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龍神様はチョコレートがお好き

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戦~繰り返される、歴史~

 次の日から、俺は、学校に、復帰した。
 普段は、教室で、皆の声を、聞かないように、していたけれど、嫌でも、耳に入ってきた、噂が、あった。
 人気の占い師が、突然、姿を消していて、本当に、そんな占い師が、いたのか、都市伝説じゃないのか、名刺が残っているから、本物のはずだ・・・・・。
 クラスの中では、MAKOTOの話題が、多く聞こえた。
 MAKOTOは、姿を、消したのか・・・・。
 一体、どこへ?
 今もまだ、星蘭町の、どこかに、潜んでいるのだろうか。
 次の策を、練っているのだろうか。
 授業が始まっても、俺は、考えていた。
 あれから、一度も、父親と、連絡を、とっていない。
 まだ、父親について、どう考えればいいか、分からなった。
 もし、母親の言う通りに、星蘭町に、逃げてきていたら、どうなっていたんだろう。
 今もまだ、母親は、俺の傍に、居てくれただろうか。
 ・・・。
 絵里さんとの、会話を、思い出す。
 俺自身を、信じる・・・か。

???
「準備の方は、どうなっていますか。」
 MAKOTOが、電話をしている。
「そうですか・・・。こちらの準備は、できています。えぇ、いつでも。」
 MAKOTOが、笑う。
「それで、どのくらいの戦力が、集まりそうですか?・・・なるほど。それならば、いいでしょう。」
 うなずく、MAKOTO。
 電話が、置かれた。
「さぁ、せっかく、ここまで育てた、お殿様の、魂よ。楽しみに、していてください。あなたの、魂によって、目に見えず、この世界は、変わっていきます。気が付いた時には、我らが、組織が、この世界の、中心と、なっているでしょう。」
 MAKOTOが、満足そうに、つぶやいた。

 俺は、初めて、明さんと、幸多さんに連れられて、篤森山に、入っていた。
 小さな川、大きな岩、沢山の木々、足元の、花。
 凄く、綺麗だ・・・・。
 そこから、何かが、俺に、流れ込んでくる、気がする。
 とても、暖かくて、心地よい、何かが・・・。
「じゃあ、私たち、修行するから、あんたは、そこらへんに、座ってて。黙って、どっかに、行かないでよ。」
 そっけなく、明さんが、言った。
「あ、はい・・・。」
 俺は、慌てて、うなずいた。
 明さんと、幸多さんが、修行を、始める。
 二人の姿は、見えない。
 それくらい、早いスピードで、木々を使って、移動しているのだ。
「ポー。ポー。」
 ポーの機嫌が、とても良い。
 そっか、ポーの故郷は、きっと、この山だもんな。
 じゃあ、ポーの、親の龍とか、いるのかな?
 俺は、周りを、見渡してみた。
 だけど、風が、ざわざわと、揺れているだけだった。
「ポーー。」
 俺のポケットに、降りてきて、チョコレートを、せがむ、ポー。
 一粒、ポーに、食べさせる。
「ポポポー!」
 ポーが、嬉しそうに、俺の肩を、走り回る。
 そういえば・・・。
 ポーは、いつも、俺を、守ろうとしてくれていた。
 だけど、MAKOTOには、なんの関心も、示さなかった。
 俺は、自分も、騙されたことを、思い出した。
 ポーでも、騙されることが、あるんだな・・・。
 俺は、ポーを、撫でた。
 嬉しそうに、身を任せる、ポー。
 穏やかな、時間が、過ぎて行った。

