一進一退夫婦道

Emi 松原

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病院食で駄々っ子に

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いっとくさんは結婚してから3回入院し、現在4回目の入院を控えている。

今回は大きな手術なので不安も大きいものだ。



だがしかし、入院手続きにも慣れてしまったのが、そう、妻の私である。


書類、サイン!

アニメティのレンタルはこのプラン!


手慣れたものだ。


最近のレンタルは凄い。ほとんど家から持っていくものがない。
このご時世で面会もできないし、家族には大助かりである。



さて、いっとくさんにとって入院して一番の問題。

それがご飯である。


前回の検査入院時、1日目の夜から

「モバ(私)のご飯の有り難みがわかった」

と泣きが入るほどである。



致し方ない。以前にも書いたが、腎臓食は不味いことで有名なのだから。


いかに満足させて、血液検査と水分コントロールを保つかを理念に掲げたモバ飯と差が出て当たり前だ。


それでも私としてはそう思って貰えて嬉しいのだが。



さて、病院食にはお粥やお米、パンなど主食が色々ある。


去年死にかけて入院した時、いっとくさんはご飯が不味いとほとんど食べず、毎日のように低血糖を起こしスタッフさんたちに迷惑をかけた。


そこで私が考えたのが、主食を変えて貰うことである。


そもそもいっとくさんは、お米があまり食べられない人でもある。
農家の息子なので大量の米が送られてくるにも関わらず、だ。


そこで3回目の入院時、私は入院センターとの話し合いでパン食にできないか相談してみた。
(1度目、2度目は緊急入院で暇がなかった)


腎臓食なので無理だろうと思っていたが、なんと先生からの許可が出たのだ。


理由は簡単。


3度目の検査入院、そして今回の手術は、主治医が心臓の先生である。


腎臓の先生は、以前も書いたように煙草には厳しすぎないが、食事には厳しい。

逆に心臓の先生は、煙草にはめちゃくちゃ厳しいが、食事は多少多めに見てくれるのである。


もちろんデータに残っているし共有もされているのだが、分野によっての違いというのは大きいのだ。



さて、無事パン食になった3回目の入院時。

いっとくさんは無事に主食を食べてくれ、低血糖にもならなかった。

どうやらパンについていたジャムが良い効果を出してくれたようだ。


これで、今回の入院も食事のことは一安心である。

それでも毎日のように食事への泣きが入ることは覚悟しているのだが。



今回は開胸手術で心臓である。

日が近づくにつれ、いっとくさんは弱気になっている。もちろん私も。


だが、去年からずっと命を助けてくれている病院だ。

私が産まれた病院でもある。


そう先生たちを信じて、入院の準備をするのであった。



ちなみにいっとくさんの煙草合戦(禁煙)であるが、まさかまさかで続いている。

この様子だと、煙草合戦 最終章が書けそうである。

なんとも嬉しいことだ。



このご時世、面会ができないのが一番辛い。

ほんの少し顔が見られるだけでも、本人も家族も心が違うと思うからだ。

だが、検査入院が延期になってしまったように、外から持ち込む訳にはいかない。


今回の入院は、いっとくさんにとっても私にとっても戦いである。



それでも乗り越えた先に、移植を目指せる未来があると信じて。

一緒に生きていける未来を信じて。


せっせせっせと書類を書くのであった。

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