共に生きるため

Emi 松原

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共に生きるため

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【シュッツ】


一瞬にして、空気が変わった。秋のはずなのに、暖かい。夢華はおそるおそる目を開けた。
「う・・・うわぁ・・・!!!」
そこには夢華が見たことのない世界が広がっていた。空気は暖かく、なんというか澄んでいる。目に入ってくる色も、ピンクや水色、緑など様々だ。秋美のように人間と同じくらいのサイズの妖精らしき人も居れば、物語に出てくるような小さくて羽がはえた妖精も居る。
「これが・・・・妖精の国・・・」                                         
夢華はぼぅっと見とれていた。そして大きく深呼吸をした。
「さぁ、まずは大精霊様の所に行かなくちゃな。その後は四季の精霊の所。人間を連れてきたときはまずあいさつに行かないといけないんだ。それさえ終わったら、この国で自由にできる。」
秋美が夢華の手を引きながら言った。
二人は道を歩いていく。夢華はきょろきょろしながら歩いた。色んな妖精と目が合うが、そのたびに妖精はにっこりとほほえんでくれた。

「秋美ちゃん!!!!」
声がして二人は振り向いた。しかしそこには誰もいない。
「もぉ~ここ、ここ!」
上から声がした。二人が上を向くと、そこには身長が10㎝ほどの羽がはえた女の子が飛んでいる。薄い赤紫のワンピースを着ていて髪もワンピースと同じ色だ。羽は淡い水色で,まさに想像通りの妖精だと夢華は思った。
「なんだ、おめえか」
「なによその言い方。この子が例の人間の子??」
その妖精が夢華を見ながら言った。
「なんだ、もう伝わってんのか。」
秋美がため息混じりに言った。
「当たり前よ~みんな喜んでるのよ。久々に人間界からお客が来たんだから。」
妖精は笑顔で答えている。
「あ・・・あのぅ・・・」
夢華がためらいがちに言った。
「おっ、ごめんごめん。こいつの名前は睡蓮〈すいれん〉まぁ名前の通り、主に睡蓮の花や、水辺の花に宿ってる。」
秋美がそう説明すると、睡蓮が笑顔で言った。
「驚かせてごめんなさいね。妖精の世界、噂ってすぐ広がるもんだから・・・秋美ちゃんが言ったようにあたしは睡蓮って言うの。秋美ちゃんとは妖精学校の同級生よ。」
「あたしは夢華です。よろしくお願いします。・・・妖精学校ってなんですか??」
「人間と同じで、一人前で仕事ができるようになるため色んな事を学ぶの。大精霊様の所にいくんなら、学校の前を通るわよ。」
「へぇ・・・」(妖精の学校・・・どんなとこなんだろ。)
「そろそろ行こうぜ」
イライラし始めた秋美が言った。
「あら、時間をとってごめんなさい。夢華ちゃん、また話しましょう。なんでも聞いてね。」
睡蓮は笑顔で去って行った。

二人はまた歩き出した。
「なんか安心した。」
歩きながら夢華が言った。
「何が?」
秋美が横から答えた。
「だって、一応歓迎されてるようだし・・・私は人間だから。正直来てからちょっと不安だったんだ。」
夢華が微笑みながら言った。
「不安なんて感じなかったけどな。前はよく人間も来てたんだ。子供だけじゃなく,大人もたまあに来てた・・・」
秋美が何かを思い出しながら言った。何か考えているようだ。少し寂しそうな、悲しそうな、そんな顔をしている。しかしすぐに笑顔になった。
「さぁ、学校が見えたぜ!」

秋美が見る先には、大きくて、うっすらと緑色をした,ヨーロッパのお城を思わせる校舎が建っていた。
「わぁ!!綺麗・・・それにおっきい・・。」
夢華は感嘆の声を上げた。
「ほとんどの妖精はここを卒業するんだ。一応五年制で、二年までは全員一緒に習う。三年からは自分の得意分野を学ぶんだ。ま、大抵は家系で決まるんだけどな。」
秋美が言った。
「私、妖精の国がすっごく好きになりそう!!」
校舎を見つめていた夢華は満面の笑みを浮かべて言った。その言葉に、秋美、そして周りに居た妖精も満面の笑顔になった。
「さぁそろそろ行こうぜ。」
秋美が歩き出した。夢華はその後を追いかける。
「ねぇ、今から会う大精霊ってどんな人??」
夢華が不安げに言った。
「なんか、見た目はじじい。性格はいい奴だけど、怒ったら半端ないな・・・じじいに見えるのに、力は半端ない。」
秋美が答えた。
「ふぅん・・・」(なんか緊張して来ちゃった・・・)