 それから数日。
 俺は、嘘のように、穏やかな日々を、過ごしていた。
 感情を、爆発させた、あの日から、学校でも、あまり、萎縮しなくなった。
 だって、絵里さんが、傍にいてくれるって、信じていたし、明さん達が、守ってくれるって、信じてたから。
 だけど、俺自身を、信じるっているのは、正直、よく、分からなかった。
「明さん、今日は、生徒会の集まりですわよ。覚えていますか。」
 絵里さんが、明さんに、聞いている。
「あ。あー・・・うん。覚えてる、覚えてる。」
 明さんが、答える。
「やっぱり、忘れていたんですね。」
 絵里さんは、クスクスと笑うと、俺を見た。
「優矢さん、今日は、私たち、放課後、生徒会の、集まりがあるのです。車で、待っていますか?もしかしたら、暗くなるかも、しれません。美桜さんや、達成さんに、送ってもらいもすか?」
 少し、心配そうに、絵里さんが、言った。
「大丈夫。車で、礼さんと、待ってるよ。」
 俺は、絵里さんに、笑顔で、うなずいた。

 放課後、俺は、リムジンの中で、宿題をしていた。
 そんな、俺に、礼さんが、ハーブティーを、出してくれる。
 しばらく、集中していたら、車の、ドアが開いた。
「お待たせしました。優矢さん。」
 絵里さんと、明さん、幸多さんが、乗り込んできた。
 外から、夕日が、差し込んでくる。
 いつものように、車が走る。

「あら・・・雨ですわ。おかしいですわね、しばらく、雲一つない、快晴のはずでしたのに。」
 絵里さんが、外を見ながら、言った。
 雨音は、段々と、大きくなる。
 その時。
 ゾワリと、背中に、寒気が、走った。
 風邪かな?
 一瞬、そう思ったけれど、皆の顔を見て、俺は、何かが、起きているんだと、感じた。
 明さんと、幸多さんは、警戒するように、険しい目になっているし、絵里さんは、いつの間にか、俺の隣に、寄って来ていて、俺たち二人の傍に、礼さんが、立っている。
「ポー!ポー!」
 ポーが、叫びながら、机の上を、走り回っている。
 怒っている様子ではなく、何か、焦っているようだ。
 俺は、ポーを、抱き上げた。
 一体、どうしたんだ?
 そう思って、外を見た俺は、驚いた。
 まるで、真夜中のように、真っ暗だったのだ。
 それに、人一人、歩いていない。
「明さん、これは・・・・。」
 絵里さんが、真剣に、聞いた。
「魂取りが、空間分離をしたこと、覚えてる?あれと、似てる。」
「この、車を、ですか?」
 明さんが、首を、横に振る。
「・・・星蘭町、全体を、かな。」
 絵里さんが、息を呑んだ。
「では、町の人達は、どこへ・・・。」
「分からない。だけど、緊急事態だね。とにかく、光龍神社を、目指そう。結界の中に、入れば、何か、分かるはず。」
 明さんの言葉に、絵里さんが、うなずいた。
 しばらく、誰も、しゃべらなかった。
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ。」
 地の底から、響くような声に、俺は、驚いた。
 何だ?恐怖で、体が、固まる。
 絵里さんも、怖そうに、している。
 俺は、いつも、絵里さんが、してくれるように、絵里さんの、手をとった。
「皆さま、どうやら、車が、何体もの、巨大な、陰のあやかしに、追いかけられているようです。」
 礼さんが、冷静に言った。
 なんだって!?
 なんで、いきなり、そんなことに!?
 そう、思った瞬間、車が、ハンドルを切った。
 体が、傾く。
「申し訳ありません。前方にも、あやかしが。」
「・・・光龍神社に、戻れないようね。礼、緊急で、皆を、学校に、集めるよ。」
 明さんが、礼さんに、言った。
 礼さんが、うなずいた瞬間、車が、スピードを、上げる。
 明さんは、窓を、少し開けると、胸にある飾りを、外に、かざした。
 光が、飛び出していく。
「どうやら、キラ研が、攻めてきたようね。」
 明さんの言葉に、俺は、言葉を、失った。
「このまま、星蘭町を、一周して、学校に、飛び込みます。緊急事態の、走り方なのです。各神社が、守護する場所を、全力で、走ります。そうすれば、皆さんに、必ず、異変が、伝わります。学校が、集合場所なのです。」
 絵里さんが、説明してくれる。
 俺たちは、いつの間にか、強く、手を握り合っていた。
 外から、沢山の、うなる声が、聞こえる。
 何度も、ハンドルが切られて、俺たちは、学校を、目指した。
 俺は、唐突に、あの、絵本のことを、思い出した。
 前世と、同じことが、起こっているのか・・・?
 学校が、見えた。
 車は、スピードを緩めず、学校の敷地に、飛び込んだ。
 そのまま、校庭で、停車する。

