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第14話 医者の矜持
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目を覚ます。
ドラゴンはどうなった…。
無事に倒すことはできたのだろうか。
それとも、ここは死の世界?
「ようやく目を覚ましたか。」
嗅ぎなれた匂い。
これは、パイプだな。
「君もいるのか。なら死の世界でも悪くないな。」
「おいおい、勝手に殺すな。正真正銘、現世だよ。」
ということは、ドラゴンを倒すことはできたのか。
「ホームズ、町はどうなった?」
「心配することはない。今、ミス・アドラーがみんなをまとめているだろう。」
気になることがある。
「アドラーは、いったい何者なんだ?君なら知っているのだろう?」
「おや、知らなかったのか。彼女はこの町で最も偉い町長の娘だよ。アイリーン・アドラーの孫にあたるそうだ。」
ん?
「驚いた顔するなよ。自明の理だろう。この町に彼女がいたのだよ。」
「いやいや、そんなことないだろう。彼女は獣人だぞ?」
「ハーフかクォーターだろう。町の中には我々のような人もいた。特別珍しいわけではないのだろう。それに。」
「それに?」
「僕たちのいる東の門の近くには、この町の起こりを記した石碑が置いてあるのだよ。それを読めばすべて分かる。あとで確かめればいい。」
そう言い、ホームズは小瓶を置いて立ち上がった。
「僕は疲れたから、例の宿泊施設で眠ることにするよ。君は自由にするといい。」
歩き去るホームズを見ながら、私は彼の残してくれた赤色の液体が入った小瓶を飲み干した。
信じられないな。
アイリーン・アドラー。
ホームズを負かした女。
この町にいたのか…。
「ま、私もホームズもいるのだから、ありえなくはないのか。」
私は早速、東門にある石碑に向かうことにした。
疲れた。
あのドラゴン、結局どうなったのだろうか。
いや、そんなことはどうでもいい。
今は考えることが多すぎる。
まず、あのドラゴンはなぜ突然東を向いたのだ?
私の作戦だと、石像の手の上に載った魔術師たちを東にやり、ヤツを攻撃する。
その後、ヤツは東を向き火炎を吐くと踏んでいたのだが…。
なぜ勝手に振り向いたのだ?
私の会得した魔法 Reasoning
相手の情報を今まで以上に見ることのできる魔法。
筋組織の微細な動きも見分けることができ、そこから次に何をするのか予測することが出来る。
まぁ、私の頭脳ありきの魔法ではあるが。
とにかく眠りたい。
まさか魔法があんなに集中力を持っていくとは。
魔法を会得し、分かってきたことがある。
しかし、今は寝よう。
僕はベッドに横たわる。
眠りにつく。
「やはりだ。」
たくさんの蔵書に囲まれた部屋に僕はいた。
どうやら、眠ることによりこの部屋に辿り着くことが出来るようだ。
真ん中には巨大な石板が置いてある。
東門に着いた私は早速、石碑を見ることにした。
「これがホームズの言っていた石碑か。」
そこにはこう記載されていた。
アイリーンの町へとようこそ!
この町は異邦の者であるアイリーン・アドラーにより作られたものである。
周辺の集落をまとめ上げ、魔王軍に対する自衛組織の設立。
港町の発展に尽力し、この町の長となった。
その後の文章は町の歴史について書かれている。
そうか。
東は観光客でにぎわうから東門に書かれているのか。
ホームズはこの周辺を探索したときに見つけたのだろう。
それにしても、あの娘がアイリーン・アドラーの孫か。
石碑にはそのことは書いていないが、ホームズは住民に聞いたのだろうな。
「ギルドに向かうか。」
ことの顛末を聞いておきたい。
私もかなり疲れていたので早く寝たかったのだが、好奇心が勝り、ギルドへと向かった。
「ワトソン!よかった。無事だったんだね!」
ギルドに入るなり、アドラーの熱烈な歓迎を受けた。
ギルドには傷の手当をする者、酒をあおる者。
歌う者に踊る者など大騒ぎだ。
「アドラー。聞きたいのだが、あのドラゴンは?」
「ああ、あいつならどこかに飛んで行ったよ。」
飛んで行った?
