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龍神様はチョコレートがお好き

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真実~奪われる魂~

 明の部屋
「どうだ、調子は?」
 幸多が、布団で、寝ている明の、傍に座った。
「うん。もう、大丈夫だよ。」
 明が、微笑んだ。
「ねぇ・・・。幸多。もしも・・・。もしもだけど、私が、この町を捨てて、外の世界で、平和に、生きたい。そう、言ったら、どうする?」
「高校卒業まで、待ってくれ。今の学校を、卒業したら、外の世界で、普通に就職して、明の幸せを、手に入れるから。」
「もしも、だよ。」
 そう言いながら、明が、起き上がった。
「あ、おい、起きて、大丈夫か?」
 心配する幸多に、明は、両手を、伸ばした。
 それを見て、幸多は、座ったまま、明を、抱きしめる。
「ありがとう。幸多。幸多が、何があっても、味方だって、分かってるから、私、頑張れる。そう、思うんだ。前世でも、そうだった。」
「・・・・・・・。」
 明の言葉に、無言で、手に、力を込めて、答える、幸多。
 二人は、しばらく、そうしていた。
「あ、そうだ・・・あのね、成二がね・・・。」
 明が、幸多に、真剣な顔で、成二が、優矢に、言ったことを、言った。
「・・・。ふざけてるんなら、やりすぎだな。だけど、あいつなりの、考えが、あるんだろう。MAKOTOが、優矢の父親のことを、知っているのは、おかしいだろ。占いで、出たと言われたら、それまでだけど。」
「うん。だからね、話し合いの前に、成二と、話をしておこうと、思って。」
 明は、携帯電話を手に取ると、ダイヤルを押して、幸多にも、聞こえるように、スピーカーにした。
「もしもーし。成二でーす。」
「成二、どういうことよ。」
 明が、いつもの、不機嫌な声で、言った。
「えー?なにがー?それより、大丈夫ー?志乃が、倒れるんじゃないかってレベルで、心配してたよー。達成と、美桜もー。」
「大丈夫よ。心配、ありがとう。それより、優矢の、父親が、母親のことで、永久追放されたこと、なんで、言ったのよ。」
 少し、怒ったように、明が、言った。
「だってー。おかしいと、思ったからー。」
「おかしい?」
「ただ、父親との、不仲を、指摘されただけで、お殿様が、あんなに、考え込むわけ、ないと、思ってさー。」
「・・・・・。」
「明も、おかしいと、思うでしょー?だから、もしかしたら、お殿様を通じて、MAKOTOが、何かの、本性を、表すんじゃないかと、思ってさー。」
 いつもの調子で、成二が、言う。
「・・・優矢を、利用しようとしてる、ってこと?」
「おとりって、言ってよー。まぁ、だけど、そうだよー。」
「・・・優矢の、気持ちは、どうするのよ。」
「そっけないくせに、優しいよねー。明って。俺はさー、相伝神社を、継ぐって、決めたときに、決めたんだー。星蘭町の、繁栄を、必ず、守っていくって。そのためにはさー、悪役に、なってもいいってさー。」
「・・・・。」
「お殿様の、両親のこと、俺達から、話題に出せないしー。でも、向こうから、聞いてきたら、答えてあげれば、いいじゃん?だから、一種の、賭けだよー。師範にも、志乃たちにも、問い詰められたからさー。同じように、答えたよー。」
「・・・もし・・・優矢の、負の感情が、爆発したら・・・・。それに、魂を、狙われるかもしれない。」
 明が、納得できないように、言った。
「・・・早かれ、遅かれ、知ることになるんだよー。お殿様が、暴走したら、皆で、実力行使だよー。それに、情報を得るには、それしか、ないじゃーん。それにさー。もっと、お殿様を、信じなよー。」
「・・・成二の、考えは、分かった。協力も、する。だけど、賛成は、しない。」
 明が、ゆっくりと、言った。
「分かったー。それで十分だよー。じゃあねー。夕方まで、ゆっくり、休みなよー。大事な、巫女姫様ー。幸多に、よろしくー。」
 電話が、切れた。
 明が、無言で、幸多を、見た。
 幸多は、黙って、うなずいた。