 降りるように、明さんが、促した。
 俺は、絵里さんと、手を握ったまま、車から、降りた。
「なんだ・・・これ・・・・・。」
 学校の周りを、黒くて、大きな、あやかし達が、取り囲んでいた。
 修行で、見るものよりも、大きくて、怖い。
「我、龍神の加護を、受けるものなり。その加護をもって、ここに、その眼を開眼し、この手に、守りを与えたまえ。龍神眼、開眼!」
「我、龍神の加護を受け、龍神の姫を、守るものなり。その使命をもって、ここに、その眼を開眼し、この手に、守りを与えたまえ。龍神眼、開眼!」
 明さんと、幸多さんが、同時に、叫んだ。
 二人の、目の色が変わり、武器を持つ。
「二人とも、車の傍から、離れないで!礼、二人に、危機が迫ったら、人型を開放して、二人を、守りなさい。」
 明さんが、冷静に、指示を出す。
 あやかしは、結界が、邪魔をして、中に、入れないようだ。
「破られるのも、時間の問題ね。」
 明さんが、言った。
 どうしよう・・・怖い・・・・・。
 俺は、絵里さんの手を、ギュッと握った。
 すると、絵里さんが、同じように、手を、握り返してくれた。
「うがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
 恐ろしい、声と共に、結界が、破られた。
 礼さんが、すぐさま、俺と、絵里さんの、前に立った。俺達二人の周りを、守るように、光の、結界ができる。
「必ず、どこかに、術者がいるはず。そいつを、潰さなきゃ、どうしようもない。」
 明さんが、幸多さんに、言った。
「あぁ。だけど、こいつらを、無視するわけにも、いかない。」
 明さんが、うなずいた。
 俺たちの方を、明さんが、振り返った。
 明さんは、笑っていた。
「絵里さん、この戦いが終わったら、思いっきり、高くて、美味しいもの、食べさせてよ。」
 明さんの言葉に、絵里さんが、微笑んだ。
「えぇ。約束しますわ。」
 絵里さんの言葉に、うなずくと、明さんと、幸多さんは、結界を破った、あやかしに向かって、走り出した。
「我、龍神の加護を、受ける者なり。龍神よ。どうか、清い魂を、守る力を、与えたまえ。」
 明さんの、槍が、黄色く光る。
 幸多さんの刀も、黄色く、光っている。
 二人は、あやかしに、飛びかかった。
 二体のあやかしが、一刀両断される。
 だけど、数が、多すぎる。
 それに、皆も、何か、あったのかもしれない。
 本当に、ここに、集まれるのか・・・?
「ポーーーーーーーー!」
 ポーが、礼さんの隣に飛ぶと、前よりも大きくて、強い、火を噴いた。
 俺を、守ろうと、してくれてるんだ・・・。
 あんなに、小さい体で・・・。
 そうだ。俺は、信じなきゃいけなんだ。
 必ず、皆、集まってくる。

