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人生の始まり
1-1
しおりを挟む最後の戦いの日から、一週間が過ぎた。
この間、色々なことがあったけれど、どれも俺たちには直接的に関係がないもので、俺たちはいつも通り、訓練の日常に戻っていた。
まず、ヨネルさん達両親のように、幽閉されていた人たちは解放されたらしい。
そして、ヨネルさん達にかけられた、覚悟の魔法も解かれたと聞いた。
三つの国は、王族が会談を設けた。
そして、しばらくはブルー王国とレッド王国から、必要最低限の魔力をグリーン王国に供給することが決定した。
だけれど、魔力の泉はいつかまた一杯になる。その時、グリーン王国がどういう動きにでるかは分からないと、アマナが教えてくれた。
今日、俺たちは、国境近くのトロッコ列車の駅の側にある丘の上に、四人で来ていた。
エミルさんから、レッド王国とブルー王国を自由に繋ぐトロッコ列車の第一号がやってくるからと誘われたのと、ラオンから、その列車に乗ってタツさんとリーシャさんと一緒に、俺たちに会いに来るという文が届いたのだ。
エミルさんが、少し離れた木の上にいるのが見えた。ヨネルさんが隣にいて、シルクさんは木の根元に立っていた。
特別騎士団は、このまま継続して残ることになった。だけれど、戦争は終わったから、もう、エミルさんは、もう一つの覚悟の呪文を使う必要はないんだ。
フユさんとハヤテさんの姿は見えなかった。
テルさんは、このまま魔力の泉の管理者の一人になるそうだ。
四人で話をしていると、大きな歓声が聞こえた。
トロッコ列車が、レッド王国から駅の中に入ってきたのだ。
その時、俺たちの目に、ミリさんが映った。
「あなた!!」
泣きながら、列車から降りてきた男の人に抱きついて、抱きしめられている。
俺たちは、その光景を見て泣きそうになった。
エミルさんを見ると、木の上でその光景を見ながら、嬉しそうに笑っていた。
タツさんと、ラオンと、リーシャさんが列車から降りてくるのが見えた。
俺は、ラオンに手を上げて合図をした。タツさんは、エミルさん達の元に行った。
二人が、丘を登ってくる。
「やぁ、ようこそ、ブルー王国へ」
俺は、ラオンに言った。
「やれやれ、すげぇ人だったぜ」
ラオンが腕を回しながら言った。
その場で、俺たち六人は、改めて自己紹介をした。
もう一つの覚悟の呪文ではなくて、ちゃんとお互いの目を見ながら。
そして、俺はこっそりとリーシャさんに連れ出されて、あるものを受け取った。
ラオンから提案された、俺の人生の第一歩だ。
それを後ろに隠して、みんなの元に戻る。
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