一進一退夫婦道

Emi 松原

文字の大きさ
上 下
56 / 57

豚さんの希望

しおりを挟む
先日、待ち侘びていた嬉しいニュースが出た。
アメリカで、遺伝子操作をした豚さんの腎臓を使った、人への移植の臨床試験が成功して、患者さんは無事に退院されたのである。

このエッセイを書いている数日前には、2人目が成功したとのニュースも入ってきた。

最初に成功した方の医療チームには、日本人医師の方もいて、インタビューで、早ければ3年で日本でも取り入れられる可能性があると仰っていた。

さらに、お腹の子に豚さんの腎臓を移植する初の手術が、なんと日本で行われる。
生後7ヶ月まで、透析治療はできない。
なので今までは、腎臓に大きな病気を持って産まれた子は、7ヶ月までもたなければ……だったのである。
この移植が上手くいって、7ヶ月まで繋げれば、生きることができるのだ。


これは、私たちにとって、世界の腎臓病、透析患者さんにとって、希望である。


私の腎臓を渡せたら早かったのだが、自分の病気も含めてなかなか痩せられない中、腎臓医療の進歩のニュースはずっと追っていた。

私の中で、腎臓への代替機械の取り付け、再生医療、豚さんの腎臓を頂く、この三つのどれかが進んでくれれば、とずっと思っていた。

まさか豚さんが一番に現実的なものになるとは思っていなかったが、日々研究してくださっている方、そして臨床試験の患者さんには感謝しかない。

ちなみに心臓の移植も行われ、無事機能したと思われたが、その方は40日後に亡くなっている。


もしこの治療法が確立されれば、患者が助かるだけではない。

違法臓器売買も、家族のドナーの決断をして泣く人々も、一気に減らせるはずなのだ。
悲しいことに、臓器を買う人の中には日本人もいる。
又、安易に売ってしまう日本人もいるのだ。
何より。移植登録をしながら言えることではないが、ドナーの方のご家族に重い決断をさせたくない。


豚さんの命は?

そう問う方もいるであろう。

私は、日々お肉を食べている。豚さんも鳥さんも牛さんも、魚さんも。命を頂き生きているのだ。

それなのに臓器だけは貰えない、などとは私には言えない。


これから患者さんの追跡調査も行われて、問題も出るかもしれない。
豚さんを多くどこで育てるか、利権は、で揉めることもあるだろう。
特に透析治療はお金がかかる分、儲かる。つまり利権が……なのである。


それでも。世界に響いた希望のニュースだ。


このご時世、暗いニュースばかりで、情勢もよろしくない。
そんな中入ったこの希望を、大事にしていきたいと心から思うのである。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

第一機動部隊

桑名 裕輝
歴史・時代
突如アメリカ軍陸上攻撃機によって帝都が壊滅的損害を受けた後に宣戦布告を受けた大日本帝国。 祖国のため、そして愛する者のため大日本帝国の精鋭である第一機動部隊が米国太平洋艦隊重要拠点グアムを叩く。

食卓バトル!!〜本日も楽しく開催中です〜

Emi 松原
エッセイ・ノンフィクション
私、物書きEmi 松原、精神障害があり、今は物書きと主婦をしています。 パートナーはいっとくさん。透析患者であり、2021年、千葉から広島へお婿に来ました。 遠距離恋愛を得て結婚。年の差なんと19歳。 元コンビニ依存率99%、体を気にせず食べたいいっとくさんに、「いかに満足させて買い食いさせないと同時に血液検査の数値・体重(水分)コントロールを保つか」を理念に掲げご飯を作るのが好きになった私。 こちらでは、透析患者さんの「食事制限」や「食事」について、又、我が家で作っているレシピなども交えて、楽しく読めるエッセイを書いていきたいと思います。 透析への理解が深まることを願って。 夫婦の日々をコミカルに描いたエッセイは「一進一退夫婦道」を見にきてください!! ※メインの物書きではないので不定期更新になります ※透析に関する内容、症状、治療法は様々です。あくまで我が家が病院と連携をとり行なっているものだということをご了承ください

処理中です...