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~もう一度~
3人は,フラワー・ドリームの拠点,児童養護施設夢の華の前まで戻ってきた。
施設の前に誰かが立っている。
守我はその人物を見てびっくりした。
そこには,神尾が立っていたのだ。
神尾への説得は部下に行かせていたので,神尾は守我のことを知らなかった。
「あら,信時。来てたの?」
夢華が神尾に向かって声をかけた。
「あぁ,新しい情報が手に入ってな・・・。良い情報ではないけど・・・。その人は?」
神尾が守我を見ながら言った。
「この人は,守我さん。守我さん,この人は信時。私と同じように,都会で子供の施設を建てて,今はフリーの記者をしているの。」
神尾が守我に手を差し出した。
その手をとる守我。
「初めまして。神尾信時です。」
信時の言葉に笑顔を返す守我。
「それで,新しい情報って・・・?」
優姿が信時に聞いた。
「あぁ,どうやら,この国はやっぱ兵器を製造してたらしい。んで,それが発射されたらしいんだ。相手の国の打ち落としミサイルが当たって,どちらの国にも害はなかったみたいだけど・・・。このままだったら,最悪,戦争になるかもな。」
青ざめる,夢華と優姿。
そんな二人を見て,守我は一度深呼吸をした。
「戦争になんて,させません。僕が,止めます・・・。」
守我が,夢華と優姿を見つめながら言った。
「守我さん・・・?いったい貴方は・・・?」
夢華の言葉に,守我は自分の名刺を見せた。
夢華,優姿,そして信時はその名刺を見て目を見張った。
守我は,由岐の秘書だったのだから・・・・。
「僕の責任でそうなりました。だから,僕が責任をもってとめてみせます。・・・・僕の正体を知っても,僕はまたここに来てもいいですか・・・・?」
守我の言葉に驚いた様子の夢華だったが,力強くうなずいた。
「もちろんです。私は,貴方を信じます。貴方は,あの場所を見つけられたのですから。」
夢華が,微笑んだ。
優姿もうなずいた。
信時はなにがなんだかという顔をしている。
守我は自分の車に乗ると,由岐の元へ向かって車を走らせた・・・。
守我が自分の家に付いた時には外は暗くなり,星が輝いていた。
地下室に戻る守我。
そこには対応に追われた由岐,そして部下達が居た。
由岐が,守我を見た。
守我も,由岐を見た。
そして守我は,いきなり床に手をついて頭を下げた。
「守我君・・・・・!?」
驚く由岐。
「由岐さん・・・・。今までのご無礼,本当に,本当に申し訳ありませんでした。今回のことはすべて僕の責任です。今更遅いかもしれませんが,貴方の言ったことがすべて正しかったです。今から戦争をすることに意味はない。僕は,平和を望みます。今から平和になるよう,働きかけます・・・・。だから,お願いします。もう一度,力を貸してください!!」
由岐は黙って守我を見つめていた。
なぜいきなり,こんなことになったのか・・・・。
考えても,由岐に答えが出せるはずはなかった。
由岐は,守我を見た。
自分の前で頭を下げている守我を。
由岐は,ゆっくりと守我に右手を差し出した。
「守我君・・・・。謝らなければいけないのは,私の方だよ。私は,平和を望んでいながら地位と権力に目を奪われ,君の言われるままに動いていた。・・・自分の身を一番に考え,君に逆らう勇気がなかったんだ。だから,責任は私にある。今なら,まだ間に合う。・・・二人で平和に向けて頑張ってくれるかい?」
由岐の差し出した手を,守我はしっかりと握り返した。
「もちろんです。」
守我は微笑んだ。
それから,守我と由岐は走り回る毎日を送った。
兵器を飛ばしたことは,変えられない事実だ。
二人は,様々な国に飛び,各国の要人に素直に頭を下げ謝罪した。
兵器を飛ばした国にも,二人は訪れ心から謝罪した。
国民がパニックにならないよう,各国の要人はこの事実を公にしていなかった。
許されることではなかったが,どの国の要人も戦争は避けたかった。そして,素直に頭を下げて謝罪する由岐をみて驚いていた。
元々の守我の権力もあり,なんとか世界的ニュースになることもなくこの事件は闇に葬られようとしていた。
ただ1人正確な情報をつかんでいた神尾信時も,このことを公にしなかった。
それは,由岐と守我が各国に謝罪し,平和に向けて本格的な取り組みを始めていたからだ。
信時は,由岐と守我を訪れ,
「公にしないのは,これが最初で最後です。次に貴方達が平和を揺るがすことがあれば,すべての情報を僕は独自に国民に流します。」