目の前に、今まで見たことがない大きさのお城が見えてきた。虹を連想させる、様々な色がグラデーションになっていて、まさに異世界を感じさせる。
「ここが、大聖堂。大精霊やら精霊が大量に居る。」
秋美が言った。入り口に近づくと、そこには二人の男の妖精が立っていた。
「あれは門番みたいなもんだ」
秋美が夢華にささやいた。
入口まで来ると、「ちょっとまて。」と一人の門番が言った。
「なんだよう。」
秋美がめんどくさそうに答えた。
「そうふてぶてしい声を出すな。秋美と人間の女の子だな?うわさは聞いている。なかなか姿を見せないから心配したんだぞ。今は大精霊様は会議中だ。三十分ほど、中で待っていろ。先に四季の精霊にあいさつしたらどうだ?今なら部屋に居るはずだから。」
門番が言った。
「わかったよ」
秋美が答えると、二人は中に入った。

そこでは、大勢の精霊が働いていた。なぜ精霊とわかったかは、まず身長が大人のサイズの人が多い。小さい人や、睡蓮のような人も居るが、どことなく雰囲気が違う。大人びているというか、落ち着いている。
「さぁ、四季の精霊の部屋に行くか。」
秋美は進んで行った。
そして一つの部屋の前で止まった。
「ここが四季の精霊の部屋だ。」
「う・・・うん・・・」
夢華は緊張してしょうがなかった。足がなんだか震えている。なんで自分はここに居るんだろう??今更ながら疑問を感じつつ落ち着こうとしていた。
妖精の世界の人で、今まで会った人はみんないい人だ。それに優しい。しかし、やはり偉い人に会うとなると緊張するのだ。
【スゥー・・ハァー】
夢華は深呼吸を2.3回した。
【トントン】
秋美がドアをノックする。
「入りなさい」
すごく優しい、女の人の声がした。
「失礼します」
秋美が入って行く。
「し・・・・失礼します!」
続けて夢華も入った。
部屋に入るとソファがあり、その向こうには机がある。その机をはさんで椅子に座ってるのが、四季の精霊のようだ。
(綺麗・・・・)
夢華は思った。髪は金色で、とても長い。腰くらいはあろうか。そして美人だ。しかし優しそうな顔をしてる。、夢華を見て驚く姿もなく落ち着いてほほえんでいた。
「緊張しなくていいのよ。とりあえずおかけなさい。話は聞いていますよ。」
四季の精霊が言った。
秋美と夢華はそれに従い、ソファに腰掛けた。すると四季の精霊も椅子から立ち上がり歩いてくると、二人と向き合ってソファに座った。
「まずは、あなたの名前を教えてくれるかしら?」
四季の精霊が笑顔で言った。おだやかな、気持ちが暖まる声だ。
「千歳 夢華と申します。」
夢華が答えた。
「堅苦しくなくていいのよ。私の名前は、桜〈さくら〉。元は桜に宿る妖精で、今は四季の妖精をまとめているわ。秋美から聞いてるかしら?あなたを心から歓迎します。どうぞ、この世界でゆっくりしていってくださいね。」
夢華は、不安や緊張が一気に引いて行くのを感じた。桜の力なのだろうか。
夢華の顔は自然とほころんで、少しはにかんでいた。
【トントン】

