思春期のテロリスト

Emi 松原

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思春期のテロリスト

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第四章 憎しみは断ち切れない。~連鎖の中に居る自分~

 エミ達のチームは,初めの任務を成功させてから,重大な任務を次々とこなしていった。
 相変わらずエミがリーダーで,リョウとコウタが意見を入れる。ケントも,任務になると人が変わったように,ものすごい実力を発揮する。
 あきらかに任務が難しくなってきているにも関わらず,エミ達のチームは成功率100%を維持し,ターゲット以外の人間も誰一人として殺していなかった。
 ただ,エミの真のターゲットは,着実に命を奪われていたのだった。
 そんなある日の休日,エミが部屋でチマオをいじって遊んでいると,ピアスから休日には珍しくリョウの声がした。
「エミ,シゲルさんを殺した女の正体が分かったよ。俺の部屋で話してもいいけれど,ケントが,エミがいたら必ず出ていかないからな・・・どうする?」
 エミは,チマオの電源を切るとマイクをもった。そのままリョウのピアスに接続する。
「私の部屋で話そう。鍵,コウタとユリさんしか持ってないから。ケントが来たらきたでなんとかする。」
 エミが言った。
「わかったよ。すぐに向かうね。」
 リョウの声が聞こえた。

【トントン】
「エミ,俺,リョウだよ。」
 少し待っているとリョウがやって来た。
「開いているから,入って良いよ。」
 エミがそう言うと,資料のようなものを持ったリョウが入ってきた。
「鍵は閉めなくていい。最近は,部屋にいるときは閉めてないの。じゃないと,休日や開いた時間には必ずあいつが来るのよ。鍵を閉めていたら,逆に聞き耳を立てられると思ってね。いいかげん,ストーカーを規制する規則を作ってほしいんだけれど。」
 無表情で言うエミに,リョウは苦笑した。
「ケントが勝手に部屋を荒らしたり,あきらかな犯罪的行為があったらできるかもしれないけれど,今くらいじゃできないよ。ごめんね。」
「冗談よ。それで,女の正体って?」
 エミが言った。リョウの顔が少し曇る。
「あのさ・・・その女の情報で俺が見つけた事,全部知りたい?」
「うん。なんで?」
 エミが頷いた。そして聞き返す。
「いや・・・エミを傷つけるような事実もあったからさ・・・。」
「そんなこと,気にしなくて良い。教えて。」
 エミの言葉にリョウが頷いた。そして資料を渡す。
 資料をめくるエミ。そこには間違いなくシゲルを殺した女の写真があった。
「その女で,間違いない?」
 リョウの言葉にエミが無言で頷いた。
「その女は・・・この国の首相の娘。いわば,戦争を指揮している奴の実の娘だよ。名前は・・・何の因果か,エミ。俺達と同じ年だ。」
 無言で次の言葉を待つエミ。
「その女にも異名があってね。政府組織の人間には,『青い悪魔』って呼ばれているらしい。その異名は,任務遂行のためなら仲間ですら容赦なく殺す。そこからついた異名らしいよ。俺達の任務で見るような,特殊訓練を受けて護衛をしているような中にそいつがいたことはないだろ?そいつはもっと重大な政府軍の任務をこなしているらしい。例えば,政府組織の人間の中には戦争に反対している者もいる。首相は・・・実の娘に,そういう自分が事を進めるのに邪魔な奴らを殺させているんだよ。」
 そしてリョウが暗い顔をした。
「青い悪魔は,なんで浴衣みたいな服を着ているかなんだけれど・・・。あの服,実のお姉さんの形見なんだって。お姉さんも,戦争が始まった当初の政府軍の特殊部隊。・・・そして,シゲルさんが初めての任務で殺した人間なんだよ・・・。それも,目の前でお姉さんは殺されたらしい。まだ,その時青い悪魔は特殊訓練を受けている最中で,任務で殺す対象にはなっていなかったんだ。お姉さんが殺されてから青い悪魔は髪の毛を青く染めて,お姉さんの形見の浴衣を動きやすく切って,今の地位にいる。」
「・・・つまり,あの女は,私と同じで復讐のためにシゲルを殺したんだ。それで納得がいった。シゲルが死んだとき,十人も特殊部隊がいた。別にあの女がわざわざ出てこなくても,シゲルは確実に死んでいた。それでも,あえて自分が殺すために出てきたんだろうね。」