つまり倒せたわけではないのか。
なんという生命力だ。
化け物を見るのはバスカヴィルでだけだと思っていたのだが。
世界は広いな。
「ワトソンさん!お待ちしておりました。」
モン…ギルドマスターが話しかけてきた。
「あなたとホームズさんには本当に助けられました!町を代表し感謝します。」
「ちょっと!町の代表は私なんだけど!!」
アドラーがギルドマスターを睨みつける。
「お!君が例のワトソンさんっスか?」
声のした方を見ると、女の子にも男の子にも見える不思議な子供がいた。
なんだかちぐはぐな服を着ているな。
カラフルな刺繍の入ったベストに茶色の短パン。
頭には黄色の羽飾りをつけている。
「はじめまして。僕の名前はロビン・グッドフェローと言うっス!」
手を差し出してきたので、握手に応じる。
「ワトソン。ジョン・ワトソンだ。」
「ワトソンっスよね?あのドラゴンを撃退したのって!」
「ああ、そうだ。」
「いや、あんなことできるのなんて!ところでランクは?」
ランク?
一体何のことだ?
「ロビン君、彼は冒険者じゃないんだよ。」
「は?」
なぜかロビンに睨まれた。
え?
なに?
「そんなに強いのに何で冒険者じゃないんっスか?こんなのは認められないっスね…。今すぐ登録しましょ!」
「確かに。あんなに強いドラゴンが現れたのだから、冒険者の確保は重要ね。」
アドラーが思案顔でそう言う。
「じゃ!決まりっスね!」
私は呆然とするしかなかった。
凄いな。
私の意見なしで何かが決まったぞ。
「じゃ、この書類にサインを。」
ギルドマスターが羊皮紙を私に差し出す。
これは、騙されているのか?
赤毛連盟のように。
「一つ聞くが、これにサインするとどうなる?」
「正式に冒険者になる。冒険者になるとクエストを受注することが出来るようになる。」
瞬間、私に疑問が走る。
「いや、それはおかしい。私とホームズは昨日クエストを受けたじゃないか?」
「それはそうですよ。ホームズさんは冒険者ですからね。」
あいつ。
そんなこと聞いていないぞ。
「光花のクエストを受けると同時に冒険者になりましたね。いやはや、上級職の冒険者とは。頼もしい。」
怒りを隠している私とは対照的に、ギル…モンスターは乙女のような顔をしている。
「分かった。では冒険者とやらになるとしよう。」
逃げ道がないからな。
羊皮紙にサインを記入する。
すると突然、羊皮紙が青い炎に包まれた。
私のみが驚いているところを見ると、どうやらいつも燃えるようだ。
「どうっスか?」
燃え終わった羊皮紙をロビンがのぞき込む。
羊皮紙は燃えたのにも関わらず、一切焦げていなかった。
そして、サインの下に文字が浮かび上がっていた。
「シルバーだね。」
「シルバー?それは何ですか?」
私はモンスターにそう聞いた。
「ああ、冒険者にはランクがあるのですよ。ランクが高いほど、ギルドから良いクエストが斡旋されます。報酬はいいのですが、それなりの危険が伴いますので。」
「それで、ランクには5種類あるっス!ブロンズにシルバー。ゴールド、プラチナ。最後がダイヤっスね。ちなみに僕もシルバーっス!いっしょスね!!」
ロビンは目を輝かせて私を見た。
そんな目をされても困るのだが。
「それでは、この羊皮紙に手をかざしてください。」
私はモンスターに言われるがまま、手をかざした。
特になにもおこらない。
「よし。もういいですよ。これであなたのDNA情報を登録しました。」
今の一瞬でか?!