夢華達がたわいのない話をしていると,ふいにドアを叩く音がした。
「入りなさい」
桜が言った。
「失礼します。」
身長がものすごいがつくほど高く、端正な顔立ちの少年がトレーを手に入ってきた。髪の毛は水色で短髪だ。
「紅茶とお菓子をもって参りました。」
少年が言った。
「あら、ありがとう。」
少年は頷くと、お菓子と紅茶を並べ始めた。夢華は、気のせいかもしれないが自分を見る少年の目が少し冷たい気がした。
「では僕はこれで・・・」
並べ終わると少年は桜に一礼し、部屋を出ていった。
「相変わらず、つんけな奴!!」
秋美が言った。
「あいつもあたいと同期なんだ。なんか気取っる感じで、あたいはあんまし好きじゃねぇ」
秋美は少し機嫌を損ねたようだ。
「これ、秋美、そんなこと言わないの。少し人付き合いが苦手なだけで、あの子は根はとてもいい子よ。」
桜はそう笑顔で言うと夢華に向き合った。
「あの子は、海起〈かいき〉と言って、海の妖精よ。普段は海に居るけど、精霊を目指してるからたまにここで秘書として働いてるの。見た目は不愛想だけどいい子なのよ」
秋美がふんっと鼻を鳴らした。
「妖精って、ずっと花の側や海に居るんですか?」
夢華が聞いた。
「そうね、けど一人がずっと居る訳じゃないわ。同じものに宿るものどうし交代でいるの。いつでも誰かは必ず居るわね。少しの時間居ないこともたまにあるけど。今,仕事を平気でさぼってる秋美のようにね。」
秋美をちらっとみて笑いながら桜が答える。
秋美はまったく気にしていない様子だ。
「夜もですか?」
夢華が続けた。
「えぇ、夜は、陰の妖精。月に使える妖精が居るわ。私や秋美は陽の妖精。太陽に使えてるの。どちらがどうとかはないのよ。時間と使えている神が違うだけ。ぱっと見ただけでは、わからないし・・・性格にもほとんど違いはないわよ。」
桜が紅茶を飲みながら言った。夢華も紅茶を飲んだ。なんて、おいしいの!!夢華は思った。すごく純粋な、水道水と全然違う味がする。たとえて言うなら、わき水を何十倍にも綺麗にした感じだ。
「そういえば秋美、仕事は無事終わったの?」
桜が秋美に言った。
「あぁ、バッチリだ。」
秋美が得意そうに答える。
「それはよかった。帰ってくるのが遅かったから、何かあったのかと心配だったのよ。冬美の事もあるんだから・・・」
桜が真剣な目をして言った。
「・・・あぁ・・・冬美はまだ見つからねーのか?」
「えぇ・・・」
桜がため息混じりに答えた。
「冬美さんって、冬の妖精さんですよね?何かあったんですか?」
机の上のお菓子に手をやりながら夢華が聞いた。
「このあいだ、いきなり居なくなったんだ。買い物に行くとかって出で言ったきり・・・なんかあったのかもしんないけど、情報もない。まぁ、気まぐれな奴だから、そのうちふらっと帰ってくるかもしんないんだけどな。」
秋美が答えた。片手にお菓子、もう片方に紅茶を持っている。
「何事もなければいいのだけど・・・」
桜が窓を見ながら言った。
そして時計に目をやった。
「そろそろ会議も終わるかしら??行ってみたらどう?」
「そうだな」
そう言うと秋美は慌ててお菓子を飲み込み立ち上がった。夢華も続いて立ち上がる。
「また、いつでもいらっしゃい」
桜はそう言って二人を見送った。

二人は再び歩き出した。
「桜さんって、いい人だね。」
夢華が言った。
「だろ?あっ・・・あいつだ。」
二人が進む先には、海起が居た。二人を見て、近づいてくる。秋美はそっぽを向いた。
「君、名前は?」
海起が聞いた。
「夢華・・・」
「そうか、夢華。悪いことは言わない。妖精の世界に長居しない事だ。」
海起が言い放った。
「あぁ?いきなりなんなんだよ。てめぇには関係ねぇだろ!!」
海起の言葉に秋美がいきなり怒鳴った。
「陰の妖精の一部が、最近不穏な動きを見せている。中には陽の妖精の目撃情報もあるがな。理由は・・・秋美、おまえは言わなくても分かるだろ?人間が居たら危ないんだよ。何かあっても責任とれない。」
海起は淡々と秋美に答えている。
夢華はどうしたらいいかわからなかったが、ここは秋美を立てようと考えた。
「・・私は大丈夫です。秋美と離れないようにするし、ずっと居る訳じゃないんで・・・ご心配ありがとうございます。」
夢華はなるべく冷静をよそおった声で言ったが、内心は心臓がバクバクだった。なぜ、人間がいたら危ないの?そう思ったが口にはださなかった。あまりつっこんだ事は聞かない方がいいと思ったのだ。それに海起は秘書をしている。もしかしたら、外部に漏らしてはいけないことを言っているのかもしれないし・・・。
「俺が言いたいのはそれだけだ。」
そう言うと海起は去って行った。