 朝、明さんは、広間に、来なかった。だけど、もう、自分の部屋で休んでいるって、聞いたから、俺は、少し、安心していた。
 だけど・・・。
 父親の、永久追放と、母親のことで、隠し事がある。
 そのことが、一晩経っても、頭から、離れなかった。
 俺は、じっと、名刺を、見つめていた。
 今日は、電話相談を、受け付けている。
 お金なら、ここに来て、父親からの仕送りを、ほとんど、使っていないから、足りるはずだ。
 でも・・・やっぱり、師範か、明さんのおじいさんに・・・それか、明さんか、成二さんに、聞いた方が、いいのかな・・・。
 何度も、何度も、同じことを、繰り返し、考える。
 MAKOTOさんは、幸せに導くと、言った。それを、信じたかった。
 それに、ポーだって、怒ったように、反応しなかった。
 ポーが、俺の肩で、幸せそうに、眠っている。
 俺は、ついに、名刺に書いてある、電話番号を、携帯電話に、打ち込んだ。
「はい、お電話、ありがとうございます。占い館・MAKOTOの、MAKOTOです。」
「あ・・・あの・・・・・昨日、え・・・白川さんと、鑑定をしてもらった、中山優矢です。」
「中山様。昨日は、どうもありがとうございます。何か、お悩みですか?」
「あの・・・父親と、母親のことで・・・。」
「・・・カードを引いてみます。・・・ふむ、中山様、お父様と、衝突されたのでは、ないですか?」
「はい・・・その通りです・・・。」
「それで、真実が、知りたいと?」
「・・・はい。」
「それが、あなたを、苦しめることに、なってもですか?」
「・・・・はい。」
「では、一度、ゆっくり話せる場所で、お話ししましょう。」
「え・・・いいんですか?」
「はい。依頼者を、幸せに導くのが、占い師の、役目ですから。それに、私は、個人的に、あなたと、話がしたいのです。」
 俺は、MAKOTOさんと、会う約束をした。
「このことは、くれぐれも、ご内密に、お願いします。」
 MAKOTOさんに、そう言われて、俺は、約束した。
 心のどこかで、明さん達に、言わないといけないと、分かっていたけれど、真実を知りたい気持ちの方が、勝っていた。

 夕方、広間に、皆が、集まった。
 俺は、いつもの場所に座って、下を、向いていた。
「優矢さん。体調が、すぐれないのですか。」
 絵里さんが、俺を、気遣ってくれた。
「・・・そんなことないよ。大丈夫。」
 俺は、必死で、少し笑って、答えた。
「では、話し合いを、始める。」
 師範の声が、響いた。
「占い館で、気になったこと、思ったこと、呪いの波動との、関係のこと・・・何でも良い。感じたことを、言っておくれ。」
 明さんのおじいさんが、言った。
「なんだか、変な、波動じゃなかった?」
 志乃さんが、言った。
「分かりますぅ。呪いをかけた人の、波動ではないのに、どこか・・・似ているというかぁ・・・。でもぉ、縁を繋いだ、波動を考えたらぁ、別人なんですぅ。」
 美桜さんが、答える。
「そうだな。それに、言ってることも、もっともなこと、言ってたな。」
 達成さんが、腕を組んで、そっけなく、言った。
「明、一番は、あなたの意見よ。占い館で、何をされたの?」
 志乃さんが、心配するように、言った。
「・・・分からない。今までに、感じたことのない、そんな、感覚だったから。自分の奥から、何かを、引き出されるような・・・。」
 明さんは、いつもの、不機嫌な声だけど、少し、元気がないように、感じる。
 まだ、体調が、悪いのだろうか。
「私は、家で、仕事をした方が良いと、言われましたわ。・・・私には、まるで、皆さんから、離れた方がいいと、遠回しに、言っているように、思いました。」
 絵里さんが、明さんを、心配そうに、見ながら、言った。
「念を、受け取っての、占いの仕方じゃ、なかったねー。俺たちの、思念が、何か、されているようには、感じなかったしー。」
 成二さんは、いつものように、楽しそうだ。
「だけど、何か、強い能力を持っているのは、間違いないわ。それが、今回の、呪いのこととか、キラ研との繋がりとかは、全く、分からないけれど・・・。」
 志乃さんが、言った。
「それにぃ、おかしいんですぅ。私が、繋いだ縁が、消えているのですぅ。」
 美桜さんが、悲しそうに、言った。
「それって、呪いをかけた奴は、もう、この町には、居ないってこと?」
 明さんが、聞いた。
「分かりませぇん・・・。本来、一度繋いだ縁は、そう簡単に、消えないはずなのですぅ。私の所のような、縁を生業とする場所で、縁切りをするか、縁を繋いだ、相手の方が、亡くならない限りはぁ・・・。」
 美桜さんが、必死な声で、言った。
「それって、呪いをかけた奴は、この短期間で、死んでいる可能性が、あるってことなのか?」
 達成さんが、少し怖い声で、言った。
「それも・・・否定は、できないですぅ。でも、能力者であれば、自分で、縁切りを、行った可能性もあるのですぅ。だけど、無理矢理、縁を切られたら、必ず、何か、感じるはずだと、思うんですぅ。」
 美桜さんが、一生懸命、説明する。
 皆が、黙った。
 しばらく経っても、答えは、でなかった。
 皆、何も分からないことに、イライラしているようだ。
 場の空気が、そう物語っていた。
 ただ、ポーだけが、不思議そうに、机の上を、走り回っていた。