末恐ろしいな。
「ところでアドラー。ケガ人はどうだね?」
「ほとんどの人は軽傷だったんだけど。一人の女性が重傷で。」
「少し見せてくれないか?」
私はアドラーにそう言い、案内してもらった。
「それにしてもいきなりシルバーなんて。すごいのね!」
そう言われてもピンとこない。
「あ、ああ。ありがとう。ところで患者はどのような状態なんだ?」
「それが、たぶん刃物で刺されているの。不思議、ドラゴンにそんな攻撃あったっけな?」
そこはギルドの二階の片隅であった。
私はドアをノックし、部屋へと入った。
そこは、陽光の差し込むいい部屋だった。
机に化粧台が置かれており、部屋には絵が飾られている。
ドラゴンに立ち向かう女性の絵だ。
そして、ベッドがあった。
例の女性はそこで寝かされていた。
「少し調べよう。」
そう言い私は彼女から布団をどけた。
「ワトソン、今は傷口に時止めのアイテムが使ってあるから。出血死の心配はないよ。」
そう言ってくれて助かった。
布団の下には、死体のような女性がいたのだ。
正確には死体になりかけている女性だ。
「これはひどいな。喉と腹部に刺し傷。それも突き刺したのではなく、裂くような傷だ。」
確かに。
この世界に来たばかりだが、あのドラゴンがこんな傷を負わせられるとは思えない。
あんな爪なら、人体は真っ二つになるだろう。
「このアイテム、いつまで効果が続くのだ?」
「三日よ。」
三日か。
短いな。
ここに放置されているということは。
「この町に治療できるものはいないのか?」
「いない。そのタイムストッパーだって、この女性の母親が大金を叩いて買ったもの。居たとしても。とてもお金を払えない。」
そうか。
では、この女性は死ぬのか。
…。
別に私はヒーローではない。
正直、人の人生とはその人のものだ。
だから、下手に干渉する必要もない。
この子は見ず知らずの女性だ。
助ける義理もない。
そうだな。
だから。
「アドラー。その母親に一時間後会いたい。どこにいるんだ。」
ここで助けようと思ったのはきっと、医者としての私の矜持なのだろう。
ドラゴンはどうなった…。
無事に倒すことはできたのだろうか。
それとも、ここは死の世界?
「ようやく目を覚ましたか。」
嗅ぎなれた匂い。
これは、パイプだな。
「君もいるのか。なら死の世界でも悪くないな。」
「おいおい、勝手に殺すな。正真正銘、現世だよ。」
ということは、ドラゴンを倒すことはできたのか。
「ホームズ、町はどうなった?」
「心配することはない。今、ミス・アドラーがみんなをまとめているだろう。」
気になることがある。
「アドラーは、いったい何者なんだ?君なら知っているのだろう?」
「おや、知らなかったのか。彼女はこの町で最も偉い町長の娘だよ。アイリーン・アドラーの孫にあたるそうだ。」
ん?
「驚いた顔するなよ。自明の理だろう。この町に彼女がいたのだよ。」
「いやいや、そんなことないだろう。彼女は獣人だぞ?」
「ハーフかクォーターだろう。町の中には我々のような人もいた。特別珍しいわけではないのだろう。それに。」
「それに?」
「僕たちのいる東の門の近くには、この町の起こりを記した石碑が置いてあるのだよ。それを読めばすべて分かる。あとで確かめればいい。」
そう言い、ホームズは小瓶を置いて立ち上がった。
「僕は疲れたから、例の宿泊施設で眠ることにするよ。君は自由にするといい。」
歩き去るホームズを見ながら、私は彼の残してくれた赤色の液体が入った小瓶を飲み干した。
信じられないな。
アイリーン・アドラー。
ホームズを負かした女。
この町にいたのか…。
「ま、私もホームズもいるのだから、ありえなくはないのか。」
私は早速、東門にある石碑に向かうことにした。
疲れた。
あのドラゴン、結局どうなったのだろうか。
いや、そんなことはどうでもいい。
今は考えることが多すぎる。
まず、あのドラゴンはなぜ突然東を向いたのだ?