「久しぶりですね。お殿様、お姫様。」
 MAKOTOの、声がした。
「MAKOTO・・・!?」
 俺は、思わず、叫んだ。
 あやかしが、壊した、結界の狭間から、MAKOTOと、白衣を着た、数人が、学校に、入ってきた。
 明さんと、幸多さんが、瞬時に、俺たちの前に、立った。
「こんばんは、皆さま。お殿様の魂を、頂きに、参りました。」
 MAKOTOが、笑顔で、礼をする。
 白衣を着た人たちが、俺に、手を向ける。 
「我、龍神の加護を、受けるものなり。龍神よ。この手にある、輝きを、守るために、壁を、作りたまえ。」
「我、龍神の加護を、受けるものなり。龍神よ。我らが、巫女姫を、守るために、強固な、壁を、つくりたまえ。」
 明さんと、幸多さんの、武器が光る。
 それを、振りかざす、二人。
 白衣を着た人たちが、放った何かが、明さん達の作った壁で、跳ね返る。
 散り散りになる、白衣を着た人たち。
「さすが、守護をする者。しかし、我らが、組織は、負けませんよ。」
 MAKOTOが、笑う。
 この人たちは、全員、キラ研の、人間か・・・!
 あやかしが、俺たちを、襲ってくる。
 どうしよう・・・八方ふさがりだ・・・!!

「我、鬼神の加護を、受けるものなり。封印されし、鬼神の力よ。我に、力を、貸したまえ!」
「我、犬神の加護を、受けるものなり。誇り高き、犬神よ。我に力を、与えたまえ。」
 志乃さんと、達成さんの、声が、響いた。
 それと同時に、あやかし達に、お札が、降り注ぐ。
 あやかしの、動きが、止まった。
 青い光が、あやかしを、切った。
 早いスピードで、数体のあやかしが、青い光に、切られる。
「お待たせ!」
「よう。大変なことに、なってんな。」
 志乃さんと、達成さんが、明さんと、幸多さんの、隣に、着地した。
「あやかしは、俺らに、任せろ。明と、幸多は、能力者たちを、頼む!」
 達成さんが、言った。
「成二と、美桜も、もう来るはずよ!一気に、決めましょう!」
 志乃さんも、叫んだ。
「分かった!」
 明さんは、そう答えると、キラ研の、人達に向けて、攻撃を放つ。
 幸多さんも、それに、続く。 
 志乃さんと、達成さんは、あやかしに、向かって行った。
 俺と、絵里さんは、黙って、見守る。
「我、稲荷の加護を、受けるものなり。稲荷よ。その力をもって、あやかしを、翻弄したまえ!」
 成二さんの、声が、響いた。
 あちこちで、光が、輝いた。
 あやかしが、その光に、向かう。
 成二さんの、陽動だ・・・。
「我、縁結びの、桜の加護を、受けるものなり。桜よ。ここに、悪しき縁を、断ち切るために、我に力を、与えたまえ!」
 美桜さんの、声。
 同時に、何本ものツルが、キラ研の人達に、巻き付いた。
「明ぅ、今ですぅ!!」
 美桜さんが、明さんに向けて、叫ぶ。
 皆・・・!!
 明さんと、幸多さんが、動けなくなっている、キラ研の人に、攻撃する。
 形勢逆転だ・・・!
 MAKOTOの、顔が、怒りで、歪む。
「ガキのくせに、生意気な・・・。ですが、我々は、何百年もにもわたって、不思議な魂の、研究をしてきたのです。そのくらい、何ともありませんよ。」
 明さんと、幸多さんの、顔が、険しくなった。
 白衣を着た人たちは、不思議な壁で、守られていた。
 そのうちの、一人が、腕を、振った。
 皆が、倒して、数が、少なくなっていたはずの、あやかし達が、また、一斉に、増えた。
「引いたら駄目!あやかし達を、絶対に、近づけさせないわよ!」
 志乃さんの、声が、響く。
 倒しても、倒しても、出現する、あやかし。
 それに、攻撃を繰り返してくる、キラ研の、能力者達。
 明さんと、幸多さんは、素早く、よけて、攻撃を、跳ね返す。
「うがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
 後ろから、あやかしの、恐ろしい、声が、響いた。
 振り向いた時には、巨大な、あやかしが、俺たちの前に、せまっていた・・・!
 礼さんが、光ったと、思ったら、礼さんの、姿が、変わった。
 大きな、狼男のような、姿になる、礼さん。
 腕を振って、あやかしを、押し返す。
 その時、達成さんの、青い光が、あやかしを、切った。
「これは、やばいな。」
 俺達の前に、着地した、達成さんが、言った。
「倒しても、倒しても、出てきやがる。早く、術者を、なんとかしないと、体力が、もたない。だけど、奴らも、能力者集団。・・・まぁ、やるしか、ないか。」
 そう言うと、達成さんは、また、あやかしに、向かって行く。
 キラ研の、能力者たちが、集中して、明さんと、幸多さんを、狙う。
 不気味な術を、使って、二人が、攻撃される。
 すぐに、体制を、立て直す、二人。
 一人を、倒そうとしても、別の術者が、ガードしていて、どう見ても、明さんと、幸多さんが、不利に、なってしまった。
「我、稲荷の加護を、受けるものなり。稲荷よ。我らの敵に、光を、与えたまえ!」
 成二さんの、声が、聞こえた瞬間、能力者たちの、目の前が、光に、包まれた。
 明さんと、幸多さんが、突っ込んでいく。
 戦う、音と、光だけが、交錯する。
「さて、そろそろ、終わらせましょうか。」
 MAKOTOが、静かに、笑いながら、言った。
 そして、何かを、合図する。
 その途端、あちこちで、爆発音が、響いた。
 そして、俺は、息を呑んだ。