 結局、新しい、確実な収穫はないまま、今日の話し合いは、終わった。
 皆を、外まで、見送る。
「優矢さん、ちょっと、いいですか?」
 絵里さんが、そう言うと、俺の腕をつかんで、無理矢理、皆と、少し離れた場所に、連れていく。
「一体、どうされたのですか?」
「・・・え?」
「私の目は、誤魔化せませんよ。今日の優矢さんは、いつもと、違います。何かあったのなら、言ってください。」
 絵里さんが、少し、強い口調で、だけど、優しい目で、俺を見て、言った。
 俺は、心が揺らいだ。
 絵里さんに、全てを、話したくなった。
 だけど・・・。MAKOTOさんから、内密にと、言われている。
「なんでも・・・ないよ。ただ、父親と、少し・・・。喧嘩した、だけだよ。」
 俺は、絵里さんに、そう言った。
「それなら、良いのですが・・・。」
 絵里さんは、それ以上、追及してこなかった。
 だけど、皆の所に、戻る直前、
「優矢さん、私を、明さんを、みなさんを、信じてくださいね。」
 絵里さんが、そう言った。
 俺は、何も、答えられなかった。

 次の日の放課後、俺は、光龍神社の、近くの喫茶店で、MAKOTOさんと、向き合って、座っていた。
 明さん達には、買い物に行くと言って、ここに来た。
 ポーを、連れてきたら、真剣な話を、集中して、できないかもしれないから、ポーが、寝ている隙に、俺の部屋の、俺の布団に、寝かせてきた。
 MAKOTOさんに、会った時、ポーは、怒らなかった。だから、信じて、いいはずなんだ。
 俺は、自分に、言い聞かせた。
 MAKOTOさんは、優しく、笑っている。
「さて、単刀直入に、お話しを、しましょうか。」
MAKOTOさんの言葉に、黙って、うなずいた。
「私は、中山様の、お父様と、お母様のことを、存じ上げています。星蘭町の外で、ご縁が、あったのです。なので、中山様のことも、存じ上げていました。」
「えっ・・・・。」
 俺は、息を呑んだ。
 MAKOTOさんは、続けた。
「中山様が、今、星蘭町に、居るということは、ご存じなのでしょう?この世には、不思議な魂を求めて、それを研究し、この世界に、多大なる、影響を、与えようとしている、組織がいることを。」
 キラ研のことだ・・・。
 俺は、黙って、うなずいた。
「実は、私は、その組織から、狙われていました。勿論、今でも。その為、一番安全な場所・・・。この、星蘭町に、やってきました。そもそも、能力とは、人の為に使うもの。自分の、私利私欲の為に、使うものでは、ないのです。」
 俺は、ずっと黙って、MAKOTOさんの、話を聞いた。
「中山様の、お母様も、とても強い、能力者でした。そして、あなたも・・・。ですが、お父様は、星蘭町の出身にしては、珍しく、そういった、不思議な能力を、否定する方だったのです。」
 俺は、驚いた。母親も、能力者だった・・・?
 そうか、だから、いつも、俺の話を、信じてくれたんだ。
「そして、私たちは、その、魂を、研究する組織に、狙われました。中山様のお母様は、星蘭町に、逃げようと、お父様に、提案しました。ですが、お父様は、信じませんでした。科学で、解明されていない力なんかで、この世界に、影響を及ぼせるはずなんて、ないと・・・。」
 俺は、うなずいた。そして、続きを待つ。
「そして、組織は、お父様に、接触しました。巧みな言葉を使い、お父様の考え方を、肯定しているかのように。自分たちは、知識欲で、研究をしている。危険は、ない。そう、お父様に、吹き込んだのです。」
「父親は・・・それを、信じたのですか?」
 俺の言葉に、MAKOTOさんが、うなずいた。
「組織は、言いました。お礼に、大金を支払うから、一番、珍しい魂を・・・。中山優矢様・・・あなたの、魂を、研究させて欲しいと。」
 俺は、絶句した。
 父親のせいで、俺は、そんな危険に、さらされていたのか・・・?
「お父様は、承諾したのです。ですが、お母様は、魂を取られるということが、どういうことか、分かっていました。そして・・・。自ら、組織と、接触しました。交渉するために。自分の、魂と、引き換えに、中山様、あなたに、手を出すな、と。」
「そんな・・・!じゃあ、まさか、母さんの、魂は・・・!」
 MAKOTOさんが、少し、うつむいた。
「はい・・・。組織の手に、渡りました。そして、お母様は、そのせいで・・・。」
「・・・原因不明の、病気になって、死んだのは、魂を、とられたせいなんですね?」
 俺は、静かに、聞いた。
 MAKOTOさんは、ゆっくりと、うなずいた。
「その後、そのことが、星蘭町を、守護する方たちの耳に、入りました。お父様は、追及されました。そして、組織に加担したとして、この、星蘭町から、永久追放されることになったのです。」
「MAKOTOさんは、その時は・・・?」
「私は・・・。お父様が、組織と接触したと聞いて、逃げました。怖かったのです。話を聞いたのは、全てが、終わった後でした。」
 MAKOTOさんの目が、潤んだ。
「組織が、あなたの魂を、諦めるはずなんて、ないのに・・・。あなたのお母様は、一時的にですが、自分の魂・・・。命と、引き換えに、あなたを、守ったのです。」
「・・・・・・・。」
 俺は、ゆっくりと、うなずいた。
 この町に来てから、魂取りに、狙われたことや、呪いを、かけられたことを、思い出していた。
 科学で、解明されていない、不思議な力は、確かに、ある。
 父親に、怒りが込み上げた。
 あいつのせいで、母親が、死んだんだ・・・!!

