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煙草合戦
しおりを挟むいっとくさんはヘビースモーカーだ。
もう誰がなんと言おうと、親が泣こうが煙草を止める気がない人である。
煙草がやめられないのではなく、やめる気がないというのがタチが悪いと思う方の方が多いだろう。
ただ私はいっそ清々しくてよいと思う。
人に迷惑(喫煙所以外での喫煙)をかけなければ。
さてさて当たり前だが、体の為を思うなら煙草なんて吸うものではない。
にも関わらずいっとくさんは煙草を吸っているが、実は透析患者さんには喫煙者が多いと、透析に関わるスタッフさんから聞いたことがある。
もちろん正確な情報元ではなくそのスタッフさんの主観ではあるが。
週3回、4~6時間の拘束で行う透析は、相当なストレスになる。
加えて食事制限、飲料制限、死への恐怖。
そう、逃げ場がないのだ。
ちなみに我が家では煙草を吸う吸わないに関しての喧嘩は一度も起きたことがない。
だって、制限かけすぎたら絶対隠れて吸うもん、いっとくさん。
それに体調を医療機関に伝える際、煙草の有無、本数は重要な情報になってくる。
それを隠されていたら困るのだ。
すると不思議なことに、いっとくさんの煙草の本数がちょびっと減った。
減ったというより、本人が意識を始めたのだ。
決して構って欲しいとかではなく、本人が一番煙草のリスクを分かっている。
でもやめる気はない。
周りがうるさく言う。
余計頑なになる。
と悪循環になっていたものを、私は家の中でも決められた1箇所でなら吸うことに対して何も言わない。
車で吸われても気にしない。(私が乗ってる時は吸わないし~のレベル)
喫煙マナーさえ守れば良いんじゃない?
でもね、私はあなたが大事だし大切だから、吸うことに肯定的ではないよ。
ただあなたも大人だし、私が無理矢理辞めさせるのは違うと思う。子供もいないしね。
隠れてはやめてよ。止めないから。把握できないほうが怖い。
のスタンスを貫いたのだ。
すると本人は普段からちゃんと考えていたことを言ってくるようになった。
「煙草代かかるな……」
「お小遣いだから好きにすれば? でも本数減らしたら節約はできるよね」
「おい、3日目なのに煙草が2本残ってるぞ(いっとくさんの吸う量は1日10本、2日で1箱)」
「おおー!! 凄いじゃん!!」
と、良いとは言えないが、悪循環は防げているのである。
そしてなんと煙草の銘柄を変え、使い捨てフィルターをつけるところまできたのである!!
何事も、想いの強制は良くないんだなあと思わされるのが煙草合戦だ。
ただ勘違いしないで欲しい。
私は煙草を吸って欲しくはないし、心臓のことを考えたら本気でやめて欲しい。
人様に迷惑をかける吸い方をする喫煙者の方は軽蔑している。(若い子だったら、イキってんな~若いな~と思ってしまうあたり歳を重ねたのかもしれないが)
ただ、煙草に法規制がされてなく「嗜好品」である以上、ルールとマナーを守るならうるさく言うこともないと思っているのである。
それに……
それでうるさく言って喧嘩して、それが最後の会話になったら??
必ず私は思ってしまう。
一本くらい吸わせてあげれば良かったと。
つまるところ、いっとくさんが死にかけた経験を重ねた私は、私を守っているだけかもしれない、まで考えてしまうのが煙草合戦であった。
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