 明さん達・・・皆が、傷だらけで、倒れていたのだ。

 一番に、明さんと、幸多さんが、立ち上がる。
 志乃さん達も、なんとか、立ち上がった。
 だけど、そこからは、一方的に、皆、攻撃を受けていた。
 だけど、誰も、引かない。
 志乃さんの、お札が、舞う。
 しかし、キラ研の、術者が、何か、唱えると、お札が、燃えた。
 美桜さんの、ツルも、燃やされている。
 達成さんは、休むことなく、あやかしに、向かう。
 成二さんは、俺たちに、あやかしが近づかないように、陽動を、続けていた。
 そんな四人を、キラ研の、術者が、襲う。
 明さん達が、間に、入ろうとしたけれど、別の術者に、阻まれる。
「きゃぁぁぁぁ!」
 志乃さんの、悲鳴が、聞こえた。
「志乃ぉ!いやぁぁぁぁ!!」
 続けざまに、美桜さんの、叫び声。
 二人が、倒れた。
 達成さんが、すぐに、二人を抱えて、飛んだ。
 俺たちの元に、着地すると、礼さんの、結界の中に、二人を、寝かせる。
 二人とも、ぐったり、していた。
 達成さんは、何も言わず、また、走り出す。
 一人の、術者が、明さんの、手によって、倒れた。
 もう一人、幸多さんの、手によって、倒れる。
 だけど、あやかしの数は、一向に、減らない。
 パーンと、何かが、弾ける、音がした。
 目を凝らして見ると、成二さんの、武器が、爆発するように、破壊されていた。
「・・・・っ!!」
 成二さんが、膝を、ついている。
 それと同時に、達成さんが、攻撃されて、宙を舞う、姿が見えた。
 皆・・・・!! 
 明さんが、術者に、吹き飛ばされる。
 幸多さんが、すぐに、後ろにまわって、明さんを、キャッチする。
 こんなの・・・こんなの、勝てるはずない・・・。
 皆が、皆が・・・。
「もう、やめてくれ!俺の魂さえ、手に入れば、いいんだろう!?」
 俺は、思わず、叫んだ。
「ほう。お母様と、同じようなことを、言いますね。勿論、あなたの魂は、必ず、頂きます。ですが、ここの、守護する者達の、魂も、お姫様の、魂も、全て、頂きます。」
 MAKOTOが、高笑いをしながら、叫ぶ。
 そんな・・・・。
 ついに、幸多さんも、明さんを、かばって、攻撃を、受けた。
 もう・・・もう、駄目だ・・・・・。
 俺は、目をつぶった。
 ドーンと、大きな、音がする。

