞いた綾が、僕の下で絶叫する。
「由里ちゃん嫌い! みんなだあいきらい! やあああああああ……」
それと同時に綾の中が、今までになく強靱な力で締まった。
……?
「ああっ、つー、痛いっ! 痛たたたっ!」
経験したことのない頑強な締め上げ。ペニスが潰されそうだ。
痛てえ! しかもいつまで経っても緩まない。ああ、気が遠くなりそうだ。
「えっ、なに? よくわかんない! 光っ、あなた、ああああ、どうしよー」
締めてる綾自身も慌ててる。
「あ、姫、落ち着こ。いったん落ち着こ……」
すぐになにかを悟ったのか、唯さんも慌て始めた。
「え、なに? どうしたの?」
そんな空気に、わけがわからずうろたえる由里さんに、唯さんが耳打ちをする。
「ええっ? なんですって! 膣痙攣?」
「声大きいっすよ、先輩。アメリカにいるときに一度だけ間近で。このまま放置したら、最悪、ペニスが壊死ってことも……」
「やああああ、やだ、やだ、やだ、光、死なないで!」
「死なないわよ姫。落ち着いてよね。昔の花嫁道具に『ながもち』って横長の箪笥みたいなのがあってね。ことが起こると、そこに新郎新婦を収めて、家族みんなで夜中に医者まで運んだんだって。うちのばあさんが言ってた」
この危機的状況に、そんな昭和の豆知識を披露する由里さん。
「先輩、なんすか。こんな時に」と苛立つ唯さんに、
「だからー、昔からよくあることだって、安心させようとしてるんじゃないよー」
ハルがスマホでなにか調べながら近づいてくる。
「ドンマイ、らぎっち。……あ、やっぱり。ユイユイ、アナルよ! アナル刺激すればもしかすると……」
そんな慌ただしい中、部屋の隅から、前みたく、椅子を引きずる音が。
しかも前よりも三倍くらいの速さで近づいてくる。
母さんなのか? 早く、早く助けてっ!
そして天蓋が勢いよく開く。
「みんな、慌てないの! ここはわたしがなんとかしてみるから」
明瞭快活な、あの声!
深紅のランジェリーに身を包んだ母さんが現れた。
ミスなんとかの優勝者みたいな、輝きと、威厳。キレっキレの半透けブラにパンティーに同色のガーターベルトか?
「母さーん」
「もう光くんったら、こんな時でも観察モードなの?」
いつものように母さんが笑う。なんという安心感!
「さあ、みんな、ふたりをひっくり返して、さ、早く!」
母さんの股間にはハーネスに装着された、見慣れた形のディルドが。
「そうよ。あれよ。でも違うの。唯に頼んでカスタマイズしてもらったんだから。スポーツシーンでも活躍してる、高品質エラストマー樹脂でね。しなりも完璧なのよ」
「ごめんなさいね、沙夜ねえ。でも、そんな大きいのムリだわ。ぐずっ」
ひっくり返されて、僕の上になった綾が殊勝に謝りながらも、さりげなくダメ出しをする。
「なにさ姫。ずっと少女返りしてダダ捏ねてたくせに、沙夜には大人顔なんだね」
由里さんがいたく感心する。
綾の中は、未だ締まったままビクとも動かない。
「大丈夫よ、綾。わたしの腕を信じなさい。ずっと昔から、楽しんできたんじゃない。綾のアナルを攻めていいのは、このわたしだけだもの」
と、綾の耳たぶを舐めながら、腋の下に手を差し込んでくすぐる母さん。
「ひゃっ、沙夜ねえ、ダメよ、光だって、見てるのにぃ」
「ふふっ、光くんが、こんなことくらいでびっくりするもんですか。すべてを知った上でも、あなたが思うとおりの理想の旦那さまになれるひとよ。だから、今は素直に、自分をさらけ出して、さ、楽しみましょ」
母さんがそう言ってるあいだも、唯さんがローションをディルドや綾のおしりに塗りつけている。なんという連係プレイ。
母さんが綾のおしりに手を置いて、指を動かし始めた。
「ねえさま、ダメ。やん、エロ過ぎる指が、ああっ」
ねえさま、か。ツボにきた! 竿が強制的に充血する。あっ、痛てえ。
「このまま、指だけで、どう? 緩んできた?」
「や、全然みたいです」
挿入部分を観察しながら、唯さんが答える。
「もう、わざとかしら綾。そんなに欲しい? それとも大っきいの怖いのに、わたしのために頑張っちゃうのかな? かわいい子。安心して、ゆっくり挿れるからね」
鼻息を少し荒くした母さんが。僕たちをまたいで、ハル由来の巨根ディルドを綾のおしりにあてがう。
綾がすうっと、目を細める。
「ああっ、ねえさま、入ってくる。ねえさまがゆっくり入ってくる」
母さんの挿入が薄い肉を隔てて、僕にまでしっかり伝わってくる。ああ、動いてるのが、わかる。
「久しぶりよね。綾、ちゃんと入ってるわ。お利口さんだわ。さ、ここから一気にいくわよ!」
母さんが綾の体軸に沿って、体全体を前にスライドさせ始める。
体の重みを効果的に突く力に変えているのだ。
「……はああっ、ねえさま。深いっ!」
衝撃が僕のペニスにまで、しっかりと伝わってきた。痛っ!