 エミが無表情のまま言った。
 頷くリョウ。
「青い悪魔のお姉さんを殺したのは,自分の娘が犠牲になれば,戦争のことを考え直すんじゃないかってテロリストの上の人間は思ったんだろうな。けれど首相はそんなことにも一切動じず,戦争を続けている。あと・・・俺にも分からない事があってね。」 
「何?」
「そもそも,俺達は暗殺部で任務をこなすだろ?そしたらその後,情報部のオペレーターは報告書を提出しなければいけないんだ。知っていた?」
 リョウの言葉に首を横に振るエミ。
「シゲルさんがお姉さんを殺したときの報告書を読んだんだけれど,シゲルさんは確実に急所をついてお姉さんを殺せる状況にあったにも関わらず,急所をついてないんだよ。急所より,五センチも下にずれたところに銃の弾を撃っているんだ。・・・すぐに手当をしていれば,助かる場所に撃っているんだよ。・・・報告書には,初任務で手が震えて急所からずれたって書いてあったけれど・・・。」
「いや,シゲルはわざとずらして撃ったんだと思う。・・・シゲルは人殺しなんかしたくなかったはずだから。」
 エミが言った。
「シゲルが,あの女の大事な人を殺した。そしてあの女はその復讐でシゲルを殺した。さらに今度は私がシゲルを殺された復讐をしようとしている。・・・まさに負の連鎖の見本みたいね。」
 エミの言葉に,リョウは何も言わなかった。
「本当は,その連鎖,断ち切ってほしいんでしょ?」
 エミがリョウに言った。無言で頷くリョウ。
「残念だけれど,それは無理。今ここで復讐をやめたら,私は生きる目的がなくなる。それに,今まで殺した奴らはどうなるの?私は,多くの復讐者を作っていることを分かっている。自分がいつかそいつらに狙われることも。だから,この連鎖は断ち切れないよ。」
 エミが言った。リョウは何も言わなかった。
「・・・・・・。」
「・・・・・・。」
 二人の間に沈黙の時間が流れる。
「・・・馬鹿の足音がする。」
 突然エミが言った。
「えっ?」
 リョウが聞いたとき,勢いよく扉が開いて片手に何か持ったケントが入ってきた。
「ハーイ!!エミちゃん,起きてるかい?今日は俺の愛のプレゼントを持ってきたよ!!」
「・・・・・・・。」
「・・・・・・・。」
 黙る二人。
「・・・おい・・・!!なんでリョウがいるんだよ!なんで二人でいるのさ!!リョウ!!女の子の部屋で二人きりになるなんて・・・!!」
 ケントを見て,エミがため息をついた。
「ほらね。馬鹿のストーカーが来たでしょ。」
「あ・・・あぁ・・・。ごめん。ケントがちょっかいだしているのは知っていたけれど,ここまでだとは思ってなかった。」
「いいわよ,別に。情報,ありがとう。」
 エミがリョウに言った。無言で頷くリョウ。
「なんだよ,情報って!!二人で隠し事するなよ!!俺達はチームであり・・・。」
「どうやったら,テロリストの規則で,人の部屋に勝手に入ってくるようなストーカーを排除させることができるようになるか話し合ってただけ。」
 エミの言葉に,リョウは苦笑した。
「じゃあ,俺は行くね。また何か分かったら連絡するから。」
 リョウはそう言うと,ケントに向かって,
「俺はエミを恋愛対象として見てないって何回も言っているだろう。あと,ほどほどにしないと本当に上からストーカーに見られるぞ。」
 リョウの言葉にもケントは屈せずニコニコしている。
「俺はストーカーなんてしてないよ。エミちゃんと親睦を深めようとしているだけだ。」
 リョウはため息をつくと,片手を上げてエミに合図すると部屋から出ていった。
「私は,あんたと親睦を深める気なんてない。いいかげん,いきなり部屋に来るのやめてくれない。ちっとも休めやしない。」
 エミが資料を机の引き出しにしまいながら言った。
「そんなつれない所も,俺のハートにヒットさ!!それより,プレゼント持ってきたよ。敷地内に綺麗な花が咲いていたから,ユリ姉さんに花瓶をもらって,持ってきたんだ。エミちゃんは特別待遇なのに部屋にテレビもパソコンもないし,少しでも華やかになったらと思って!!」
 そう言ってケントは机の上に花瓶を置いた。
 そこに咲いていたのは,コスモスの花・・・。
 エミはそれを見た途端,突然,無理矢理忘れたはずの記憶がよみがえった。