「な、なんだ・・・・!?」
 MAKOTOの、驚く声に、俺は、目を開けた。
 校庭の、真ん中に、二人の、人が、立っていた。
 ・・・・師範!!明さんのおじいさん・・・・!!
「やれやれ、派手に、やられているな。」
 明さんのおじいさんが、明さんと、同じ、武器を振る。
 あやかし達が、何体も、一気に、光の中に、消える。
「いくぞ。武志。我らが、孫を。この町を、守るために。」
「あぁ。」
 二人が、武器を振ると、緑色の、光が、明さん、幸多さん、志乃さん、美桜さん、達成さん、成二さんを、包んだ。
 皆、次々と、立ち上がる。
 志乃さんと、美桜さんも、立ち上がった。
 そして、二人で、顔を見合わすと、また、戦いに、戻っていく。
「おじいさま!!」
 明さんが、叫んだ。
「明、とにかく、術者を、倒しなさい!」
「はい!!」
 明さんが、気合いを、入れなおしたように、術者に、向かって行く。
 幸多さんも、それに、続く。
 だけど・・・。
 MAKOTOの合図で、また、強い力が、あちこちから、放たれた。
 皆が、傷ついて、いく・・・・。
「お分りでしょう。私たちには、勝てないと。」
 MAKOTOが、笑う。
 皆、立っていることも、やっとのようだった。
 師範と、明さんのおじいさんの、おかげで、あやかしは、数を、減らしているけれど、また、増える。
 後ろから、礼さんが、術者に、攻撃を受けた。
 礼さんが、倒れる。
「礼!!」
 絵里さんが、叫ぶと同時に、俺たちを守っていた、光の結界が、消えた。
「ポポポーーーーー!!」
 ポーが、光輝きながら、術者に、向かって行く。
「ポー!駄目だ!」
 思わず、叫んだ。
 術者は、ニヤリと笑うと、ポーと、俺たちに、攻撃する。
 俺は、とっさに、絵里さんの肩を抱いて、屈んだ。
「絵里さん、優矢さん!!」
 志乃さんの、声。
 俺は、顔だけ上げた。
 明さんが、ボロボロになりながら、立ち上がった。
「・・・・私は・・・・決めたの・・・・。今度こそ・・・大好きな・・・皆を・・・守るって・・・絶対に!!」
 明さんが、叫んだ。
 その瞬間、明さんの、体が、黄色に、包まれる。
「明・・・!!やめなさい!!」
 明さんのおじいさんが、叫んだ。 
「明、やめろ!!」
 幸多さんも、戦いながら、叫んだ。
「明さん!!やめてください!!」
 隣で、絵里さんが、泣きながら、叫んだ。
絵里さんが、俺に、抱き着く。
「どうしましょう!!明さんは、禁術を、使うつもりです!昔の、歴史のように、命と、引き換えに!!」
 絵里さんが、泣き叫びながら、俺を見た。
 幸多さんが、止めようとするけれど、幸多さんも、術者に、囲まれている。
 そんな・・・そんなの、駄目だ・・・!!
「我、龍神の加護を、受けるものなり・・・・・!」
 明さんの、声が、響く。
 俺は、何も考えず、走り出していた。
「あ・・・優矢さん!!」
 後ろで、絵里さんの、叫ぶ声がする。
 俺は、明さんに、飛びついた。
「明さん!!駄目だ!!明さんが、皆を、大切なように、俺達、皆も、明さんが、大切なんだから!!」
 俺は、そう叫びながら、明さんと、倒れる。
 明さんを、取り囲む、光が、消えた。
 安心したと同時に、俺は、意識を、失った。
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