と言い,少し笑った。
3人は,フラワー・ドリームの拠点,児童養護施設夢の華の前まで戻ってきた。
施設の前に誰かが立っている。
守我はその人物を見てびっくりした。
そこには,神尾が立っていたのだ。
神尾への説得は部下に行かせていたので,神尾は守我のことを知らなかった。
「あら,信時。来てたの?」
夢華が神尾に向かって声をかけた。
「あぁ,新しい情報が手に入ってな・・・。良い情報ではないけど・・・。その人は?」
神尾が守我を見ながら言った。
「この人は,守我さん。守我さん,この人は信時。私と同じように,都会で子供の施設を建てて,今はフリーの記者をしているの。」
神尾が守我に手を差し出した。
その手をとる守我。
「初めまして。神尾信時です。」
信時の言葉に笑顔を返す守我。
「それで,新しい情報って・・・?」
優姿が信時に聞いた。
「あぁ,どうやら,この国はやっぱ兵器を製造してたらしい。んで,それが発射されたらしいんだ。相手の国の打ち落としミサイルが当たって,どちらの国にも害はなかったみたいだけど・・・。このままだったら,最悪,戦争になるかもな。」
青ざめる,夢華と優姿。
そんな二人を見て,守我は一度深呼吸をした。
「戦争になんて,させません。僕が,止めます・・・。」
守我が,夢華と優姿を見つめながら言った。
「守我さん・・・?いったい貴方は・・・?」
夢華の言葉に,守我は自分の名刺を見せた。
夢華,優姿,そして信時はその名刺を見て目を見張った。
守我は,由岐の秘書だったのだから・・・・。
「僕の責任でそうなりました。だから,僕が責任をもってとめてみせます。・・・・僕の正体を知っても,僕はまたここに来てもいいですか・・・・?」
守我の言葉に驚いた様子の夢華だったが,力強くうなずいた。
「もちろんです。私は,貴方を信じます。貴方は,あの場所を見つけられたのですから。」
夢華が,微笑んだ。
優姿もうなずいた。
信時はなにがなんだかという顔をしている。
守我は自分の車に乗ると,由岐の元へ向かって車を走らせた・・・。
守我が自分の家に付いた時には外は暗くなり,星が輝いていた。
地下室に戻る守我。
そこには対応に追われた由岐,そして部下達が居た。
由岐が,守我を見た。
守我も,由岐を見た。
そして守我は,いきなり床に手をついて頭を下げた。
「守我君・・・・・!?」
驚く由岐。
「由岐さん・・・・。今までのご無礼,本当に,本当に申し訳ありませんでした。今回のことはすべて僕の責任です。今更遅いかもしれませんが,貴方の言ったことがすべて正しかったです。今から戦争をすることに意味はない。僕は,平和を望みます。今から平和になるよう,働きかけます・・・・。だから,お願いします。もう一度,力を貸してください!!」
由岐は黙って守我を見つめていた。
なぜいきなり,こんなことになったのか・・・・。
考えても,由岐に答えが出せるはずはなかった。
由岐は,守我を見た。
自分の前で頭を下げている守我を。
由岐は,ゆっくりと守我に右手を差し出した。
「守我君・・・・。謝らなければいけないのは,私の方だよ。私は,平和を望んでいながら地位と権力に目を奪われ,君の言われるままに動いていた。・・・自分の身を一番に考え,君に逆らう勇気がなかったんだ。だから,責任は私にある。今なら,まだ間に合う。・・・二人で平和に向けて頑張ってくれるかい?」
由岐の差し出した手を,守我はしっかりと握り返した。
「もちろんです。」
守我は微笑んだ。
それから,守我と由岐は走り回る毎日を送った。
兵器を飛ばしたことは,変えられない事実だ。
二人は,様々な国に飛び,各国の要人に素直に頭を下げ謝罪した。
兵器を飛ばした国にも,二人は訪れ心から謝罪した。
国民がパニックにならないよう,各国の要人はこの事実を公にしていなかった。
許されることではなかったが,どの国の要人も戦争は避けたかった。そして,素直に頭を下げて謝罪する由岐をみて驚いていた。
元々の守我の権力もあり,なんとか世界的ニュースになることもなくこの事件は闇に葬られようとしていた。
ただ1人正確な情報をつかんでいた神尾信時も,このことを公にしなかった。
それは,由岐と守我が各国に謝罪し,平和に向けて本格的な取り組みを始めていたからだ。
信時は,由岐と守我を訪れ,
「公にしないのは,これが最初で最後です。次に貴方達が平和を揺るがすことがあれば,すべての情報を僕は独自に国民に流します。」
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