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第五章

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『グループ六年一組トップ』 6月23日

 準「草、草、草、草、大草原WWW、スゲー笑った」
 アリエル「あたしも爆笑」
 ダイゴ「M、教卓に理科室のホルマリン漬けのカエル入れたのお前だろ? やるじゃん」
 M「楽しんでもらえたかい?」
 準「サイコー! 木戸の奴、まさにカエルみたいにひっくりかえってんの」
 ダイゴ「ああ、何か胸がすーとした、ん? どうしたメグミ、珍しく静かだな」
 メグミ「別に、確かに笑ったね、Mってすごいね」
 準「ああ、感心した、スゲー面白かった」
 M「だろ? ぼくはいろんな面白いこと知っているんだ」
 ダイゴ「結局お前誰だよ、もう怒らないからさ、教えてみ」
 M「まだ内緒」
 アリエル「えー、知りたい」
 M「こういうのは秘密だったほうが楽しいんだ」
 準「そうだな、MはMでいっか」
 M「ありがとう、でどうする?」
 ダイゴ「え? 何を」
 M「昨日話したろ、クラスの誰かをハブって、みんなでイタズラする」
 ダイゴ「あーそれかぁー、でもなぁー」
 メグミ「いいじゃん、Mの言うとおりにしようよ」
 準「何だよメグミ、いきなり」
 メグミ「だってMのやったこと面白かったでしょ? なら今度もきっと面白いよ」
 アリエル「でもちょっとあたしは反対かな」
 M「どうして?」
 アリエル「単純にかわいそうじゃん、そいつ」
 メグミ「何を今更、あんた舞や志乃やらの六の一のキレーどころを目の敵にしてるじゃん」
 アリエル「それはそうだけど」
 ダイゴ「デブスの嫉妬だ、俺達には関係ない」
 M「ダイゴも反対なんだ」
 ダイゴ「俺そう言うの好きじゃないんだよな、男ならケンカはタイマンだ」
 メグミ「古、ダサっ、お前は昔の漫画か」
 準「うーん、でも俺もダイゴ派だな、イジメとかもっとダサいじゃん」
 M「イジメじゃないよ、イタズラさ、ちょっとしたね」
 ダイゴ「どう違うんだよ」
 M「みんな頭かたいなー、すっごく面白いのに」
 メグミ「でさー、やるとして誰が標的? 誰をハブるの?」
 M「ケンジくらいかな」
 ダイゴ「何だよそれ! どうしてケンジなんだよ!」
 M「だってあいつ臭いし、頭もフケだらけじゃん、キモい」
 アリエル「あ、それあたしも思っていた」
 ダイゴ「ふざけんな! 俺はイヤだね、てかM、お前マジで誰だよ!」
 M「どうしたダイゴ、君は確かケンジの幼馴染みだったね、だからイヤなのか?」
 ダイゴ「かんけーねーだろ、黙れや」
 メグミ「あーしは賛成、ケンジ嫌いー」 
 ダイゴ「うるせえ、ぶっ飛ばすぞ」
 準「落ち着けよダイゴ、俺も反対だMさ、目標なら木戸先生でいいじゃん、どうしてケンジが出てくるんだよ」
 M「木戸が代わってもいい先生が来るとは限らないだろ? それに今朝のアイツのリアクションもなんかイマイチだった」 
 ダイゴ「だからなんでケンジなんだよ!」
 メグミ「うっさいよダイゴ。いいじゃんケンジなんて」
 アリエル「メグミ、あんたどうしたの? 急にMの肩を持ちだして」
 メグミ「別に、あーしは面白い方につく、それだけ」
 ダイゴ「おもしろくねーよ」
 M「わかったわかった、この話は明日にしよう、それまでケンジには内緒な、見ていた奴らもだぞ、チクったら標的はオマエ等だからな」
 ダイゴ「勝手に終わらすんじゃねーよ」
 準「ダイゴ落ち着け、今のところ反対が多いんだから」
 メグミ「ダイゴ、バッカみたい。じゃね」
 アリエル「んじゃ、また明日ね」
 ダイゴ「ケンジは目標にはさせないからな」
 準「はいはい」

 03─×××─×××× 久地健児 6月23日

「もしもしケンジか」
「ダイゴ、どうしたこんな時間に」
「お前やばいぞ」
「え? 何で」
「Mっていう奴の標的になってる、このままじゃクラス中からハブられる」
「マジ! てかMて誰?」
「分かんねえんだよ、だけどクラスの誰かだ、六年一組を知りすぎている」
「どうしょう、ダイゴ」
「安心しろ、俺が反対している、それよりお前毎日風呂入れ、歯磨きもしろ」
「歯ブラシないんだよ、母さんが買ってくれない」
「おばさん、またホストクラブかよ」
「うん」
「ホストに金やってんのに歯ブラシも買ってくれないのかよ」
「うん」
「風呂は?」
「まだ故障中」
「何だよそれ、お前の母ちゃんどうかしているぞ」
「ダイゴ、母さんを悪く言うな」
「わかったよ、そう言えばメシは?」
「今日はないみたい、あした給食まで我慢する」
「ちくしょー、まあとにかく気を付けろ、もしもの時は俺が何とかする」
「ありがとうダイゴ」
「いいんだって、じゃな」
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