「あいつマジむかつく!!なんなんだよ!!」
大精霊様の元に向かいながら、秋美はずっとぼやいていた。
「けど、桜さんが言うように悪い人には見えなかったけどなぁ・・・」
夢華は、そう言いながら海起がさっき言っていた事を秋美に聞こうか迷っていた。聞いたら間違いなく秋美は答えてくれるだろう。だがなぜだか夢華にはそれを聞くのに抵抗がった。
(・・・私は長く居ないんだし、一回帰ったらもう来れるかもわからないから、今を十分楽しもう・・・)
そう自分に言い聞かせて、秋美には聞かないことにした。
前を見るとひときわ大きな扉がある。大精霊様の部屋のようだ。
【ドンドン!!】
秋美が激しくノックした。まだ、海起に腹が立っているようだ。
「お入り」
老人の声がした。
秋美は無言でドアを乱暴に開けた。その様子を見ながら、大精霊様にこんな態度をとっていいんだろうかと夢華は思った。
「じじぃ!!!!あいつなんとかしろよ!!」
秋美が怒鳴る。
「またおまえは・・・。いいから落ち着け。どうしたんじゃ??あいつとはどいつじゃな」
驚くことに、こんな態度をとられても大精霊は笑顔だ。それに、秋美はじじぃと言ったがとてもじじぃに見えない。若く凛々しい顔に、白くて長いひげがはえたという感じだ。しかしその目は優しさに満ちている。
秋美は興奮が収まらないままにさきほど海起が言った事を話した。
「そうか、まぁあいつはそういう奴じゃろ。だいたい言っておることも言い方が悪いだけであながち間違ってもおらんじゃろ」
大精霊は落ち着き払って言った。
「でもよぉ・・・」
秋美が何か言いかけたが、大精霊はそれを遮った。
「ところで,仕事はどうしたのじゃ??なんならおまえも処罰になるか?」
大精霊はニコニコしながら言った。
「ちっ・・・」
秋美は少し落ち着いたようだ。
「さて、見苦かったのう。そこの女の子、夢華ちゃんとな?かわいそうに初めて会った妖精がこやつでのぅ」
大精霊はさらに笑いながら言った。
夢華はどうしたらいいかわからず、少しほほえんだ。
「さてさて、この町にはいくらおってもかまわんよ。ゆっくりしていきたまえ。しかし約束してほしいことがあるんじゃ」
大精霊は真顔になって言った。
「この世界に居るときは、つねに秋美、または桜に春美、夏美の誰かと行動してくれるかの?あいにくこの世界も最近完璧に安全とは言えなくてのぉ・・・心配はしなくていいんじゃがな」
大精霊は少し笑顔を見せた。
「あの・・・・はい」
夢華は答えた。
「んじゃ、そろそろ行っていいか?早くみんなに会わせたいし」
秋美が言った。
「もうちょっと落ち着けないものかの・・・わしも夢華ちゃんと話したいのに。まぁよい。何かあったらすぐ連絡するんじゃぞ」
大精霊は相変わらず優しい笑顔で答えた。
そして二人は大聖堂を後にした。