 MAKOTOさんは、光龍神社の、裏道まで、送ってくれた。
「ここまでで、大丈夫です。結界の、中に、入るので。今日は、ありがとうございました。」
 俺は、MAKOTOさんに、頭を下げた。
「・・・中山様、頭を、上げてください。」
 俺は、頭を上げた。
 その途端、体が、金縛りにあったように、動かなくなった。
 MAKOTOさんが、不気味に、笑っている。
 どういうことだ・・・?
 視界が、色を、失っていく。
 MAKOTOさんの、言葉だけが、聞こえてきた。
「大して親しくもない人を、信じるものでは、ありませんよ。」
 くくく・・・と、MAKOTOさんが、笑う。
「まさか、こんなに、簡単に、お殿様の魂が、手に入るとは、思いませんでした。」
 ・・・え・・・?
「死ぬ前に、教えてあげましょう。さっきの話には、所々、嘘があります。まず、お父様に接触した、組織の人間は、私です。簡単でしたよ。お父様を、マインドコントロールするのは。そして、あなたのお母様と、交渉したのも、私です。勿論・・・あなたのお母様の、魂を、頂いたのも、この、私です。」
 なん・・・だって・・・?
 俺は、騙された?
 必死で、体を、動かそうとしたけれど、全く、動かない。
「そうそう。白川様とあなたに、呪いの花束を、送ったのは、私が、マインドコントロールを行った、そこらへんの、能力者です。あなた達を、私の元に、誘導するために。とっくに、あの人形は、始末しましたが。力とは、そのように、私利私欲の為に、使うものですよ。」
 くそ・・・!なんて、奴だ・・・・!
 MAKOTOさん・・・。いや、キラ研の、MAKOTOの手が、俺の、胸に、置かれた。
「恨むのなら、自分の運命と、父親を、恨んで下さい。父親が、早く、母親の声に、耳を傾けていたら、今とは違う、結果になったでしょう。」
 そう言われた途端、俺は、胸が、苦しくなった。
 息が、できない・・・。
 視界が、ぐるぐると、回る・・・。
 気持ち悪い・・・・。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
 俺は、そこで、意識を失った。

 倒れた、優矢を前に、MAKOTOが、笑って、立っていた。
「ついに、手に入った。お殿様の、魂が。」
 そう言って、大きな声で、笑いながら、その場を、去った。
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