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第2話 港町 アイリーン
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南東へを目指していた我々、ホームズとワトソン一行はやっとのことで港町へとたどり着いた。
「すごいなホームズ!本当に町があった。」
「なんだ疑っていたのかワトソン君。これくらいのことは僕じゃなくても推測できるよ。ところで、一つ問題を提起してもいいかい?」
ホームズは深刻な顔をしながら私に話しかけてきた。
「なんだい?そう改まって。」
「ワトソン君、我々はかつてない問題に直面しているのだよ。」
ホームズにここまで言わせるとは、いったいどのような問題だというのか。
私は固唾をのんで見守った。
「お金がない。」
私は絶句した。
なんということだ。
あの著名な探偵、我らがホームズがこともあろうに無一文とは。
「これは実に難しい問題だ。今までこのような問題は起こったことがなかった。」
ホームズは彼特有の眠そうな目をしながら思想に耽っていた。
「私が戦争から負傷して君に会ったときは同じような状況だったが。」
私は当時のことを懐かしみながら一人つぶやいた。
「ワトソン君、君はその時どのようにその問題を解決したんだい?」
「君に出会った。」
「ああ。」
ホームズはそのまま黙ってしまった。
「ホームズ、少し手分けをして情報を集めないか?ここには君のホームレスネットワークもなければ、あの優秀な遊撃隊のウィギンス君もいない。」
「なるほど、足を使った調査か。確かに僕たちにあったスタイルかもな。」
ホームズは少し笑い、歩き始めた。
「ワトソン君、日が落ちる直前にここに集合だ。それまでは各自で行動しようか。」
ホームズは背中越しにそう話しかけながらどことなく歩いて行った。
さて、私も行動するとしようか。
まずはこの町についての情報を得る必要があるな。
ここで、私が視覚で得た情報を記そうと思う。
家屋は木材で作られたものが多く、店と思われる建物もみられる。
海が近いのか少し磯のにおいが鼻孔をくすぐる。
目に見える住人は私と同じような姿かたちをしている者もいる。
だが、大部分は獣のような見た目の者や半獣が多く、着ているものも多種多様だ。
だが、私が着ているような黒のスリーピーススーツを着ているような者は一人もいない。
イギリスではフォーマルな服装なのだがここではそうではないらしい。
「ここは本当にどこなんだろうか。」
私が一人つぶやいた質問に答えが返ってきた。
「ここはアイリーンという港町よ。」
私は驚きながら声の方向に目を向けた。
「なに、その間抜けな顔?私の顔になにかついている?」
私の目の前には猫の顔を持った人が立っていた。
毛色は金色で瞳は怪しく緑に輝いている。
身長は5フィートくらいだ。
服装は白のシャツにベージュのカーディガン、そしてオレンジのスカートを履いている。
服装が毛色と実に似合っていて、ブロンドの美女を私に思わせる半人半獣の女性であった。
ホームズであればもっといろいろと情報を得れたかもしれないが私ではこれが限界だ。
「いや、失礼。初めて来たので少々戸惑ってしまったんだ。」
「観光ってわけね!たしかに、見慣れない場所だと少し困惑するかも。」
彼女は毛並みを整えながら私のことを観察していた。
緑の瞳が私を射すくめる。
「よかったら案内しましょうか?私はアドラー。」
「ワトソンだ。」
私はアドラーと握手をした。
にしても、アイリーンに住むアドラーか。
偶然してはよくできているな。
そう思いながら私はアドラーに付いていった。
「すごいなホームズ!本当に町があった。」
「なんだ疑っていたのかワトソン君。これくらいのことは僕じゃなくても推測できるよ。ところで、一つ問題を提起してもいいかい?」
ホームズは深刻な顔をしながら私に話しかけてきた。
「なんだい?そう改まって。」
「ワトソン君、我々はかつてない問題に直面しているのだよ。」
ホームズにここまで言わせるとは、いったいどのような問題だというのか。
私は固唾をのんで見守った。
「お金がない。」
私は絶句した。
なんということだ。
あの著名な探偵、我らがホームズがこともあろうに無一文とは。
「これは実に難しい問題だ。今までこのような問題は起こったことがなかった。」
ホームズは彼特有の眠そうな目をしながら思想に耽っていた。
「私が戦争から負傷して君に会ったときは同じような状況だったが。」
私は当時のことを懐かしみながら一人つぶやいた。
「ワトソン君、君はその時どのようにその問題を解決したんだい?」
「君に出会った。」
「ああ。」
ホームズはそのまま黙ってしまった。
「ホームズ、少し手分けをして情報を集めないか?ここには君のホームレスネットワークもなければ、あの優秀な遊撃隊のウィギンス君もいない。」
「なるほど、足を使った調査か。確かに僕たちにあったスタイルかもな。」
ホームズは少し笑い、歩き始めた。
「ワトソン君、日が落ちる直前にここに集合だ。それまでは各自で行動しようか。」
ホームズは背中越しにそう話しかけながらどことなく歩いて行った。
さて、私も行動するとしようか。
まずはこの町についての情報を得る必要があるな。
ここで、私が視覚で得た情報を記そうと思う。
家屋は木材で作られたものが多く、店と思われる建物もみられる。
海が近いのか少し磯のにおいが鼻孔をくすぐる。
目に見える住人は私と同じような姿かたちをしている者もいる。
だが、大部分は獣のような見た目の者や半獣が多く、着ているものも多種多様だ。
だが、私が着ているような黒のスリーピーススーツを着ているような者は一人もいない。
イギリスではフォーマルな服装なのだがここではそうではないらしい。
「ここは本当にどこなんだろうか。」
私が一人つぶやいた質問に答えが返ってきた。
「ここはアイリーンという港町よ。」
私は驚きながら声の方向に目を向けた。
「なに、その間抜けな顔?私の顔になにかついている?」
私の目の前には猫の顔を持った人が立っていた。
毛色は金色で瞳は怪しく緑に輝いている。
身長は5フィートくらいだ。
服装は白のシャツにベージュのカーディガン、そしてオレンジのスカートを履いている。
服装が毛色と実に似合っていて、ブロンドの美女を私に思わせる半人半獣の女性であった。
ホームズであればもっといろいろと情報を得れたかもしれないが私ではこれが限界だ。
「いや、失礼。初めて来たので少々戸惑ってしまったんだ。」
「観光ってわけね!たしかに、見慣れない場所だと少し困惑するかも。」
彼女は毛並みを整えながら私のことを観察していた。
緑の瞳が私を射すくめる。
「よかったら案内しましょうか?私はアドラー。」
「ワトソンだ。」
私はアドラーと握手をした。
にしても、アイリーンに住むアドラーか。
偶然してはよくできているな。
そう思いながら私はアドラーに付いていった。
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