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日の光の下

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『錬金術師バロード暗殺される』

 この報は一気にエルドリア全土、諸外国にも駆けめぐった。

 人々の反応は『悲嘆』。

 皆、彼が本当に人を治していたのだとまだ信じている。

『犯人たる裏切り者の騎士カワナカ・リョウヘイを捕らえ、または殺害した者に王家は謝礼を払う用意あり』

 続く二報に橙夜は落ち込んだ。

 バロードを殺したのは橙夜だ。しかしそれが亮平の責任にされている。

 ルセフとアーレントがそう説明したからだろう。

 ……これじゃあ僕が亮平を陥れたみたいだ。

 砂を噛んでいるような嫌な感覚だ。だがジュリエッタは慰める。

「これでいいのよ、あいつは誰かが殺さなければならなかった……あんたは正しいことをしたのよ」

 ……正しい? 

 橙夜は懐疑的だ。

 ……人を殺めるのが正しいのだろうか?

「私もあれしかなかっと思うよ、橙夜君は悩むこと無いのよ」

 澄香も同意してくれるが、彼は決意していた。

 赤い髪のエルフ、エレクトラを探し、彼女だけでも元の世界に返そう。

 ……僕は人殺しの罪を背負った、でも澄香は違う。

 当然、本人は知らない。蒲生澄香は本格的にこの世界に腰を落ち着けようと、ぼけスタイルに戻ったアイオーンやハーフリング兄妹から色々と教わっている。

 場所はジュリエッタの小屋。今日もいい天気だ。

 一見、何もかも元通りになった。

 だが、ジュリエッタが最近思い悩んでいる。本人は隠しているつもりだろうが、折に入るとボーダー家の紋章の入った指輪をじっと見つめている。

 そんな時、とても話しかけられない雰囲気になった。

 足利橙夜はまだ知らない。彼等がこの先相手にする敵の大きさと闇の深さを。橙夜は夏の盛りの光の下、仲間達との生活に満足していた。
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