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再び、親友B
再び、親友B③
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「意味がない……かぁ」
口に出して呟いた途端、グルグルと堂々巡りしていた思考はまた動き始める。
意味とは何だろう?どんな状況であろうと存在し続ける、普遍的な「意味」とは?
自分は一体何を求めているんだろう?どうなったら納得するんだろう?
意味……が無ければ駄目なのか?誰が、どうやって見出すんだ?
そうだ、意味ってのは、一体誰が見出すんだ。自分?親兄弟?友達?世の中?後世の人間?
……どうであれ、「意味」にこだわるのは、どれもこれも人間だけなのか?つまり、もし人間と言う存在が地球上からいなくなったら、『どんな人生にも意味は無い』?
違う違う。これはちょっと乱暴すぎる。「意味」を見いだす事が出来るのは人間だけだ。
それもちょっと違う。「意味」を『見出したい』のが人間だ。ただの願望だ。
そしてそうやって見出した意味の多寡は、そいつの人生に何の意味を持つだろう?
……なんだか果てしない話になってきたぞ……
僕は考えるのをやめようかとも思ったが、ここまで来たのだ、火がついたように思考を続けた。
……人生に意味が無く、しかしそこに意味を見出したいのが人間の性である、ような気がしてきた。
実際、今まで僕が出会ってきた人間の中には意味を積極的に「創り出そう」という人間もいた。とてもエネルギッシュな奴で、僕にはちょっと合わない人間だった。何というのだろう、悪い人ではないが、ちょっと鬱陶しいというか……
しかし、そうやって一生懸命「意味」を見出そう、創り出そうとする生き方というのも、決して悪いものではないと今は少し思う。
それも死んでしまえば、不可能な話だが。
……奴の人生は、どうだったのだろう?もうそれを知る手段はない。奴の人生に意味があったとして、時間の経過と共にそれは容赦なく薄れていく。消えていく。それは……なんだか腹立たしい。
……そうはさせるか。忘れさせてなるものか。
沸々と、心の奥底からエネルギーが湧いてくる。
そうだ、奴の人生を知っている僕が、奴の人生から得た物を人に伝えれば良い。
『人生の意味』、なんて、何も無い。だからといって、あいつの人生も、その存在も「意味が無かった」事になんか、させない。僕がさせない。それが僕の、『人生の意味』だ。
そう心に強く決めて、勢いよく立ち上がる。心から湧き出るエネルギーは、既に体中を埋め尽くし、大炎となって内から細胞を燃やし尽くす。
――今ならば何でも出来る。
そう僕に確信させた。
楽器を取り出し、楽譜を見直し、町へ出る。
夕日に輝く町並みはまるで『あの日』のようで、心を揺さぶられた。
「行こう」
僕は敢えて自分の決意を口にして、無機質な町へと身を投じた。
そして
口に出して呟いた途端、グルグルと堂々巡りしていた思考はまた動き始める。
意味とは何だろう?どんな状況であろうと存在し続ける、普遍的な「意味」とは?
自分は一体何を求めているんだろう?どうなったら納得するんだろう?
意味……が無ければ駄目なのか?誰が、どうやって見出すんだ?
そうだ、意味ってのは、一体誰が見出すんだ。自分?親兄弟?友達?世の中?後世の人間?
……どうであれ、「意味」にこだわるのは、どれもこれも人間だけなのか?つまり、もし人間と言う存在が地球上からいなくなったら、『どんな人生にも意味は無い』?
違う違う。これはちょっと乱暴すぎる。「意味」を見いだす事が出来るのは人間だけだ。
それもちょっと違う。「意味」を『見出したい』のが人間だ。ただの願望だ。
そしてそうやって見出した意味の多寡は、そいつの人生に何の意味を持つだろう?
……なんだか果てしない話になってきたぞ……
僕は考えるのをやめようかとも思ったが、ここまで来たのだ、火がついたように思考を続けた。
……人生に意味が無く、しかしそこに意味を見出したいのが人間の性である、ような気がしてきた。
実際、今まで僕が出会ってきた人間の中には意味を積極的に「創り出そう」という人間もいた。とてもエネルギッシュな奴で、僕にはちょっと合わない人間だった。何というのだろう、悪い人ではないが、ちょっと鬱陶しいというか……
しかし、そうやって一生懸命「意味」を見出そう、創り出そうとする生き方というのも、決して悪いものではないと今は少し思う。
それも死んでしまえば、不可能な話だが。
……奴の人生は、どうだったのだろう?もうそれを知る手段はない。奴の人生に意味があったとして、時間の経過と共にそれは容赦なく薄れていく。消えていく。それは……なんだか腹立たしい。
……そうはさせるか。忘れさせてなるものか。
沸々と、心の奥底からエネルギーが湧いてくる。
そうだ、奴の人生を知っている僕が、奴の人生から得た物を人に伝えれば良い。
『人生の意味』、なんて、何も無い。だからといって、あいつの人生も、その存在も「意味が無かった」事になんか、させない。僕がさせない。それが僕の、『人生の意味』だ。
そう心に強く決めて、勢いよく立ち上がる。心から湧き出るエネルギーは、既に体中を埋め尽くし、大炎となって内から細胞を燃やし尽くす。
――今ならば何でも出来る。
そう僕に確信させた。
楽器を取り出し、楽譜を見直し、町へ出る。
夕日に輝く町並みはまるで『あの日』のようで、心を揺さぶられた。
「行こう」
僕は敢えて自分の決意を口にして、無機質な町へと身を投じた。
そして
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