 エミは中学一年生の秋,シゲルと二人で土手を散歩していた。
「シゲル,もうコスモスがこんなに咲いているよ。綺麗だねぇ。もう秋なんだね。そろそろ焼き芋屋さん来ないかなぁ。」
 エミが笑顔で言った。
「エミ,お前は年がら年中食べることしか考えてないだろ。」
 そう言いながら,携帯で何かを打っているシゲル。
「失礼な!!ちゃんと食べた分,踊ってカロリー消費してるから,問題ないもん!!」
 エミがちょっとむすっとして言ったが,シゲルは無言で携帯に打った文字を見せた。
『秋桜』と打ってある。
「はい,これはなんて読みますか?」
 シゲルが意地悪っぽく笑いながら言った。
「んー?『あきざくら。』・・・そんな花あったっけ?」
 エミが首を傾げながら言った。
「ちょ・・・お前・・・さすがにこれくらい読めろよ。『コスモス』だよ。まぁ,読めないと思ったけれど。」
 そう言って笑うシゲルに,ますますむくれるエミ。
 シゲルは笑いながら,鞄から何かを隠しながら取り出すと,
「ほら,そこのお嬢さん,機嫌を直してちょっと目をつむって下さいな。」
 と言った。
 なんだろうという表情で目をつむるエミ。シゲルの手がエミの髪に触れた。
「はい,開けて良いよ。」
 目を開けるエミ。
「まぁー!!なんて可愛いお嬢さんなんでしょう!!」
 そう言いながら,携帯で写メを撮るシゲル。そしてエミに見せる。
 エミの頭には,コスモスの髪飾りがついていた。
「シゲル・・・これ・・・。」
 驚くエミ。
「うん。この前一緒に買い物行ったとき,熱心に見てたけど,高いって買わなかっただろ?次のダンスの舞台で何か新しい飾りをつけたいって言っていたし,季節的にもいいなって思ったから,おとといコウタと別の買いものついでに買って来た。あ,値段は気にしなくて良いぞ。俺は誰かさんみたいに,すぐ寄り道して買い食いしたりしないし,女同士のつき合いは男より金がかかるみたいだからな。俺的にそんなに高くなかったよ。」
 笑顔でシゲルが言った。エミも満面の笑顔になる。そしてシゲルに飛びついた。
「ありがとう!!シゲル,大好き!!一生大事にするね!!それに次の舞台でも,絶対つける!!」
 エミが抱きついたままシゲルを見上げた。
「喜んでもらえてよかった。俺も大好きだよ。次の舞台も,必ず予定空けて見に行くからな。楽しそうに踊るエミを見ていたら,俺も元気になるから。あと,コスモスの花言葉って,『乙女の純真』なんだって。・・・まっ,ネットに書いてあったことだけれど。花言葉ってネットとかで調べたら,書いてあることが少し違うことも多いけれど・・・でも,エミにぴったりな言葉だなって思った。」
そう言ってシゲルもエミを抱きしめると,ゆっくりとエミにキスをした。

「・・・・ちゃん・・・エミちゃん!!」
 ケントの声に,ハッと我に返るエミ。
「どうしたの?エミちゃんがボーっとするなんて初めて見たよ。」
 ケントが少し心配そうに見ている。
 エミは無言でベットの上の携帯電話を手にとった。裏側に張ってあるプリクラでも,待ち受け画面の写メでもエミは真ん中が黄色でピンクの花びらのコスモスの髪飾りをつけている。
 エミは花や自然が大好きだった。だからシゲルとのデートも,街に出るより土手などを散歩したり,森林公園に行ったりすることが多かった。
 それにダンスの舞台に立つときは,いつも何処かに花飾りを付けていた。
 楽しかった思い出はほとんど忘れていた。いや,復讐者になるため,せっかく無理矢理忘れたのだから,忘れていたかった。
 ちょっとした偶然に,エミは怒りがこみあげた。
「エミちゃん?どうしたの?」
 表情を変えず携帯電話を持つエミを見て,ケントが言った。
「ほらっ。」
 そう言って携帯電話をケントに軽く投げて渡すエミ。
 不思議そうに受け取るケント。
「裏,見てみな。あと,待ち受けとメール受信ボックスの一番上も。」
 無言でまず裏を見るケント。ケントは,エミの笑顔を見たことがない。初めて見るエミの笑顔。
そもそも,テロリストに入ってからは,ほんの少し表情がやわらぐのもコウタの部屋でくつろいでいるときか,最近はソウタの部屋で遊んでいるときか,ユリに対してだけだ。
ケントは無言で,シゲルからの最後のメールを見た。
「しそにお・・・?」
 ケントがつぶやく。
「簡単な暗号。知りたいならリョウやコウタに頼まず,自力でとけ。・・・また明日,いつもの時間。そのいつもの時間はなかった。・・・そして私は復讐者になった。だから・・・。」
 エミは花瓶を持つと,床に向けて思いっ切り叩き割った。
 驚くケントを無視して,エミはコスモスの花を踏みつけて足をひねった。
「こんな花,大嫌い。・・・いいかげんうざいんだよ。」
  そう言って,エミは携帯電話をひったくるとベッドの上に置き,ケントが何か言おうとしているのを無視して部屋から出ていった。