「当たってる。すごい! 子宮に響いてる。これ、これよ! ずっとこれがっ、欲しかったのよ!」
綾の体がさっと汗ばむ。美しい首筋に鎖骨の出っ張り、つやつやとした肩、すべてが磨き上げられたブロンズ像のように輝き始めた。
「光くんと初めて会ったあたりから、綾って全然相手してくれなくなったじゃない? 寂しかったんだよ、わたし」
「だってねえさま、光のことばっかりお話するんだもの。あたしとしてる時だってお構いなしに。失礼じゃない。それに、妬けちゃって……」
「それで光くんといい仲になれたんじゃないの? わたしだって妬けちゃったわよ」
「ああっ、また響くぅ! ねえさま素敵っ」
鳴り物入りで登場しておきながら、みんなの期待の斜め上をいって、犬も食わない仲直り夫婦のセックスみたいなのを見せつけてくれる母さんは、やっぱりかわいいし、その母さんを『ねえさま』と慕う綾も、最高にかわいいな。
「ああ、いい! ねえさまもっと突いて! もっと、もっと、もっと、ああっ!」
異形の者のように、執拗に腰をくねくねと動かす母さんを不思議に眺めていたら、はっと気がついた。
綾の扉は、そこだったか!
アナル越しに子宮に響く、甘美な衝撃、ってやつか。
この状況から無事に生還できたら、こんどはオレが、綾のアナルを思い切り突いてやるからな。楽しみにしてろよ。
だからそろそろ解放しておくれ。
挿入部分を凝視していた唯さんが、声を上げた。
「動いた! 動きましたっ、先輩」
山じゃないんだから、と心の中で突っ込みつつ、僕も少し動いてみる。
あ、ほんとだ! 綾がほぐれてきた。そうか。綾かわいい、なんて余裕で僕が思ってた時点で、すでにほぐれ始めていたのかもしれないな。
そしてそのあとは、あっという間だった。
綾の中で、統率のとれた蛇たちが、幾何学的でいてシャープかつクールな蠕動運動を繰り広げ始めた。一糸乱れず前を進む蛇たちが、号令のもとにさっと寄り集まって絡み合う、みたいな。
感情に忠実に小悪魔的な動きをする母さんの中とも、母親のような抱擁感あふれる由里さんの中とも違う、すがすがしく、まっすぐな情熱を感じる綾の中。
とは言え、飼い慣らされたというわけではないようにも思う。
あなた、浮気なんてしようものなら、わかってるわね。その時は、子飼いの蛇たちに食わせてやるんだから、あなたのオチン×ンが壊死するまで……。
でもまあ、どんな男も、多かれ少なかれ危険な香りってやつが、好きなのだ。
「あなたってば、なに、ニヤニヤしてるの? さあ、ねえさまと一緒に、動いてちょうだい。それとも、まだきつい? まさかユルユルになってるとか?」
「いや、ちょうどいいっす!」
僕が復活して力強く動き始めると、綾も母さんも、きゃっきゃと喜び重なり合って、僕はふたり分の女性の重みを一心に受け止めることになった。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
ハルと唯さんが由里さんを交えて、ゲストルームで大声出してばかみたいなことをやっている。
母さんと綾は、夜食代わりにローカロリーでヘルシーなスイーツを作るのだと、仲よくキッチンに消えた。
晩餐まで焚いていた暖炉の熱がまだほんの少し残る、だだっ広いリビングに座って、僕はスマホの待ち受け画面設定をしている。長年表示してきたハルのペニスを囲んだ、これまたばかみたいな写真を、きょう撮った新しいものに差し替えるのだ。
みんなの集合写真。僕が写っているハル撮影のものじゃなく、僕が撮ったものを採用した。
ほんとうなら、ここに飾られてある灰原家の面々と一緒に、額装して飾ってやりたいところだが、なにしろ世を忍ぶ秘密の集まりだから、そうもいかない。
左から、由里さん、そして母さん、真ん中に綾、それから唯さんとハル。
みんなあけすけな格好のまま、笑ってる。
愛しの、妖女たち。
たぶんこの写真は、このあとずっと、全く新しい端末の規格が現れるまでは、こうやってここに表示されるのだろう。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
「らぎっちさあ、もうちょっとしっかりしようよ。昼間だって、ビルボードのこと忘れちゃってたでしょ」
由里さんが思い出してお小言を言う。
「そうそう、わたしがバラエティーにあなたの会社のお洋服をわざわざ着て出演してあげたのに、全然気づかなかったものね」と、母さん。
「なあんか抜けてるとこ、あるよね。女性相手のお仕事なのに、ロマンチックがわかってないし……」と、出ていき際に、乗っかってくる綾。
「でもね、けっこう冷静に物事を考えて動けるとこ、ありますよ光さんって。きょうだって、全然焦らなかったから、助かりましたもの」
と、唯さんがいいことを言ってくれる。
「うん、みんなして盛り上げていけばいいんじゃない?」とハル。
「ここのみんなして、あげまんになってあげるわよ。あなたのおばあさまみたいにね。そうよね、由里ちゃん。惚れちゃったんだものね」
と、母さんが屈託なく笑う。
そこに綾が、カットフルーツを満載した大皿を持って颯爽と戻ってきた。
「さあさ、お待たせ! ハルちゃん、外のテラス脇の雪の中に豆乳プリンができてるはずだから、取ってきて。楽しいスイーツタイムの始まりよ」
「わああっ!」
僕の愛しの妖女たちが、いっせいに子供みたいな歓声を上げた。
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