「さぁ、あたいらの家に行こうぜ!!」
秋美の機嫌が直ったようだ。二人は元来た道を少し歩き、やがて曲がり道で曲がった。それからしばらく歩いて行くと、4軒の並んだ家が見えてきた。作りは一緒のようだが、屋根の色が一つずつ違う。左からピンク、青、赤、銀色だ。夢華は赤が秋美の家だと思い、それは的中した。
秋美が赤い屋根の家の玄関を開けると突然パーンという音と共に、色とりどりの花吹雪が降ってきた。
夢華はあぜんとして周りを見渡した。すると、ようこそ妖精の国へ。というたれまくが掛かっている。
夢華は嬉しさがこみ上げてくるのを感じていた。
「おい、なんだよこれ。人ん家でなにやってんだよ。」
そう言う秋美の顔も笑っている。
夢華は少し落ち着いて、周囲を見渡してみた。
たれまくを爆発させたのは、睡蓮らしい。
机の上には料理が並び、軽くウェーブがかかってピンクの髪をした(おそらく春美だろう)妖精が椅子に座ってほほえんでいる。ぽわわんとしたイメージがある。
その近くのソファーで、短めの髪を二つにまとめていてその色が青い(おそらく夏美)はくつろいだ様子だ。しかしこちらを見ながら笑っている。いたずら好きそうな、無邪気な笑顔だ。
ほかにも二人、見知らぬ妖精が居た。
一人は夢華と同じくらいで、黒い髪、髪型は夏美と似ている。真面目そうなイメージのある女の子だ。
もう一人も黒い髪をしていた。長さは短い。こちらもおとなしそうで真面目そうだ。二人ともニコニコしている。
秋美が前に立ち、一人一人の紹介を始めた。
「えっと、まず頭がピンクのこいつ。」
「こいつって・・・」
春美が苦笑いでつぶやいたがおかまいなしだ。
「春美だ。春の妖精。なんか見た目はおとなしそうだけど、けっこう天然でしゃべるぞ。たまにわけわかんねぇ。まぁ優しい奴だけどな。」
秋美が言い終わると春美は夢華を見ながら。
「よろしくね」
と笑顔で言った。
「つぎが髪の青い奴。夏美。夏の妖精だ。頭いいぞ。けど・・・・敵に回したくない奴だな。」
「そんなことないわよう」
夏美は笑顔で言った。
「よろしくぅ!!」
そして夢華に笑顔を向けた。
「あと・・・睡蓮はしってるだろ。あ、この二人はあたいらの後輩だ。」
黒髪の女の子二人を指しながら言った。
「今は学校に通ってる。髪が黒い子は、だいたい学生だ。名前は髪が短い方が有樹〈ゆうき〉で、長い方が麻美〈あさみ〉だ。」
「よろしく」
二人が言った。
夢華は、この二人は自分と年齢的に同じくらいな気がした。秋美達はなんとなく上っぽいからだ。
「よろしくお願いします!!」
夢華は満面の笑みで言った。
「んじゃ、自己紹介も終わったところで、女の子だけのパーティーを始めますか!!」
睡蓮が叫んだ。
机の上の料理は、全て見たことのない料理だった。花が多く使われている。どれもこれもおいしかった。
みんなもおもしろい人たちだった。睡蓮は相変わらず飛び回って、色々話しかけてくれる。有樹と麻美の二人も、おとなしそうに見えるが話すととてもいい子で夢華は二人が気に入った。夏美は歌っている。春美と秋美は二人で話をしている。
大騒ぎは夜遅くまで続いた。

「そろそろ終わりにしない?学生の二人は明日学校なんだから。」
段々みんなが疲れてきたところで春美が言った。
「え~もう終わり~??」
睡蓮はブーたれている。まだまだ元気そうだ。
「んじゃ、睡蓮はうちにおいでよ。夜は危ないから。」
夏美が言った。
「うん、そうする~」
みんなにおやすみを言うと、睡蓮と夏美は帰って行った。
「有樹と麻美はうちにおいで。」
春美が優しく言った。
「はい、そうします」
麻美が答えた。
「じゃあ失礼します。夢ちゃん、バイバイ」
麻美が秋美と夢華にあいさつすると、三人も帰っていった。
あっという間のできごとだった。

「うるさかったか?」
秋美が夢華に聞いた。
「そんなことないよ!!とっても楽しかった!!みんな大好きになっちゃった!」
夢華は心からそう答えた。
「そっか、んじゃ今夜はもう寝るか。夢の分の布団敷くから。」
秋美はそう言って、自分のベットの横に布団を敷いた。
「明日は、どうしようか・・・う~ん」
ベットに入った秋美は、ぶつぶつとつぶやいている。
夢華も布団ので考えていた。妖精の世界での一日は、自分の世界での約一分だ。ということは、一週間居たとしても自分の世界では七分しかたたないことになる。
(まぁそのくらいか。けどなんか複雑・・・)
夢華は思った。その後なかなか寝付けなかった夢華は様々な事を考えていた。
                                                
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