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龍神様はチョコレートがお好き
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「恒夫(つねお)、これは、どういうことだと思う?」
そう言うと、武志(たけし)は、恒夫に、産まれたばかりの、男の子を見せた。
目を見開いて、恒夫のほうを見つめる、赤ん坊。その眼は、左が赤く、右が黄色に、輝いていた。
「これは・・・・。間違いなく、龍神様の、加護の眼だな。それも黄色とは・・・その意味、お前も、分かるだろう?」
恒夫の言葉に、武志が、うなずく。
「この子は、我が道場の、長男。この眼を持つことは、決して悪いことではない。しかし、今の世の中を、生きていく上では・・・。」
今度は、恒夫が、うなずいた。
「この子の眼は、今は封印しよう。時が来たら、自分で、うまく扱えるよう、訓練させる。ただし、この眼の悪用は、許されない。慎重にいかなくては。ところで、武志、今度は、私から、お前の意見を、聞きたいのだが・・・。」
恒夫が、赤ん坊から、武志に目を移した。
「来月産まれる予定の、うちの孫は、女の子の予定じゃ。まだ産まれてもいないのに、見たこともない力が、溢れている。・・・それは、まるで、文献に残っている、戦う姫と呼ばれた、うちの先祖の、巫女様が産まれる前に、よく似ているのだ。それだけではない。去年産まれた、礼安(れいあん)の家の子、それに、黎明(れいめい)、翠生(すいせい)の家も、わしらの孫と、同世代の子が、産まれた。そして今、相伝(そうでん)の家も、妊娠しておる。・・・これは、単なる、偶然だと思うか?」
「・・・歴史は、繰り返されると、言いたいのか?」
恒夫の言葉に、武志が聞き返した。
「・・・わからない。その可能性も否定できない。私が、龍神様から頂いた言葉は【動乱の始まり】だ。」
恒夫が暗い顔をした。
「お前らしくもない顔をするな。俺たちが、できることは、できる限りのことを、この子達に、教えてやること。そして、見守ることと、助けを求めてきたら、手を差し伸べるくらいだ。この子達の未来は、この子たち自身が決めること。いくら、この子が、長男で、うちの道場の正当系統者だとしても、もし、この子が別の未来を選ぶなら、止めることはないと思っている。もう、そんな時代ではない。時代は移り変わる。そう思わないか?」
武志の言葉に、恒夫がうなずいた。
「お前の言うとおり。柄にもなく、弱気になっていたようだ。・・・では、この子の眼を、一時的に封印する。」
恒夫の言葉に、武志がうなずいた。
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