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第一話 雨空
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今日僕は神奈玉高校に入学する。待ちわびていた高校入学、学校への足取りも自然と軽くなる…はずだったが今日はあいにくの雨空だ。空が好きな俺には少しばかり残念な天気だ。よりによって入学式の日に。
何だよ天またしょげてるのか?親友の宇宙が言う。
空には空の顔があってその日によってしてほしい顔が違うんだよ。
はいはい。
そんな軽い会話を交わす。昔からこいつは兄みたいだ。名前も僕と同じ「そら」なのに漢字にするとスケールが違うし…
まぁいい、僕が楽しみにしているのは部活動だ。今の天気はどうでも良い。中学では部活が作れなかったが高校では絶対に作ってやる。おっと、考える方に力をいれてしまって話す方がおごそかになってしまった。僕はなんと言うかとても要領が悪い。
いやーしかし、小さい高校だな。ボーっとしていた僕に宇宙がいう。
そうだな。
生徒も200人ぐらいしかいないらしいぜ。
へー。
お、クラス一緒じゃん。
良かったぁー。あまり友達のいない僕は本気で安堵の声をあげた。
つーわけでクラスでもよろしくな。
おう。
クラスに入ると皆が緊張した様子で席についている。僕も黙って椅子に座る。でも一人だけ色んな人に声を変えてるやつがいる。宇宙だ。いわば俺は陰で宇宙は陽だ。
こういう時の宇宙は少し住む世界が違う人間に見える。数分たつと先生が来て、よろしく、とだけいって体育館に移動した。若い先生だが、そっけない、というより余計なことするな、みたいなオーラを凄い出してる…
入学式は特に何の変哲もないものでそのまま部活動紹介に入った。やはり僕の入りたい部はないということを確認する。放課後は部活動見学だったが僕はまっすぐあの余計なことするなオーラを出してる教師のところにいくため職員室に向かった…もちろん宇宙にも着いてきてもらって。
失礼します。1年B組12番雨野天です、金井怜先生いらっしゃいますか?
息継ぎをせずに言い切ると、奥の方から、
はいという低い声が返ってきた。
金井先生のもとに向かうと何の用だ?とぶきっちょに聞いてきた。この教師それが生徒に教える人間の態度なのかという怒りを押さえて用件を切り出す。なおこれでムカついたので以後金井と呼ばせてもらおう。頭のなかで。
僕たち天体観測部を作りたいんです。緊張を抑えて言い切る。
は?お前ら二人でか?仮に今作っても5月までに部員が5人集まらなかったら廃部だぞ。うちの学校はそんなにお金ないんだよ。帰った帰った。
器具は自分達が持ってくるので結構です!
せめてチャンスぐらいは与えてくださいよ!絶対5月までに5人集めますから!
少し怒った様子で宇宙が言う。
こういうときのこいつはすごくカッコいいし、頼りになる。
僕らの本気さが伝わったのかそれとも単に宇宙に気圧されたのかはわからないが、金井は少し溜め息をついた後でわかった。とだけいって判子を押してくれた。顧問はどうするのかと思ったが、無言のまま自分の名前を書き、校長に提出しておくと言っていた。ほんの少しだけ、金井を見直した。
タイムリミットはあと1ヶ月と20日。固い思いを胸に誓って僕は雨空を見上げた。
何だよ天またしょげてるのか?親友の宇宙が言う。
空には空の顔があってその日によってしてほしい顔が違うんだよ。
はいはい。
そんな軽い会話を交わす。昔からこいつは兄みたいだ。名前も僕と同じ「そら」なのに漢字にするとスケールが違うし…
まぁいい、僕が楽しみにしているのは部活動だ。今の天気はどうでも良い。中学では部活が作れなかったが高校では絶対に作ってやる。おっと、考える方に力をいれてしまって話す方がおごそかになってしまった。僕はなんと言うかとても要領が悪い。
いやーしかし、小さい高校だな。ボーっとしていた僕に宇宙がいう。
そうだな。
生徒も200人ぐらいしかいないらしいぜ。
へー。
お、クラス一緒じゃん。
良かったぁー。あまり友達のいない僕は本気で安堵の声をあげた。
つーわけでクラスでもよろしくな。
おう。
クラスに入ると皆が緊張した様子で席についている。僕も黙って椅子に座る。でも一人だけ色んな人に声を変えてるやつがいる。宇宙だ。いわば俺は陰で宇宙は陽だ。
こういう時の宇宙は少し住む世界が違う人間に見える。数分たつと先生が来て、よろしく、とだけいって体育館に移動した。若い先生だが、そっけない、というより余計なことするな、みたいなオーラを凄い出してる…
入学式は特に何の変哲もないものでそのまま部活動紹介に入った。やはり僕の入りたい部はないということを確認する。放課後は部活動見学だったが僕はまっすぐあの余計なことするなオーラを出してる教師のところにいくため職員室に向かった…もちろん宇宙にも着いてきてもらって。
失礼します。1年B組12番雨野天です、金井怜先生いらっしゃいますか?
息継ぎをせずに言い切ると、奥の方から、
はいという低い声が返ってきた。
金井先生のもとに向かうと何の用だ?とぶきっちょに聞いてきた。この教師それが生徒に教える人間の態度なのかという怒りを押さえて用件を切り出す。なおこれでムカついたので以後金井と呼ばせてもらおう。頭のなかで。
僕たち天体観測部を作りたいんです。緊張を抑えて言い切る。
は?お前ら二人でか?仮に今作っても5月までに部員が5人集まらなかったら廃部だぞ。うちの学校はそんなにお金ないんだよ。帰った帰った。
器具は自分達が持ってくるので結構です!
せめてチャンスぐらいは与えてくださいよ!絶対5月までに5人集めますから!
少し怒った様子で宇宙が言う。
こういうときのこいつはすごくカッコいいし、頼りになる。
僕らの本気さが伝わったのかそれとも単に宇宙に気圧されたのかはわからないが、金井は少し溜め息をついた後でわかった。とだけいって判子を押してくれた。顧問はどうするのかと思ったが、無言のまま自分の名前を書き、校長に提出しておくと言っていた。ほんの少しだけ、金井を見直した。
タイムリミットはあと1ヶ月と20日。固い思いを胸に誓って僕は雨空を見上げた。
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