 エミはコウタの部屋に行った。何も言わずに合い鍵で鍵を開けて部屋に入る。
 いつものようにパソコンをいじっていたコウタがエミを見て何か感じたような顔をした。
 黙ってコウタのベッドに潜り込むエミ。
「・・・何を怒ってるんだ?それとも泣いてんのか?」
 エミは無言で反対側を向いている。
 コウタが立ち上がって,ベッドに座った。
「人のベッドを占領しといて無視するなよ。・・・何があったんだ?」
 少し優しい声でコウタが言った。
「馬鹿のストーカーが,花瓶に花をさして持ってきたのを見たら,なんか腹が立ったから,花瓶をぶち壊して花を踏みにじってきた。・・・花にはひどいことをした。」
 コウタに背を向けたままエミが言った。
「コスモスだったんじゃないか?」
 コウタが言った。
 無言で頷くエミ。
「・・・シゲルにもらってから毎日のように頭につけていた花だ。怒りも悲しみもわくに決まっているだろ。それが普通。それが人間。俺も覚えているよ。あの髪飾りを買うとき,男一人で店に入れないって俺まで巻き込まれたんだから。」
「・・・・・・。」
「お前は復讐者だけれど,最近は,何人かに対して少しだけ心を開いている。そしたら,人間としての感情が戻るのは当たり前の事。でもそれを悪いことだと思わなくて良い。・・・まっ,今日は俺もずっと部屋にいられるから,好きなだけここにいろ。」
 コウタがそう言ったとき,コウタのピアスから誰かの声がした。
 パソコン用マイクをとって,スイッチを入れて接続すると話し始めるコウタ。
「エミなら来てないけれど?お前,また何かやらかしたのか?」
 コウタの言葉で,コウタと話をしているのがケントだとすぐにエミは分かった。
 そしてコウタが自分をかくまってくれているのも。
 エミは起きあがると。コウタのピアスに耳を近づけ,声が聞こえるようにした。
「コウタ・・・俺,またエミちゃんを傷つけてしまった。最近,俺が行っても拒絶が少なくなったからって,調子に乗っていたのかも。エミちゃんは,俺の実力を認めてくれているからチームでいてくれている。でも・・・やっぱり,俺のような犯罪者で,今は必死で自分を変えようとわざと馬鹿やっている奴には,エミちゃんを好きでいる資格なんてないのかな。」
 ケントの暗い声が聞こえた。
「お前に資格があるかないかなんて,俺が分かるわけないだろう。問題は,お前自身が,どうしたいのかだ。はっきり言って,お前が犯罪者だろうがなんだろうがエミは興味を持っていない。戦争にもだ。ただ,エミはお前にどんな態度をとろうと,今のお前をちゃんと見ている。だからチームを解散させないんだ。・・・でもな,たかだか十代そこそこの俺達がこんなことに巻き込まれて,全部が全部うまくいくわけないだろう。エミは本当にシゲルが好きだった。だから復讐者になった。エミにはまだ,シゲルしか心の底から見えていないんだよ。・・・とりあえず今日はエミのことはほっといてやれ。・・・隣に,リョウはいるのか?」
「分かった。・・・ありがとう。リョウ,いるけど・・・。」
「じゃ,俺から言えることはそれだけだから。じゃあな。」
 コウタが一旦マイクのスイッチを切ると,リョウに接続した。
「リョウ,俺だけれど。今の話し全部聞いていたと思うから,今から言うことに,分かったら返事だけしてくれ。」
 コウタが言った。
「うん。」
 リョウはすぐコウタの言うことを理解したように返事をした。
「さっきケントには嘘をついた。エミは今俺の部屋にいる。・・・少なくとも今日は,ケントと会わせない方が良いと思うから,エミの居場所を聞かれても適当にごまかしてくれ。ちゃんと任務には出られると思うから,ケントへのフォローは頼むわ。」
「うん。」
 リョウが言った。
「それだけ。じゃあ,よろしくな。」
 コウタはそう言うとマイクのスイッチを切った。
 また布団に入って横になるエミ。
「コウタ・・・いつもありがとう。」
「別に。」
 コウタが言った。
「ねぇ,コウタは,復讐の連鎖は断ち切れると思う?」
 エミが聞いた。
「・・・人は誰だって憎まれることもあるし恨まれることもある。でも,それを受け止めて人を許すことができる人間ならできるかもな。憎しみや悲しみは消えないだろうけれど,少なくとも復讐の連鎖は断ち切れるだろ。だけど,人を許せる人間って,ものすごく精神的に大人な人間だと思う。そんな人間,大人の中にも滅多にいないんじゃねーの。」
 コウタが言った。
「・・・・・。寝る。」
 そう言うとエミは目をつむった。

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