私の作戦だと、石像の手の上に載った魔術師たちを東にやり、ヤツを攻撃する。
その後、ヤツは東を向き火炎を吐くと踏んでいたのだが…。
なぜ勝手に振り向いたのだ?
私の会得した魔法 Reasoning
相手の情報を今まで以上に見ることのできる魔法。
筋組織の微細な動きも見分けることができ、そこから次に何をするのか予測することが出来る。
まぁ、私の頭脳ありきの魔法ではあるが。
とにかく眠りたい。
まさか魔法があんなに集中力を持っていくとは。
魔法を会得し、分かってきたことがある。
しかし、今は寝よう。
僕はベッドに横たわる。
眠りにつく。
「やはりだ。」
たくさんの蔵書に囲まれた部屋に僕はいた。
どうやら、眠ることによりこの部屋に辿り着くことが出来るようだ。
真ん中には巨大な石板が置いてある。
東門に着いた私は早速、石碑を見ることにした。
「これがホームズの言っていた石碑か。」
そこにはこう記載されていた。
アイリーンの町へとようこそ!
この町は異邦の者であるアイリーン・アドラーにより作られたものである。
周辺の集落をまとめ上げ、魔王軍に対する自衛組織の設立。
港町の発展に尽力し、この町の長となった。
その後の文章は町の歴史について書かれている。
そうか。
東は観光客でにぎわうから東門に書かれているのか。
ホームズはこの周辺を探索したときに見つけたのだろう。
それにしても、あの娘がアイリーン・アドラーの孫か。
石碑にはそのことは書いていないが、ホームズは住民に聞いたのだろうな。
「ギルドに向かうか。」
ことの顛末を聞いておきたい。
私もかなり疲れていたので早く寝たかったのだが、好奇心が勝り、ギルドへと向かった。
「ワトソン!よかった。無事だったんだね!」
ギルドに入るなり、アドラーの熱烈な歓迎を受けた。
ギルドには傷の手当をする者、酒をあおる者。
歌う者に踊る者など大騒ぎだ。
「アドラー。聞きたいのだが、あのドラゴンは?」
「ああ、あいつならどこかに飛んで行ったよ。」
飛んで行った?
つまり倒せたわけではないのか。
なんという生命力だ。
化け物を見るのはバスカヴィルでだけだと思っていたのだが。
世界は広いな。
「ワトソンさん!お待ちしておりました。」
モン…ギルドマスターが話しかけてきた。
「あなたとホームズさんには本当に助けられました!町を代表し感謝します。」
「ちょっと!町の代表は私なんだけど!!」
アドラーがギルドマスターを睨みつける。
「お!君が例のワトソンさんっスか?」
声のした方を見ると、女の子にも男の子にも見える不思議な子供がいた。
なんだかちぐはぐな服を着ているな。
カラフルな刺繍の入ったベストに茶色の短パン。
頭には黄色の羽飾りをつけている。
「はじめまして。僕の名前はロビン・グッドフェローと言うっス!」
手を差し出してきたので、握手に応じる。
「ワトソン。ジョン・ワトソンだ。」
「ワトソンっスよね?あのドラゴンを撃退したのって!」
「ああ、そうだ。」
「いや、あんなことできるのなんて!ところでランクは?」
ランク?
一体何のことだ?
「ロビン君、彼は冒険者じゃないんだよ。」
「は?」
なぜかロビンに睨まれた。
え?
なに?
「そんなに強いのに何で冒険者じゃないんっスか?こんなのは認められないっスね…。今すぐ登録しましょ!」
「確かに。あんなに強いドラゴンが現れたのだから、冒険者の確保は重要ね。」
アドラーが思案顔でそう言う。
「じゃ!決まりっスね!」
私は呆然とするしかなかった。
凄いな。
私の意見なしで何かが決まったぞ。
「じゃ、この書類にサインを。」
ギルドマスターが羊皮紙を私に差し出す。
これは、騙されているのか?
