ダークロッドを打ち破れ

Emi 松原

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ダークロッドを打ち破れ

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~思い出・約束~

 俺の名前はソウタ。今はグリーンランドの田舎町に住んでいる。
 今年から,高等部の一年生に進級する。
 両親は,俺が生まれたばかりの頃死んでしまったらしくて記憶は全然ない。
 今は,ばあちゃんと一緒に暮らしている。
 ちなみに俺は,自分で言うのもなんだけど敏腕スナイパー。物理攻撃の種類って色々あって,弓矢を使っている人もいるしそれより破壊力があるハンマーを使っている人も居たり,とにかく色々いる。
 その中で,俺が選んだのは銃。銃には色んな種類があるし,後方支援にはもってこいの武器だから。
 そして俺は,親友であり初恋の人,もちろん今でも好きなんだけど・・・。その人との約束を果たすためにひたすらスナイパーとしての腕を磨いた。
 そしてその子のいる都会の双葉学園に行きたくて・・・でもうちにはお金がないからなんとか奨学金をもらうため何度もチャレンジしているんだけど,いつも筆記で落ちてしまう。
 実技は問題ないんだけどね。
 そして今回が編入できるラストチャンス。俺はひたすら郵便屋を待っていた。
 『あの日』の記憶を思い返しながら・・・・。


 小学部の時,俺はいじめられっ子だった。
 スナイパーとしての腕がそこそこだったこともあったし,何より両親がいなかったから。
 俺はいつも,学校の帰り道,石をなげられたり,屈辱的な言葉をあびせられたりしていた。
 でもそのたびに,
「てめぇら!!あたいの親友になにやってやがんだ!!親がいねぇだ!?そんなんあたいだって同じだ!!文句がある奴は正々堂々とかかってこい!!相手してやる!!」
 そう言って,いつも助けてくれたのが赤い髪をして二本のロッドを持ったアマキだった。
 アマキは攻撃型魔法能力者。お母さんが俺の親と同時期に亡くなっていて,お父さんは魔法学の教授さんとやらでめったに家に帰らないらしい。
 アマキは親戚の家で,二つ年上の兄であるユウシさん(通称ユウさん)と暮らしていた。
 ちなみに魔法攻撃のロッドは四種類ある。ファイヤーロッド,アクアロッド,サンダーロッド,ウインドロッド。
 繰り出される魔法は名前の通りで,火・水・雷・風の魔法が使える。
 通常ロッドは一人一本持つものなんだけど,アマキとユウさんは二本のロッドを持っている。お父さんに,しごかれたおかげらしい。
 アマキはファイヤーロッドとアクアロッドで,ユウさんは残りの二つ。
 とにかく,アマキは強かった。もちろんユウさんはそれ以上に。
 そしていつも
「ソウタ,怪我ないか?」
 と笑顔で聞いてくれるのだった。
 アマキとユウさんは,毎日のように俺の側にいてくれた。俺を守ってくれた。
 そんなアマキを,俺は好きになっていった。
 アマキの家はどうもお父さんとユウさんの仲が悪いらしくて,お父さんが帰ってきているときは俺の家にアマキが逃げてくることもあった。
 アマキは外では男らしくしているけれど,本当は可愛いものが大好きで,お姫様に憧れている。これは,俺だけが知っているアマキの秘密。
 でもそんなアマキとの別れの日が,突然やってきた。
 アマキのお父さんが,研究をグリーンランドのお城ですることになったから,アマキとユウさんもグリーンランドのお城がある都会の学校,双葉学園に転校することになったのだ。 
 別れの日,俺はアマキに告白しようと思って見送りに行ったんだけど,言葉が出てこなかった。
「ソウタ,あたいらは,いつまでたっても親友だから。また,必ず会って,一緒にチーム組もうぜ。」
 アマキが言った。
 何か言わなきゃ!!
「アマキ!!俺,敏腕スナイパーになるから!!それで,いつでもアマキが安心して戦えるような後方支援者になるから!!アマキのこと,俺が絶対守るから!!」
 俺が言えたのは,それだけだった。
「おう。約束な。」
 アマキはそう言って笑うと,双葉学園へと去っていった。

 これが俺の幼いときの記憶。
 アマキがまだ俺のことを覚えてくれているかはわからない。もしかしたらもう彼氏がいるかもしれない。
 それでも会いたかった。約束を,果たしたかった。
 そんなことを考えていると,郵便屋がやってきた。そして俺に封筒を手渡す。
 双葉学園からだ。
 俺はその場で封筒を開いた。
 そして読んでいく。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・合格。
 何度見ても変わらない。合格!!
 よっしゃぁぁぁぁぁぁっぁ!!!!!
 これで,アマキに会える!!クラスは違うかも知れないけど,アマキを探せる!!!
 俺は嬉しすぎて,すぐばあちゃんに報告に行った。
 ばあちゃんはとても喜んでくれたけど,
「ついにソウタも家を出るのか・・・寂しいねぇ・・。」
 と感傷的なことも言った。
「ばあちゃん,今までありがとう。」
 俺は心を込めて言った。
「それで,住む所はどうなるんだい?」
 ばあちゃんが心配そうに聞いた。
「大丈夫。生徒会長さんが手配してくれてるって書いてあった。」
「そうかい。それはよかった。」
 そんな話をしながら,その日は終わった。
 そして俺は,双葉学園に行く準備をしながら,次の日から慌ただしく動いていた。

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