一進一退夫婦道

Emi 松原

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心臓バイパス手術 直前編

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遂にいっとくさんのバイパス手術が終わり、ICUから一般病棟に移り、一区切りつき安心した今日。


今回は手術の直前の話である。



手術数日前、いっとくさんは予定通り入院。

最終検査やらなんやらが始まった。


その日の夜には、恒例の帰りたいよ、寂しいよ、モバ(私)のご飯が食べたいよ、が始まる。

今回ばかりは私も寂しすぎて不安で仕方ない。


そして手術前日。最後の本人、家族説明と同意書の記入があったので、私と私のパパ上は病院へ。

いっとくさんと合流して、説明部屋へ入る。



今回、循環器外科(心臓)の先生がチームに三人いてくれたのだが、その中の執刀医になる先生だ。


とてもわかりやすい説明で、印象も良く、経験則も多くて歴戦の猛者という感じだったのだが、私は何故かこの先生に既視感を感じていた。


家に帰って思い出したのだが、その先生は去年いっとくさんが死にかけて急遽心臓カテーテルを行った時に、応援に来てくれていた先生だったのだ。



本当に感謝と信頼がある先生だった。


さて話は戻して説明会。

私は事前に貰った資料に全て目を通していたので、説明は問題なく理解できたし、質問もしっかりできた。


透析患者さんのリスクの細かい説明を聞いた時は、うぐぐとなったが、わかりやすくて理解もできた。


途中ちょこちょこ質問や雑談が入ったのだが、茶葉の煙草の話をした時の先生の食いつきが少し面白かった。


なんとこの先生、煙草を絶対的に辞めろの先生ではなかったのである。



というのも、長年煙草を吸っている人が煙草をやめると一気に太る。ストレスも溜まる。

この二つの観点は心臓にとって悪影響なので、適度に妥協して良い、茶葉の煙草一日二本で退院後も続けて様子を見て良いとのこと。


「だって実際15くらいから吸ってるでしょ?」

先生の言葉に思わず吹いた。(一応二十歳からと申告書には出していたが完全に見抜かれている)

「昔はピース何箱も」

と答えるいっとくさんもいっとくさんだが。


あとは不整脈が酷い時は、あの心臓のバーン(電気ショック)をすると聞いて驚いた。

医療道具の進化にも驚いた。

驚くことがいっぱいだがこれも良い経験だ。

先生は
「スマホと一緒です。器具がどんどん進化しているんですよ」
と言っていた。


そして同意書を書いて、次に麻酔科へ。

ここでも同様の説明と、同意書。


麻酔科の先生は少し機械的でクールな方だった。



さあ、これで準備は万端……ではない。


ご存じの方も多いだろう。


そう、剃られるのである。上も下も全て。


いっとくさん、終わった後にLINEでご乱心であった。


看護師さんは仕事だ。何も思っていないであろうが、昭和の男、いっとくさんにとっては耐え難きことだったのであろう。


痒いと嘆くいっとくさんに少し笑ってしまったのは内緒だ。



今回の手術が無事終われば、移植にも耐えられるだろうと言ってもらえた。

だから前に進むため、これから長く生きていくための手術なのだ。



こうして手術前日は無事に終わった。



今お世話になっている病院は、以前も書いたが私の生まれた病院で意図せずご縁があった。

先生同士の繋がりも強く、連携も凄いことは去年見ている。


あとは任せるだけだ、と、私も覚悟を決めたのだった。
















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