赤毛連盟のように。
「一つ聞くが、これにサインするとどうなる?」
「正式に冒険者になる。冒険者になるとクエストを受注することが出来るようになる。」
瞬間、私に疑問が走る。
「いや、それはおかしい。私とホームズは昨日クエストを受けたじゃないか?」
「それはそうですよ。ホームズさんは冒険者ですからね。」
あいつ。
そんなこと聞いていないぞ。
「光花のクエストを受けると同時に冒険者になりましたね。いやはや、上級職の冒険者とは。頼もしい。」
怒りを隠している私とは対照的に、ギル…モンスターは乙女のような顔をしている。
「分かった。では冒険者とやらになるとしよう。」
逃げ道がないからな。
羊皮紙にサインを記入する。
すると突然、羊皮紙が青い炎に包まれた。
私のみが驚いているところを見ると、どうやらいつも燃えるようだ。
「どうっスか?」
燃え終わった羊皮紙をロビンがのぞき込む。
羊皮紙は燃えたのにも関わらず、一切焦げていなかった。
そして、サインの下に文字が浮かび上がっていた。
「シルバーだね。」
「シルバー?それは何ですか?」
私はモンスターにそう聞いた。
「ああ、冒険者にはランクがあるのですよ。ランクが高いほど、ギルドから良いクエストが斡旋されます。報酬はいいのですが、それなりの危険が伴いますので。」
「それで、ランクには5種類あるっス!ブロンズにシルバー。ゴールド、プラチナ。最後がダイヤっスね。ちなみに僕もシルバーっス!いっしょスね!!」
ロビンは目を輝かせて私を見た。
そんな目をされても困るのだが。
「それでは、この羊皮紙に手をかざしてください。」
私はモンスターに言われるがまま、手をかざした。
特になにもおこらない。
「よし。もういいですよ。これであなたのDNA情報を登録しました。」
今の一瞬でか?!
末恐ろしいな。
「ところでアドラー。ケガ人はどうだね?」
「ほとんどの人は軽傷だったんだけど。一人の女性が重傷で。」
「少し見せてくれないか?」
私はアドラーにそう言い、案内してもらった。
「それにしてもいきなりシルバーなんて。すごいのね!」
そう言われてもピンとこない。
「あ、ああ。ありがとう。ところで患者はどのような状態なんだ?」
「それが、たぶん刃物で刺されているの。不思議、ドラゴンにそんな攻撃あったっけな?」
そこはギルドの二階の片隅であった。
私はドアをノックし、部屋へと入った。
そこは、陽光の差し込むいい部屋だった。
机に化粧台が置かれており、部屋には絵が飾られている。
ドラゴンに立ち向かう女性の絵だ。
そして、ベッドがあった。
例の女性はそこで寝かされていた。
「少し調べよう。」
そう言い私は彼女から布団をどけた。
「ワトソン、今は傷口に時止めのアイテムが使ってあるから。出血死の心配はないよ。」
そう言ってくれて助かった。
布団の下には、死体のような女性がいたのだ。
正確には死体になりかけている女性だ。
「これはひどいな。喉と腹部に刺し傷。それも突き刺したのではなく、裂くような傷だ。」
確かに。
この世界に来たばかりだが、あのドラゴンがこんな傷を負わせられるとは思えない。
あんな爪なら、人体は真っ二つになるだろう。
「このアイテム、いつまで効果が続くのだ?」
「三日よ。」
三日か。
短いな。
ここに放置されているということは。
「この町に治療できるものはいないのか?」
「いない。そのタイムストッパーだって、この女性の母親が大金を叩いて買ったもの。居たとしても。とてもお金を払えない。」
そうか。
では、この女性は死ぬのか。
…。
別に私はヒーローではない。
正直、人の人生とはその人のものだ。
だから、下手に干渉する必要もない。
この子は見ず知らずの女性だ。
助ける義理もない。
そうだな。
だから。
「アドラー。その母親に一時間後会いたい。どこにいるんだ。」
ここで助けようと思ったのはきっと、医者としての私の矜持なのだろう。
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